ナンプレの解法に Chain(鎖)と Loop(環)と名の付いた手法が有ります。Chain といって思いつくのは XY-Chain で、どちらかの数字が必ず確定する二択のマスを繋げて、消すことが出来る数字を見つける手法です。これはこのブログ内にも度々出てくるのでお分かりのことと思います。でも、XY-Loop というのは聞いたことがありません。出現はしますが二択の Loop ですので消せる数字が無いのです。これでは解法になりません。
どちらかの数字が必ず確定するものには、二択マスとは別に強リンクなどが有ります。これらを単独あるいは二択マスに絡めて LooP を作る手法が有ります。これを「Nice Loop」と云うそうです。この手法ですと消すことが出来る数字が出現します。そして、Loop という手法が有れば当然 Chain も有ることになります。でもそれを一般的には「Nice Chain」というよりも「Altemate Inference Chain」(AIC)と云っています。
今回の題材は、理詰めの解法を教えてくださいという質問に、背理法はロジカルな理詰めの手法ですと回答された問題で、次の図です。
この質問図は途中図ですが名前を付けました。「ドラえもん」です。理由はポケットからいろいろなロジックが出てくるからです。もちろん背理法は有りません。
まず、解き易くします。
整理して、
既存のロジックだけで解こうとしましたが、無理だったので最初に一回だけU字型を使います。
中段ユニットで、1と2と9は同居しないので同種が確定しています。3は▢で2と三回同居で3-2の磁石候補です。また、▢で3は磁石相手候補が居ないので鉄として入り、5と一回同居で3と5は異種です。どちらかは誤りですので、2と5は同種になります。同種は同居しませんので、5は削除されます。
進めて、
二つ目のロジックは3の奇数個連鎖です。3から右へ 強・弱・強・弱・弱 で、3は削除されます。
三つ目は XY-Wingです。二択マスが3個の場合は XY-Chain ではなく XY-Wing と云うそうです。4・2-2・3-3・4 で、▢の4は削除されます。
XY-Wing です。3・4-4・2-2・3 で、▢の3は削除されます。
進めてこの図になります。四つ目は Nice Loop です。解説の為に色を付けます。
強リンクの4を4と4に色分します。強リンクですので、4または4のどちらかは必ず確定します。
これに、5の強リンクを重ねます。これで4が決まると5が決まるという関係になります。
5列の5も強リンクですので、5が入ります。
そして、3の強リンクを加えます。
そうすると、ご覧のような LooP が出来上がります。
これで、5が決まると4が決まるということにもなり、赤と青の数字が各一個ずつ入るマスには他の数字は入れないことになります。従って2と4は削除されます。
ご理解いただけましたでしょうか。これが Nice Loop の一番単純な図式です。
五つ目は、三国同盟です。
3で進めて、
2で進めて、
4で進めて、
XY-Wing です。6・5-5・4-4・6 で、▢の6は削除されます。
XY-Wing です。7・4-4・9-9・7 で、▢の7は削除されます。
また、単純な Nice Loop です。
8の強リンクと7の強リンクを繋げます。
これに9と2の強リンクを繋げますと、
Loop が出来上がり、4と6が削除されます。
進めて、
多国同盟で、
6で進めて、
4で進めて、
7で進めて、
六つ目は XY-Chain です。4・6-6・3-3・6-6・5-5・4 で、▢の4は削除されます。
XY-Chain です。6・5-5・4-4・6-6・3-3・6 で、▢の6は削除されます。
ここで七つ目のロジックです。
6の強リンクに8の強リンクを繋げます。6が決まると8が決まります。
続けて7と9の強リンクを繋げます。これで6が決まると9が決まるという関係が出来上がります。
9に3の強リンクを繋げると、3と6で矛盾が生じます。ここで注意しなければならない事は、3と6が同居したからと云って3と6は消去出来ないことです。消去したら入れる数字が無くなります。
また、6に3の強リンクを繋げますと、3と9でやはり矛盾が生じます。つまり、Loop にならないのです。
Loop にならなければ Chain です。3と3が入ります。
▢を起点・終点とする Chain になりますので、3または3が必ず入ります。従って、3と3のそれぞれと同じ領域に有る▢の3は削除されます。
この Chain が Altemate Inference Chain です。
こうなります。
6で進めて、
4で進めて、
5で進めて、
9で進めて、
2で進めて、
8で進めて、
正解です。
ドラえもんのポケットにはいろいろなロジックが入っていましたネ。特に N L と A I C は高等なロジックのように思えましたので、敬遠しておりましたが、一念発起して挑戦してみました。最初は戸惑いましたが、それほど難しい手法ではないのかもしれません。ご覧の方も是非マスターしてください。色分けはどうもという方は、頭の中で追ってみて下さい。じきに慣れると思います。
おまけです。 A I C で使った強リンクを逆回りしてみました。
6の強リンクからです。
3の強リンクを繋げて、
次に9と7の強リンクを繋げて、
8の強リンクで繋ぎますと、9行7列で赤の6と8がダブります。これは A I C にはならないので、「Bahamut」と名付けました。赤グループは誤りですので、赤の数字は全て削除されます。本文の3と6の同居と比べてみてください。この場合は6と8を削除することが出来ます。
Bahamut の方が A I C より強烈で迫力が有ると思いますが、如何でしょうか。
次回は、たしか2チャンネルで質問されましたが、スルーされた問題で次の図です。
超は付かないかもしれませんが難しいですヨ。
ご覧頂きまして有難うございました。