海鳴りの島から

沖縄・ヤンバルより…目取真俊

「グアム移転協定」に反対する

2009-02-18 23:25:02 | 米軍・自衛隊・基地問題
 来日したクリントン米国務長官と中曽根外相との間で、昨日(17日)、「第3海兵機動展開部隊の要員およびその家族の沖縄からグアムへの移転の実施に関する日本政府と米国政府との間の協定」の署名が交わされた。協定の成立には国会承認が必要だが、衆議院で与党が三分の二を占めるうち協定を結ぶ、という意図が最初からあり、このままでは可決されるのは必至と見られている。
 協定では、普天間基地の名護市辺野古沿岸部への「移設」と嘉手納基地より南の基地の返還をパッケージとし、その進展がなければ在沖海兵隊のグアム移転もない、とする在日米軍再編ロードマップの順守が謳われ、仮に日本政府の政権交代が行われても、辺野古への新基地建設を変更させない、という日米両政府の強硬姿勢が示された。
 ほんの一ヶ月前、仲井真知事の訪米があったが、それに対するオバマ政権と麻生政権の返答がこれだ。知事訪米に何の意味もなかったばかりか、日本政府や外務省を刺激するというマイナス効果しかなったなかったということだろう。
 折しも、仲井真知事は東京にいて、協定に対し〈「私たちがいろいろ要望していること(普天間代替施設の沖合移動など)に関しては(協定の)性格上、(実現の)制約にはならないものだと理解している」との認識を示した。/その上で「協定が結ばれても、できるだけ代替施設を沖合に寄せてほしいという県の姿勢を変えるつもりはない。今後も(日米両政府に)求めていく」と強調した〉(2月17日付琉球新報夕刊)ということだ。
 今回の協定問題がマスコミで取り上げられて以降の仲井真知事の言動を見ていると、自分の頭越しに物事を決めていく日本政府に抗議するわけでもなく、取り立てて怒りや苛立ちを示すわけでもない。これまで通り沖合移動を求めると、あたかもそれが実現可能であるかのように淡々とくり返しているだけだ。そういう知事の言動から見えてくるのは、辺野古新基地の建設位置をめぐる政府と知事の対立なるものが、しょせんは県民の目を欺くための〃やらせ〃でしかないということだろう。
 日本政府・防衛省にとって一番恐れるのは、海上抗議行動によって埋め立て工事ができなくなることだ。それを避けるために沿岸部に建設位置を決定したのに、わざわざ海上抗議行動をしやすいように沖合にずらすことなど、政府・防衛省からすればあり得ない話だ。仲井真知事にしてもそれは分かっているはずであり、にもかかわらず「修正」要求をするとすれば、沖合にずらすことで県内企業の取り分を多くするという利権がらみのごね得狙い、そう受け取られることも分かっているだろう。
 元より、仲井真知事は辺野古沿岸部への建設自体は認めているのであり、知事と政府の「対立」なるものは、しょせんは落とし所をめぐる問題にすぎない。いずれかの段階で、埋め立て工事に支障が出ない範囲内での「修正」を行うか、あるいは「修正」はなくても県内企業への工事優先度を上げることによって妥協する。そういう出来レースを演じているだけのことだ。だからこそ、「グアム移転協定」が署名されても、知事は平然としていられるのだ。
 仲井真知事からすれば就任直後から、すぐに政府案を全面的に受け入れのは県民世論からして難しい中で、あたかも政府と「対立」しているかのようなポーズをとることで、自分への風当たりをやわらげることができた。あとは形だけの「対立」を演じながら、政府のやることを黙認すればいいだけのことだ。それは島袋名護市長にしてもまったく同じだろう。
 実際、県内マスコミの報道も、本来の問題は普天間基地の「県内移設」を認めるか否か、であったはずなのに、仲井真知事と日本政府の建設位置をめぐる対立という構図に矮小化して報ずるようになっていたのではないか。今回の協定問題が浮上してから、再び「県内移設」に反対するという立場からの報道を増えてきたが、政府の強硬姿勢を批判する一方で、同じく「県内移設」を推進している仲井真知事を批判・追及する姿勢は弱い。
 今必要なのは、沖縄の県民世論を無視して米軍基地の「県内移設」を強行しようとする日本政府と、県議会決議を無視して政府と共に「県内移設」を推進している仲井真知事を同時に批判することだ(無論、島袋名護市長も)。建設位置の「修正」をめぐる問題に矮小化しようとする動きを許さず、基地の「県内移設」はいっさい認めない、という原点にしっかりと足を据えて運動を進めたい。

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1 コメント

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条約化すると (宮坂亨)
2009-02-19 19:51:39
条約は国内法より優先されます。
環境アセス法など、開発規正法なんかが無視されるのを危惧します。
軍隊とカネによる支配をチェンジすることはオバマにはできないでしょう。
しょせん米帝です。
条約は衆議院の優先事項だから参議院は歯止めにならない。
衆院解散を求めます。

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