海鳴りの島から

沖縄・ヤンバルより…目取真俊

紹介:『辺野古に基地をつくらせないぶるーの船』進水式にあたり

2015-11-08 11:27:08 | 米軍・自衛隊・基地問題

https://www.youtube.com/watch?v=eGZPmtImyLU&feature=youtu.be

https://www.youtube.com/watch?v=mCuRvQ9IZxQ&feature=youtu.be

 7日に辺野古漁港で『辺野古に基地をつくらせないぶるーの船』の進水式が行われた。その際に代読された船主Yさんのあいさつを、本人の承諾を得て以下に紹介します。

 『辺野古に基地をつくらせないぶるーの船』進水式にあたり

 まず、『辺野古に基地をつくらせないぶるーの船』の進水式にあたり、この度、この船の船主という責任をまかされながら、参加できませんことを心からお詫び申し上げます。心苦しく、残念ですが、ひとりでも多くの方々に見守られて進水することを確信いたしております。

 皆様も御存じのとおり、海のことも寸分も知らない私が、どうして船主をお引き受けしたか、短くではありますが、その経緯をご説明させてください。

  本日も引き続いている辺野古新基地建設阻止行動の海上行動、昨年2014年の始まりは、甚だ手探り状態でした。十年、十一年前に発足したカヌーや船での行動ですが、全く新たに再編成しなければなりませんでした。時が進むにつれ、勇気と決意をもってカヌー練習を始めて、声かけしてくださった方々がいなければ今頃どうなっていたでしょうか。夏以降、いよいよフロートが引き出され、この海に政府によって違法な仕切りがなされボーリング調査が行われる段階となると海上保安庁の暴挙も強くなってきました。それでも、シュワブゲート前での座り込みの皆さんの声援を胸に、毎日、海に出てゆくひとりひとりの行動は、弱いながらも少しずつその輪を全国に広がってゆきました。ある人は仕事を休み、学業を中断し、バイトでお金をため、また団体や職場から派遣されて来てくださることもあります。辺野古の現場に定年はないというほどに、老いも若きも「自分も参加できますか」と各々を奮い立たせてここに集ってきてくださいました。用事や体調や諸事情で、自分が海に出られない日こそ、海に出ている仲間を想う、一緒に海に出たことのあるメンバーはきっと誰しもそうだと思います。見えないところで、ひとりひとりがつながって支え支えられて、今日も誰かが海に出ています。人が増えれば、助かります。また一方で心配事もでてきました。口に出して言わないまでもお互いに「大丈夫かね」と。長期で仮滞在し、毎日のように朝早くからみんなのカヌーを準備し冬の海に出た方々。カヌーやスーツ以外にも細々と必要なものがありました。「どうにかできないかなあ」と自分のこととして切に考えたメンバー達がいました。そこで思いついたのが、独自のTシャツの製作販売でした。そして、2015年新年からは、それまで「カヌー隊」と軍隊のようで響きのよくないチームを自ら『へのこぶるー』の愛称で呼ぶようにしました。Tシャツのデザインにもなり、すっかり定着しました。呼応して、ダイビングチームは『辺野古レインボー』、そして船団は『辺野古ドリーム』として呼び合うようになりました。作業の現場は、辺野古イノーから、波の高い大浦湾に移ってゆき、冬が深まるにつれ、厳しい状況に次々に直面してゆきました。それでも、米軍基地建設反対を掲げて新知事が誕生すると、島ぐるみの抗議行動が勢いづいて、台風の多かった今年もあと2カ月です。この間に幾人の方々が、このゲートで、また海で、浜で、またそれぞれの場所で、闘ってきたことでしょう。あのとき、あの顔・・・。涙が込み上げてくるのは私だけでしょうか。

 Tシャツの売上は最終的に全て、『へのこぶるー』から、ヘリ基地反対協へ託されました。当初は、カヌーサポートのゴムボートの案もありましたが、不足分を反対協が工面してくださり、こうして待望の船を買っていただくことができたのです。残念ながら、このことために奔走してくださったメンバーや、趣旨に賛同してTシャツを購入してくださった全員に、ご報告し、この貴い船を見て頂き、お礼を申し上げることができません。本当にありがとうございました。本来なら、そのおひとりおひとり全ての方がこの船の船主なのです。身近な中に私以外に、適任者はいらっしゃるのですが、諸事情によりお名前を出すことは控えたいということで、皆様の代理として私が、お引き受けすることになりました。カヌーメンバーであり、沖縄に住み、これまでの流れを知るひとりとしてです。どうか、この点について、ご理解を申し上げます。

 さて、いよいよ国による埋め立て強行のニュースが流れるとき、この私達の船は海に出てゆくことになりました。『辺野古に基地をつくらせないぶるーの船』、なんと長い名前でしょう。船の購入が決まったこの秋、その時に集まっていた『へのこぶるー』メンバーと海上行動のメンバーに募った案から選考されました。多数決の結果は、『辺野古に基地をつくらせないぶるーの船』と真正面から強く願ったひとりひとり、またそのために海に出てゆくカヌーチーム『へのこぶるー』の決意の表れとなったと、私は受け止めました。小さな船ではありますが、何にも代え難いおひとりおひとりの魂を堅く船底に敷き詰めて、先の方々から私ども が引き継いだこの辺野古・大浦を、さらに希望輝く海にして次の世代に引き継ぐために、『へのこぶるー』を守り、導いてくれる船となることを信じます。 

 最後になりましたが、今日の進水式まで、船の選定から諸所の手続き、また備品の準備などを担当してくださった方々に、深く感謝し、御礼申し上げます。そして、これからお世話になるこの辺野古また汀間漁港と漁業組合、各船主、関係の皆様、また地域・地元の皆様、ご迷惑をおかけすることも多いと思いますが、どうかよろしくお願いいたします。この海のこと、船のこと、いろいろと教えてください。皆様にとってかけがえのないこの海、命の源であるこの海、私たちにもごいっしょに守らせてください。

 『辺野古に基地をつくらせないぶるーの船』が、「ここに軍事基地をつくらせない」と思い、願い、そして祈りつつ海に出てゆく全ての人々に、愛され用いられますように。その働きのため、そのために働くひとりひとり、そして辺野古・大浦、津々浦々に広がりつながるひとつのこの海に、畏れと、深い感謝と喜びをもって、お献げいたします。皆様方のうちにある思いと願いと祈りに合わせて。

2015年11月7日

 『辺野古に基地をつくらせないぶるーの船』全船主の代理として

                  へのこぶるー Y

 *なお、この船については、カヌーチーム『へのこぶるー』を含め、ヘリ基地反対協海上行動会議に委託します。


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