風のささやき 俳句のblog

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永き日をジャム炊く鍋とありにけり 【季語:永き日】

2023年04月29日 | 俳句:春 時候

時間があったので
大量にいただいた甘夏のジャムを作りました

以前、ゼリーを作ったのですが
子供たちの評判があまり良くなく
そのまま甘夏を放置していたら
果実の一つに青カビが生えてしまいました

今回は早く食べなければと思い
日持ちもするジャムに挑戦しました

皮をむいて房から果肉を取り出し
ゆっくりと煮詰める作業をしたので
時間はかかったのですが

なかなか美味しいジャムが出来て
ヨーグルトにかけて食べたのですが
家族にも好評でした

ちょっと苦味があるので
三男などは、あまり好きではないようでしたが


願い 【詩】

2023年04月27日 | 
「願い」

優しくなりたい
優しくなりたいと、強く思い描いて
眠ったとしたら
目が覚めて一輪の花として
花開くことが許されるといい

一輪のひなげしが
あなたを喜ばせるとしたならば
僕はそのひなげしになりたい
手折られてあなたの
胸に捧げられる

アカツメクサの一杯咲いている野原
その中の一本道を
あなたが足取り軽く
歩いて行くのであれば
僕はそれに従い、髪を遊ぶ
長閑な、春の風になりたい

背の高い向日葵が空をむくように
あなたが夏の空に向かって
背伸びをするのであれば
僕は、その視線の先の雲になって
ほぐれたり、羊のように群れたり
あなたの目を楽しませる

クチナシの匂う部屋
あなたがそっと
カーテンを開けて
夜空をのぞき、溜息をつくのなら
何が心に、重くのしかかっているの
一晩中、明るい月になって
その月光であなたを見守ってあげたい

金木犀は
胸に幸せを運ぶ香り
本当はあなたと
その小さなオレンジの花の下で
手を繋いでずっと
たたずんでいたい
秋はその余韻を
僕らのつないだ手に重ね

優しくなりたい、優しくなれない
でもやっぱり、優しくなりたいと
願い続けるとしたならば
最後にはあなたに降り注ぐ
暖かな陽ざしになれるのだろうか

その時に僕はいない
僕の余韻だけがその光の中にはあって
それは、あなたがくれた幸せ、嬉しさ
透明な沈丁花の甘さ、まとって
あなたの側に、いつでもありたい

勉強のノート、時々走り書く、思い、後から、見れば滅裂 【短歌】

2023年04月25日 | 短歌

子供たちのノートが
リビングのテーブルの上に
乱雑に置かれていました

誰のだろうとパラパラとめくると
比較的きれいな字で
丁寧に書いてあったので
次男のものであることが直ぐに分かりました

長男は特徴のある字を書くので
これも直ぐに分かります

(僕も字は非常に下手で
 親が心配して、ペン字を勉強させてくれましたが
 大きな進歩は見られませんでした)

そんな勉強のノートに自分も
色々と走り書きしたことを思い出します

そのときに思いついたこと
時々は詩の断片なども

ただ、後から読み返すと
何を言っているのか
よく分からないことが多かったのですが

ここの所はキーボードをたたくばかり
字を書くこともほとんどなく
ノートに書かれた文字を
懐かしく感じました

 # 2020 夏に


飛行機は春の夕焼飛び火して 【季語:春の夕焼】

2023年04月22日 | 俳句:春 時候

春の夕暮れ
気持ちの良い風に吹かれながらの
買い物からの帰り道

空を見上げると
淡い夕映えが広がり

その中を雲を引きながら飛ぶ飛行機が
まるで春の夕焼けにもらい火をして
炎に包まれているように見えました

そのまま燃え尽きて
落ちてしまうような錯覚にとらわれて
はらはらと飛ぶ様子を眺めていたのですが

飛行機は何事もないように進みます
淡い夢の世界の出来事のようでした

 #2021 春に


フランコのある公園で 【詩】

2023年04月20日 | 
「フランコのある公園で」

君たちの遊んだ公園、ブランコが
揺れる、僕の中にはまだ小さな君たちが
そこで遊ぶようだ、賑やかな声が聞こえる
背中を押してと、もっと高くと
二つの小さな背中を、交互に押した

世界は揺れる、地面は離れ近づき
時々は水平になり、君たちは
それでも、酔うこともなく
ただ、歓声をあげて笑った
(世界は揺れ続けている
 足元から、それは今でも変わらない)

