風のささやき 俳句のblog

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詩や短歌も掲載しています

ほうき掃く音だけ響き秋の朝 【季語:秋の朝】

2014年10月25日 | 俳句:秋 時候
遅い秋の朝はどこか静かです
少し体に染み込む寒さが
人の口を閉ざし
体の動作も封じ込めるからでしょうか

そんな静かな朝にも
落ち葉だけは悪戯な木枯らしに
降り落とされて道を急ぎます
そんな枯葉たちが散々に消え去らないように
箒を使う音だけが
朝の静けさを
一層深めるように響きます

夕映えを残したままの山紅葉 【季語:山紅葉】

2014年10月18日 | 俳句:秋 植物
秋の日が深まるにつれ
紅葉は炎のような色を増していきます

それは秋晴れの空を紅に染めて
山の彼方に消えていった
綺麗な夕映えの余韻を
葉の一枚一枚までもが
大事に抱えているかのようです

そんな余韻に震えたままの
風に葉が散るたびに
夕日の破片が
小さく踊っているようです

柿の実の落ちれば高き音もしそうな 【季語:柿】

2014年10月15日 | 俳句:秋 植物
電車に乗りドアのところ立ち
走り去る風景を眺めていたら
あちらこちらの庭先で
柿が枝に実をつけていました

風が吹くと
枝が重たそうに揺れるのは
実がぎっしりと詰まっているからでしょうか

その実は地面に落ちれば
高い音があたりに響き渡りような
そんな硬質な重量感をたたえ
一つ一つが手仕事で作った
陶器のようにさえ見えました

肩を噛む秋風誰の未練かな 【季語:