海鳴りの島から

沖縄・ヤンバルより…目取真俊

カジノ議連設立と基地利権

2010-04-15 23:51:57 | 米軍・自衛隊・基地問題
 14日にカジノの合法化を目ざす超党派の国会議員73人が「国際観光産業振興議員連盟(通称・カジノ議員連盟)」を結成し、国会内で設立総会を開いたという記事が4月15日付の県内紙に載っている。同連盟の会長は古賀一成民主党衆院議員だが、〈沖縄からは呼びかけ人の1人、下地幹郎衆院議員(国民新)が副会長(7人)に選出された〉(15日付琉球新報)という。
 沖縄では25日に開かれる「米軍普天間飛行場の早期閉鎖・返還と県内移設に反対し、国外・県外移設を求める県民大会」にむけて急ピッチで取り組みが進められている。それに対して、キャンプ・シュワブ陸上案や嘉手納基地統合案など「県内移設」を主張する下地幹郎議員は、早々と不参加を表明している。下地議員は鳩山政権による普天間基地の「県内移設」=たらい回しの水先案内人の役割を果たしただけでなく、超党派で取り組まれている県民大会を分断する役割も果たしているが、そういう動きと今回のカジノ議員連盟の副会長就任はつながっている。

〈古賀氏は会合後の会見で、鳩山由紀夫首相と小沢一郎民主党幹事長に事前に打診したと説明。鳩山氏は「大変重要だ」、小沢氏は「地域経済振興になるなら良い」などと了解したという。カジノの導入地域については「沖縄は非情に熱心。2、3地域から進めていく」と述べ、沖縄への導入の可能性を示唆した〉

 15日付琉球新報は以上のように記しているが、沖縄で〈非情に熱心〉に動いている一人が下地議員である。さらに〈沖縄への導入の可能性〉について、同日付けの産経新聞電子版には、カジノと基地問題がリンクしていることが記されている。

〈カジノが合法化されれば「どこに設立されるのか」が関心の的になる。民主党案は施行地域について「当面2カ所、最大10カ所とし、段階的に実施する」としており、議連内では当面の施行地域に東京都、沖縄県、北海道が上がっている。
 最有力候補は東京都。……次に有力とされるのは沖縄県だ。観光地としての魅力はもちろんだが、米軍基地が集中し、負担をかけていることから、カジノエンターテインメントの設立は「振興策の重要な柱になりうる」(議連幹部)からだ〉

〈米軍基地が集中し、負担をかけている〉沖縄に配慮しているかのように見せながら、普天間基地の「県内移設」とカジノエンターテインメントをリンクさせ、カジノという”アメ”をばらまきながら「県内移設」という”ムチ”を振るおうとしていることは明らかだ。政権交代が行われても沖縄に対する”アメとムチ”は繰り返され、下地議員は政府と一緒にムチを振るいつつ、ばらまかれるアメをしゃぶろうとしている。
 普天間基地「移設」にからむ利権は、建設工事に関わるものだけではない。「移設」とリンクした振興策=カジノ導入や基地の維持管理に伴う様々な経費、嘉手納より南の基地返還後の再開発など、巨額の利権が長期にわたって動くのである。それを中心になって仕切ることができれば、どれだけの利益と力を得ることができるか。下地議員が沖縄で厳しい批判を浴びても「県内移設」を主張して譲らないのは、それだけの見返りがあるからだ。普天間基地の「県内移設」、カジノ、先島への自衛隊配備を三点セットで進め、沖縄の基地利権を牛耳ろうとする画策を許してはならない。



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