二人でどちらが高くまで
ブランコをこげるか、君たちは
競争をしていた、だから僕をせかして
もっと背中を押せといい、小さな背中に
加えられた力が、円運動に変わり
空から落ちてくる背中が、また半円を上りつめて
顔から落ちて行くときに、また背中を押して

君たちが、ブランコから飛び出して
地面に投げ出されないか、それを心配して
加える手心は怒られた、もっと、もっと
(君たちは自分の力で
 僕の力の及ばない地点まで
 飛んでいけば良い)

春の陽射しが、君たちに触った
そのつやつやした、はち切れそうな頬が
赤く透けて、小さく太陽が点った

小さな君たちの靴が、空を蹴り上げた
空はそ知らぬふりをして、けれど
少しはくすぐったかった、かも知れない
だって、その瞬間に空が
柔らかくなったように、感じられたから

今はもう、知らない子供たちが
遊ぶ、公園に、僕は
確かに君たちの姿を、懐かしく見ている

すくすくと、育って欲しい

辛くとも、君、素直なれ、手を伸ばす、助っ人、山ほど、周りに、気づくよ 【短歌】

2023年04月18日 | 短歌

直ぐに拗ねる三男

自分にそっくりだなと思うのですが
拗ねると直ぐに意地を張って
ご飯を食べないとか
何の得にもならないことを言い出します

自分もつまらない意地をはって
随分と損をしたなと思いますが

いつも素直で心が周りに開かれていれば
色々なものが自分を
支えてくれていることに気がつきますし
そうして助けてくれるものが現れます

三男にもつまらない意地は
自分が損するだけと言っているのですが
ピンと来ないようで

僕だってそれが分かるまでに
本当に沢山の後悔を重ねてきたので
自分で苦い思いをして
覚えるしかないのでしょうね

 # 2020 春に


しりとりの世界チャンプと春の風呂 【季語:春】

2023年04月15日 | 俳句:春 時候

自称しりとり世界チャンピオンの三男
何故かしりとりに自信を持っています

確かに単語を研究していて
特に「ぷ」で終わる単語を覚え
僕の順番では「ぷ」から始まる言葉が続きます
きっと子供同士で
そんな激しい戦いをしているのでしょうね

そんなしりとりを
最近はお風呂の中でしています
半身浴でも寒くはなくなったので
ダラダラと長風呂をしながら
三男としりとりで戦っています

大概は負けそうになるので
時間切れで引き分けと誤魔化して逃げます
なかなか、立派なチャンピオンになったものです

 # 2021 春に


蜜柑 【詩】

2023年04月13日 | 
「蜜柑」

子供が、高い所に実った
蜜柑を取ってくれとせがむ

見上げれば、今朝の柔らかい
春の朝焼けを手に取って
おにぎりのように丸めた蜜柑が
靴べらの様な葉っぱの間に見える

ごめん、僕に手が届く場所にはない
世界で一番、背の高い人でも届かない
けれど、子供は聞き訳もなく
棒でも使えばいいと、一丁前のことを言う

それだけ、春の日差しの
柔らかな皿の上にのった蜜柑は
何よりも美味しそうな、ご馳走に見えるのだ
降り注ぐ陽ざしから、酸味と甘さの
成分を絶妙に、じっくりと抽出して
閉じ込めた、丸み

しかし、気づきもしなかった、僕は
そんな木の上の蜜柑の存在に
手の届かない所には、目を向けようとはしない
知らんふりをする、気弱さの
いつの間にか、自分になっている

春風は暴走列車の勢いで僕へあなたへ狙い定める 【短歌】

2023年04月11日 | 短歌

強い春風が吹きました

道を歩いていたら
結構な力で体にあたってきて
その度に少し
足元を取られる感覚がありました

その勢いは
まるでブレーキを失って
歯止めもきかずに突っ込む
暴走列車のよう

その暴走列車が
誰彼となく向かってゆき
いつまた自分に吹いてくるのか分かりません

その横暴な勢いに
身構えながら歩いた僕でした

 # 2020 春に


指置けば生暖かし春の土 【季語:春の土】

2023年04月08日 | 俳句:春 地理

ローズマリーが
青い小さな花を咲かせました

その鉢植えを眺め
水をあげようか確かめるために屈み
土の上に指を置くと
指先が温かく感じられました

人の感覚は思った以上に繊細ですね
そんな僅かな温度を感じ取って
嬉しくなるなんて

ついでに
ローズマリーの葉をつまみ
指先についた気付け薬のような
苦味のある薫りを楽しみました

 # 2020 春に