読書と映画をめぐるプロムナード

読書、映画に関する感想、啓示を受けたこと、派生して考えたことなどを、勉強しながら綴っています。

「博士の愛した数式」(小川洋子著/新潮文庫)

2006-01-31 18:15:48 | 本;小説一般
「πとiを掛け合わせた数でeを累乗し、1を足すと0になる。 私はもう一度博士のメモを見直した。果ての果てまで循環する数と、決して正体を見せない虚ろな数が、簡潔な軌跡を描き、一点に着地する。どこにも円は登場しないのに、予期せぬ宙からπがeの元に舞い下り、恥ずかしがり屋のiと握手する。彼らは身を寄せ合い、じっと息をひそめているのだが、一人の人間が1つだけ足算をした途端、何の前触れも泣く世界が転換する。 . . . 本文を読む