読書と映画をめぐるプロムナード

読書、映画に関する感想、啓示を受けたこと、派生して考えたことなどを、勉強しながら綴っています。

複雑系文学、それともコラージュ系文学か、「後藤さんのこと」(円城 塔著/2010年)

2010-03-03 03:28:20 | 本;小説一般
~後藤さん一般、後藤さん、、反後藤さん、分後藤さん、偏後藤さん性―後藤さんについての考察が宇宙創成の秘密に至る「エクス・ポ」連載の4色カラー表題作ほか「早稲田文学」「思想地図」から「SFマガジン」まで、現代文学の最先端で試みられた、難しくてためにならない、でもなぜか心地いい言語遊戯6篇+α。~(BOOKデータ)

<目次>
・後藤さんのこと
・さかしま
・考速
・The History of the Decline and Fall of the Galactic Empire
・ガベージコレクション
・墓標天球

衝撃を受けました。著者がどのような作家なのか何の予備知識もなく、「後藤さんのこと」という素朴なタイトルに惹かれて、ページを読み進めていくと、だんだんイライラしてきて、しかし、これはきっと自分にはわからないけれど、何かが重要なことが書かれているのだ、と眠気と闘いながらそこに綴られた文字を追っていきました。

「後藤さんのこと」、「さかしま」、「考速」、「The History of the Decline and Fall of the Galactic Empire」、「ガベージコレクション」と続く短編も結局、それらに描かれている世界は全くわかりませんでした。ところが、「墓標天球」で初めてストーリーらしき、私にも少しだけ理解可能な、いわゆる小説らしさを伴った展開で内容をとらえることができました。

本書は、現代詩、現代音楽、現代絵画のような、文学における既存の価値観をうち崩して成立しているような表現に終始されていると言ってもいいのではないかと思います。本書をひとことで言い表すなら、複雑系文学、あるいはコラージュ系文学。

本書は「言語遊戯6篇」の作品ですが、円城作品の初心者は、やはり、この目次順で読み進めることをお勧めします。


<Anima Solaris(アニマ・ソラリス)/著者インタビュー:円城塔先生>
http://www.sf-fantasy.com/magazine/interview/071001.shtml


円城 塔;1972年、北海道生まれ。2007年、「オブ・ザ・ベースボール」で第104回文學界新人賞受賞、第137回芥川賞候補。同年、『Self‐Reference ENGINE』(ハヤカワSFシリーズJコレクション)で長篇デビュー、第28回日本SF大賞候補となる(BOOKデータ)

<円城塔 - Wikipedia>
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%86%86%E5%9F%8E%E5%A1%94


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