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風のささやき 俳句のblog

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とある風景に【詩】

2025年05月22日 | 俳句:春 時候

「とある風景に」

山間の村は
明るい陽ざしが集まるところ
5月、窓際には赤いゼラニウムを飾る
三角屋根の木造の家、こげ茶色

その隣り合わせた窓、二つ
金色の髪の、女の子の双子
それぞれの窓から顔を出して
何かの会話をしている
ピンクのパジャマ姿

お互いの部屋から見る風景には
まだ雪を頂いた山の連なり
上り切らない太陽の柔らかい日差しが
背の低い草や黄色の花の芽吹いた山肌
ふかふかに見せている

二人の机の上には、昨日の勉強の跡
開かれたノート、その上に転がる消しゴム
消されかけたいくつもの文字、数式
体に入れて行く知識の数だけ
人の思いも複雑になり、陰影を濃くするが

起きたらその人と話がしたくなって
窓の外に顔を出す、と
その人も窓の外に顔を出すような

会話がかみ合うことは嬉しい
話が通じ合うことは楽しい
二人の間には、淡く霞んだ、虹がかかっているようだ
その言葉に気持ちも乗って
二本の足を生やして行き来する、足早に
それが届くと、また嬉しくなって

朝食の食卓には
焼きたてのパンの匂い
もうすぐ、二人の名前が呼ばれる
食事を告げる声

それまでは続いている
心地よい会話を僕も
音楽を聴くように楽しんでいる
風もハミングしている


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