海鳴りの島から

沖縄・ヤンバルより…目取真俊

ハンセン病市民学会で辺野古の海の状況を話す。

2018-05-20 09:54:36 | 米軍・自衛隊・基地問題

 19日(土)は午後から那覇市の「てぃるる」で開かれたハンセン病市民学会の「第14回総会・交流集会in沖縄」に参加し、リレートークで辺野古の海の状況を話した。13分ほどの時間だったが、仮設道路や護岸の工事が進み、海亀が浜に上がれなくなっていること、護岸によって海が囲い込まれるまで時間がないこと、これまでの海上での抗議の様子などを、写真と動画で紹介した。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180520-00000003-ryu-oki

 今回は沖縄での開催ということで、ハンセン病問題と基地問題の共通点を検証していく視点が打ち出されていた。国策による差別と人権侵害、弱い立場に置かれた少数者への犠牲の強要など、ハンセン病と沖縄への基地押しつけの両方を取り上げてリレートークも構成されていた。

 基地問題に関していえば、国土面積の0・6パーセントしかない沖縄に、米軍専用施設の70%が押しつけられている「構造的差別」がよく指摘される。沖縄がいまだにヤマトゥにとって便利な「捨て石」の立場に置かれていること。それに対する批判は真っ先になされなければならない。

 同時にまた、沖縄内部においてヤンバル(沖縄島北部)になら米軍基地を「移設」してもいい、人口の多い都市部から少ない過疎地に移すのは合理的判断だ、という差別意識が存在するを問題にしないといけない。ヤンバルや宮古に対する偏見と差別は沖縄社会から払拭されてはいない。

 ヤンバルに生まれ育ったものからすれば、今進められようとしている県民投票も、そういう視点から懸念を抱く。辺野古新基地が建設が強行されている名護市の人口は約6万4000人、ヤンバル全体でも10万人ほどで、沖縄県全体約144万人の10分の1にもならない。

 新基地が建設されて実際に負担が集中するヤンバルの住民と、基地が無くなって再開発が進められる嘉手納より南の住民とでは、置かれている立場が違う。9月であれ11月であれ、護岸が仕切られて土砂が投入される段階になっていれば、ここまで進んでいるんだからもう仕方がない、という諦めから賛成に回る人もいるだろう。

 仮に賛成が多数になれば、県民投票を進めた者たちは、それが民主主義だから結果を受け入れる、と言ってすませるかもしれない。しかし、新基地の負担を強要される名護市民、やんばるの住民からすれば、とんどもない話だ。沖縄の中で多数者による少数者への犠牲の強要がなされる、そういう危険性があることを、県民投票の推進者たちは考えたことがあるのか。

 むとぅぶなちじなーぬ やーとぅめてぃくりば くとぅばやふぁやふぁとぅ ういけーちたぼり 

 上の琉歌の意味は、本部や今帰仁の人が家を訪ねてきたら、言葉は柔らかく丁寧に応対し、追い返しなさい、ということだ。中南部の住民の中にはかつて、ヤンバルは田舎であり、生活も貧しく言葉や態度も乱暴だ、という偏見や差別感を持つ人たちがいた。くすけーやんばらー、と馬鹿にする者たちまでいたのだ。それははたして過去の話だろうか。

 19日のリレートークでほかの発言者が話すのを聴きながら、今でも沖縄の中でハンセン病に対する強い差別と偏見が残っていることを実感させられた。ハンセン病の元患者であることを公表できているのはごくわずかであり、大多数の人たちは家族にすら病歴を隠して生きていること。それを公にすれば家族や親戚から批判され、今でもまだ離婚されたり、墓に入れてもらえない、などの問題があること。これが沖縄社会の現実なのだ。

 


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