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風のささやき 俳句のblog

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詩や短歌も掲載しています

靴紐を結ぶあなたは片膝でその背を護る木蔭でありたい【短歌】

2025年05月13日 | 短歌

その人が交差点で片方の靴紐が解けたと
片膝をついて結び始めました

すると信号が点滅を始めて
その人も慌てたのですが
急ぐ必要もなかったので
次の青信号に変わるまで待つことにして
その人はゆっくりと紐を結びました

思えば人を急かすものは多いですね
もうこれが最後のチャンスとでも言うように
今渡らなければ、二度とこの横断歩道は渡れないよと
赤信号がせせら笑うように

そんな急かすものにつきあっても
結果は良く無いことも多くて
急がば回れという言葉がしっくりと心に寄り添います

その人も少し焦ったような様子に見えたので
僕は焦らなくてもいいといい
願わくば僕がその人の背を
慌てさせるものから守る
木蔭のようなものでありたいと思っていました


知らぬ曲、見に来た子らも踊り出す歌は世につれ、体育祭、君の【短歌】

2025年05月06日 | 短歌

上の子供たちの体育祭を見に行った時のこと

入場の際に「パプリカ」が流れてきました
それを聞いて見に来ていた
小学生の子供たちが何人か立ちあがり
楽しそうに踊り出しました

下の子供も運動会で踊っていた歌で
僕はそれまで知らなかったのですが
皆、上手に踊るものです

歌も流行りすたりがあって
子供たちとカラオケに行くと
全然知らない歌が飛び出してくるのですが

きっと子供たちの記憶の中には
それが深く刻まれて
一緒に永い時間を歩いて行くことになるのでしょうね
時々は口ずさんで、慰められたりして

もう体育祭に出る体力もなくなった僕は
その真っただ中にいる子供たちを
応援するばかりでした


訃報聞く散り際思わず人は生き僕だけ知らぬ僕の死に場所【短歌】

2025年04月29日 | 短歌

知り合いの訃報を聞きました
まだ若いにのと
その人と一緒に過ごした時間を
思い起こしていました

人は普段
自分の散り際を
思うことはあまりしないようです

僕も漠然と自分の最後のことを
思ったりすることもあるのですが
そればかりを考えていると
気が滅入ってしまうので
考えないようにします

どこかで待っている自身の訃報は
自分では聞くことはなくて
僕も誰かに思い出されたりをするのでしょうか


もう二度と戻らぬ日々は可笑しすぎ遊び足りない帰りたくない【短歌】

2025年04月22日 | 短歌

日脚が少しずつ伸びているせいでしょうか
夕方を知らせるチャイムがなっても
子供たちが帰ろうとしません

子供たちは知っているのかも知れません
今のこの楽しい時が
もう戻らない時間であることを

そうして一緒に遊べる友達との時間も
やがて尽きてしまうことも

自分の子供を見ていても
何が楽しいのか分からないのですが
兎に角楽しそうに遊びます
何か分からないことに皆で大笑いしています

大人が失ってしまったそんな時間を
子供たちには大切にして欲しいなと思いながら
やがては名残惜しげに帰り始めた
子供たちを見ていました


夜桜はささいな口実君といる桜見上げる君ばかりを見る【短歌】

2025年04月08日 | 短歌

少し遠まわりをして夜桜を見に行きました
それはその人を誘うための些細な口実で
本当は一緒に歩いていたいだけのこと

街灯に照らさた桜は満開で
僕ら以外にも沢山の人が
その夜桜に誘われて集まっていました

僕は桜を一瞥しただけで
桜を見上げるその人の横顔を
気づかれないように眺めるばかりでした


見上げれば夜の木蓮誠実な月下の君の横顔思う【短歌】

2025年04月01日 | 短歌

月影に見る白い木蓮の花
闇をほのかに照らしていました

その凛として高潔な感じを
どこか見たことがある気がして
少し考えていたら
あなたの横顔が直ぐに浮かびました

闇を照らしてくれる
大切な存在が心の中にいる

感謝したい気持ちで一杯でした

(Tanka)
In moonlight’s tender embrace,
Lily magnolia’s gentle grace,
Reminds me of you,
Your visage softly gleaming,
Though shy and distant, my heart longs.


眠る子よ夢では護れぬもどかしさ悪夢は目覚めよそばで眠るよ【短歌】

2025年03月25日 | 短歌

子供たちが寝苦しそうにしている時があります
変な寝言を言ってみたり歯ぎしりをしてみたり

そんな物音が気になって
直ぐに目を覚ましてしまうのですが
眠る子供の夢の中には入れません

歯ぎしりの際には
きりきりとしないのと頬っぺたを撫で
寝言の時にはいい夢を見ろよと頭を撫でたりします

これからどれだけ夢を見て行くことでしょう
ときには悪夢よりも嫌な思いをさせられる
現実もあるのでしょうが

自分のことは自分で護れる強さを
身に着けていくのだろうなと思います


二分咲きの桜が誘う坂道を一歩一歩と綿雲も呼ぶ【短歌】

2025年03月18日 | 短歌

遠目からでもそれと分かる
蕾がほころび始めた桜が
坂の上に見えました

急な勾配の坂なので
上ることは考えていなかったのですが

桜が誘っているように思えて
一期一会と坂を上ることにしました

風も心地よく用事もなかったので
一歩一歩、着実にゆっくりと上りました

疲れて来たところで
坂の上の白い綿雲が
力づけるように僕を呼びました