風のささやき 俳句のblog

訪問ありがとうございます
オリジナルの俳句を中心にご紹介しています
詩や短歌も掲載しています

放たれし囀り空に矢継ぎ早 【季語:囀り】

2019年04月27日 | 俳句:春 動物
お昼になったので外に食事に出かけました
上着がなくても少しも寒く感じられない
暖かな陽射しが降り注いでいました

道を歩いていると
突然鳥の鳴く高い声が聞こえてきました

鳥の姿は見えなかったのですが
何匹かいるようで矢継ぎ早に呼び合っています

この時分浮き浮きとした気分を覚えるのは
人も鳥も一緒なのでしょう
楽しそうな囀りは空に放たれた矢のようです
二の矢、三の矢と続き

それはしばらく僕の耳に残っていました

春(畑を耕して)【詩】

2019年04月25日 | 

春(畑を耕して)

さっき耕した畑に
もう雀が遊びにきている
まだ何も撒いていないから
慌てる必要はないのに

  ○

さっき耕した畑は
ふかふかの布団のようだ
家の中にいる皆を呼んで
触ってみたらと伝えたくなる

  ○

さっき耕した畑で
雀がミミズをついばんでいた
空のどこからか
僕らの作業を見ていたのだろうか

  ○

さっき耕した畑を
子猫がトイレ代わりに使っている
怒ってみるも意に介さずに
苦笑いをするだけの僕

  ○

さっき耕した畑の
そのことばかりが気になっている
もう小さな双葉が
顔を出したのではとそわそわする

  ○

さっき耕した畑が
花やハーブで一杯になったら
それを誰におすそ分けしよう
喜んでくれる人の顔を
今から思い描いている
楽しく


玩具なら目に見え増える注いでるつもりの愛情足りているかい 【短歌】

2019年04月24日 | 短歌
子供用の製品が日に日に増えて行きます
中でも増えて行くのが服や玩具

玩具は子供の成長にあわせて
色々な種類があるので
ついつい買い揃えてしまいます

我が家の場合は双子ということもあり
同じものを二つずつ買っているので
なおさらです

玩具は買い与えれば
それで満足してもらえるのですが

心もとないのが自分の愛情です
それなりに可愛がっているつもりなのですが
十分足りているのかなと考えてしまいます

目に見えないものなので
何とも図りようがないのですが
子供たちの楽しそうな様子を一つの目印に
自分のできることをしてあげたいなと思います

初めての春服何着せ街行かん 【季語:春服】

2019年04月20日 | 俳句:春 人事
子供たちにとっては始めての春
とりあえず着る物が必要ということで
春服の準備を始めています

出産のお祝いに貰った服があるので
随分と助かっているのですが
足りないものは少し買い足す必要がありそうです

男の子なので正直そこまで
服装に凝ることはないのですが
女の子だったら服選びにも
随分と迷うんだろうなと思います

いずれにしろ軽くなった服を着て
子供たちと街に出かけるのが楽しみです

春の畑で【詩】

2019年04月18日 | 

「春の畑で」

枝垂桜はもう散ってしまった
僕が怠け寝転んでいるあいだ
忙しく風に枝を揺らし続けて

桜色の花びらを受け止めた
大地を掘り返す

  ○

土筆の芽吹く大地を
子猫がかぎまわっている
初めての春の匂いを満喫して
体中を満たそうとしている

土を掘り返したら
もっと春が匂い立つから
今しばらくそこで
待っていておくれ

  ○

くわなどを手にすることのない
腕が快い悲鳴を上げる 曲げた腰もだ
こんな疲れならもっと欲しいとさえ言っている

  ○

太陽はどうしてこんなにも
優しい陽射しで励ましてくれる
心から応援してくれているようだ
いつまでも作業を続けたくなる

  ○

土にまみれた手を用水路で洗う
長く手をつけていることが
とても出来ない
雪解けの水がまだまだ冷たい

  ○

窮屈なビニールポットから
広い畑に植え替えられて
唐辛子やトマトが
風に嬉しそうに揺れる
