goo blog サービス終了のお知らせ 

風のささやき 俳句のblog

訪問ありがとうございます
オリジナルの俳句を中心にご紹介しています
詩や短歌も掲載しています

虫の音と添い寝する子の寝息かな 【季語:虫】

2024年09月21日 | 俳句:秋 動物

夜に早く帰り
子供たちと一緒に眠ることにしました

上の二人はまた騒いで笑い
一番早く眠らせたい三男が眠れません

仕方が無いので別の部屋に三男を連れて行き
眠ることにしました

三男が暑いというので窓を開けると
月の光と虫の声が部屋に届きました

遠くではまだ長男と次男がバカ騒ぎ
うるさいねと話をしていたのですが

やがてその声も静かになり
三男も眠りにつきました

窓の外に聞こえる虫の音と
耳元の子供の寝息を聞きながら
いつの間にか僕も深い眠りに落ちていました


片足に風しみないか壁の虫 【季語:虫】

2021年09月11日 | 俳句:秋 動物
玄関の横の白い壁に
緑色のものが張り付いていました

何かと思って眺めると
可愛らしい虫でした
それも片足が取れています

僕の家はマンションの10階
どうしてこんな場所に片足の状態で
へばりついていたのでしょう

その失われた足には
風がしみたりはしないのかと
しばらく動かない虫の様子を
眺めていました

引越しの指黒ずみて虫を聞く 【季語:虫】

2021年09月04日 | 俳句:秋 動物
仙台から東京へ戻ったときのこと

引越しの準備は思った以上に手間がかかりました
単身赴任になってから
だいぶ物を捨てていたのですが
それでも増えて行く荷物のダンボール

朝早くから作業を始めたのですが
まるまる二日間を
引越しの準備に使うことになりました

片づけが下手な自分の手際にも
原因があるのだと思うのですが

土曜日の作業が終ったのが22時頃
いつの間にか指は汚れで黒ずみ
窓の外からは虫の声が耳に届き
僕は救われた気持ちで
しばらくその歌に耳を傾けていました

氷箱ダースで睨むは秋刀魚の目【季語:秋刀魚】

2020年10月03日 | 俳句:秋 動物

近くのスーパーで
白い発泡スチロールの保冷箱に
氷水につかった秋刀魚が
売られていました

その秋刀魚たちと目が会うと
何故か恨めしげに
睨んでいるような気もして

僕は品定めをすることもなく
二匹を無造作にビニール袋に入れて

睨んでいる秋刀魚たちの視線から
逃れるようにその場から離れました


頭なき秋刀魚を「なな」と呼ぶ子かな 【季語:秋刀魚】

2020年09月12日 | 俳句:秋 動物
先日子どもたちをつれて
スーパーに買い物に行きました

ちょうどさんまがシーズンで
値段も手ごろ

子供達も魚を結構食べるので
それを晩のおかずにすることにしました

最初は何の処理も
されていないものを買おうとしたのですが
後のことを考えて
頭と内臓が処理されたものを買うことにしました

それを見ていた子供が魚と言おうとして
「なな」と呼び
自分に持たせろといいます

まだまだ分からないからいいのですが
これを見て魚は頭のないものだと
勘違いされたらやだなと
そんなことを考えて

頭のある方のさんまを見せて
これが「なな」だよと教えていました

薄藍の舞う影静か秋の蝶 【季語:秋の蝶】

2020年08月22日 | 俳句:秋 動物
小さな茶色の羽の蝶が
柔らかな秋の陽ざしの中で
空を舞っていました

時々は花にとまり
静かに蜜をすい
それから次の花に渡っていくのですが

自分の力で舞うというよりは
風に流されているような頼りなさです
体の力も尽きてきているのでしょうか

その命が長くはないことを伝えるように
羽ばたく姿が地面に落とす影も
どこか薄い色をして
哀れな感じを覚えさせました

過ぎる日々身投げバッタの飛べぬさま 【季語:バッタ】

2019年10月26日 | 俳句:秋 動物
近道をしようと
とある駐車場の中を横切っていたら
歩く先に殿様バッタがいることに気が付きました

バッタは僕が近づくのに
逃げる気配もありません

そうして指先で触れてみると
よろよろとは動くのですが
もう跳ねる力も無い程に
体の力が弱っているようです

そこは人の他にも
自転車や自動車も通るところ
まるで踏まれようとして
その場所に居座っているようで

僕はバッタの意志に任せて
その場を歩き去りました

公園に鳴く虫何処の生まれやら 【季語:虫】

2019年09月14日 | 俳句:秋 動物
帰りが夜遅くなってしまい
家路へと暗い道を急いでいました
昼間の暑さも和らいで
風も大分涼しくなっていました

とある公園の横を過ぎようと思っていたら
ひときわ高い声で鳴く虫がいて
その声にはしばし耳を奪われました

それにしても公園は街中にあり
近くに原っぱがあるわけでもなく
一体どこで生まれたのだろうと
ちょっと不思議に思っていました

公園生まれの公園育ちなら
余計なお世話なのでしょうが
ちょっと可愛そうだなと思いました

目に老いを感じる年の秋刀魚かな 【季語:秋刀魚】

2018年10月06日 | 俳句:秋 動物
先日新秋刀魚を口にしました
もうそんな時分になったのかと驚くばかりです

ここのところは
パソコンの見すぎか
眼鏡のフレームがゆがんでいるせいでしょうか
文字等が見難いことがあります

もしかすると老眼とも思ったりしながら
それを否定している自分がいます

秋刀魚を口にしていたら
そんな自分の上にまた
季節が重ねられているのだなとしみじみ思えて
味わい深いものがありました

鳴く事を厭わぬ虫の数多なり 【季語:虫】

2018年09月22日 | 俳句:秋 動物
とある空き地の側を通ったら
虫の声が聞こえてきました

何種類ぐらいの鳴き声が
そこにはあるのでしょう
僕の耳ではとても聞き分けられないのですが

その鳴き声は重なり合い
一つの調べとなって
僕の耳を楽しませてくれます

僕はしばらく足を止めて
静かにその調べに耳を傾けていたのですが
その音は休むことなく続きます

きっとどの虫もが
時間を惜しんで鳴いているからでしょう
怠け者の僕にはとても真似のできないことだなと
その勤勉さに頭が下がる思いでした