あすきなまこブログ

七宝焼を焼いています。

夏のせいだ

2008-08-13 20:47:50 | Weblog
高校生の時に考えていたことが、うまく思い出せなくなっている。
断片は思い出せるんだけど。

夏のはじめ、田んぼを渡る風を見たこと…。あれはどこの教室から見たのだっけ?
それから、多分、夏休みの教室で、女の子の絵を描いてた。好きだったともだちのS田さんが見に来てくれたもの。ひとことふたこと、言葉を交わした。ただ、その教室で、その時期に絵を描いているということは、彼女とわたしの道は、もう別れていることを表わしていた。

通学路の途中にあった廃墟に、わたしは入った?入らなかった?どっち?
壊れた窓から、自転車を踏み台にして、中に入りこんで、割れたガラスを踏んで、青いタイルの浴槽に座りこんだのは、わたしの頭の中で考えただけのこと?カランは真鍮で、洗面器がいくつか転がっていたのも夢?

憧れていた化学の先生と、キスなんかしなかったよね…。これはいくらなんでもしなかったよね?白いカッターシャツと薄い唇と…。ちゃんと剃られた青いひげが、ざりざりしていた。数学の先生も好きだったんだけど。浅黒いすべらかな肌と黒いふちの眼鏡と。

S田さんと、職員室の前の廊下で抱き合ったことがある。S田さんも憧れの先生がいて、その先生と言葉が交わせたか何かで、とてもうれしくなって、わたしに抱きついてきたのだ。S田さんの胸がぷよんとわたしに当たって、ドキドキした。S田さんは、三つ編みとそばかすがキュートな女の子だった。ああ、男の子の心を持ったまま、女の子の姿でいるのって素敵なことだ…こんな風に女の子から抱きしめてもらえるなんて…って、もうその時ちゃんと思ってた。

今日は窓を開けて、ずっと夏の風に吹かれていた。だから、幻想と現実が暑さのせいで容易に混じり合う。
コメント
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