どこまで深く根を伸ばして
天を掴めるかはみんな次第だが

  ○

大地に注がれる如雨露の水に
光が寄ってくる

まるで神様になった気分だ
こんなにきれいな光の雨を
降らすことができるなんて


欅の木鳴らした緑の風ならば眠りこけたる子の夢にも吹け 【短歌】

2019年04月17日 | 短歌
欅が立ち並ぶ公園を散歩しました

欅は自分の好きな木の一つです
あの大きくて悠々とした姿は
見ていると心が晴れます

その木陰に憩っていると
陽射しも随分と和らぎます

そんな背の高い欅の先を鳴らし
緑に色づいた風が
僕たちの周りを吹きました

子供たちは乳母車の中で
ぐっすりと眠っています

せっかくなのでその緑の風が
子供たちの夢の中にも吹き込んで
子供たちを笑わせればと
そんなことを思っていました

葉の傘に菫と雨を避けており 【季語:菫】

2019年04月13日 | 俳句:春 植物
その日は朝から曇り空だったのですが
大丈夫だろうと思い
傘を持たずに家を出ました

すると途中から
僕の行動を見透かしたような
大粒の雨

道を歩いていたのですが
隠れるところもなく
葉がすっかりと生い茂った木の下に
とりあえず潜り込みました

それでも雨は葉の間から漏れ
髪の毛を濡らすのですが
少しはましのようです

雨はやむ様子もなく
退屈紛れに
足元を見ると小さな菫の花

思わずみつけた話し相手に
雨の愚痴をこぼす自分でした

君とまたこの道を 【詩】

2019年04月11日 | 
「君とまたこの道を」

君といつかまたこの道を
歩くことができるだろうか
新しい春の訪れに青い空をみつめ
ちょっと心躍らせたりしながら

配達人となった風が
心をこめた手紙のように
次々と花びらを届けてくれる
桜吹雪の回廊に

陽射しと花びらとは溶け合い
僕の心の中のすべても
促されてもいないのに溶け出してしまった

春の暖かな陽射しを
たくさん貯めるポケットのように
空っぽの僕の横には あなたが
小さく歌を口ずさんで目を細めている

僕はすっかりと満足した気分で
ふとこのまま まどろみたくさえなってくる
何故かって こんなに軽い心で見る夢は
疑いも無く 楽しい夢だろうから
たとえば雲と雲の間に ハンモックを吊って
青い空の布団に眠るみたいな
平和な夢さえ見られそうだから

川の水面には雪のかけらよりも
か弱げに見える桜の花びら
若葉の柳は風景の塵を祓う
ちょっと威張った神主みたいだ

こんな楽しさを胸に歩くように
僕らの時間も続いていけばいいけれど
それは高望み過ぎるのかも知れない

それならば君と
いつかまたこの道を
楽しく歩ければいい
新しい春の訪れに青い空をみつめ
ちょっと心躍らせたりしながら

それを一人
散り行く桜に約束をした

さっきまで泣いていたのかクローバー涙の名残真珠みたいだ 【短歌】

2019年04月10日 | 短歌
その日は朝から雲の厚い日でした
時折思い出したように雨が降ったのですが
やがて空には太陽が戻ってきました

その隙間を狙って
公園に散歩に出かけたのですが
クローバーの花が雨を集めて濡れていました
まるで泣き濡れていたように
か弱げに見えました

そうしてその雨の名残が
小さな水滴となって
葉の上に転がっています
まるで小さな真珠をいくつも集めたようです

綺麗なものだなと思い
子供を抱きながら
しばらくそこに立ち眺めていました

高ぶるや雀鶯川の水脈 【季語:鶯】

2019年04月06日 | 俳句:春 動物
暖かい春の陽射しを楽しもうと
河原の散歩道を歩きました

散歩道には僕らと同じように考えたのでしょうか
たくさんの人が歩いていました

暖かさに誘われたのは
人ばかりではないようです

屋根を眺めると
何匹もの雀が跳ね回っています
どこからか楽しげな鶯の声も聞こえてきます

そうして一番高ぶっていたのが川の流れ
陽射しを乗せながら
僕らの遅い歩みを尻目に
勢いよく流れていきました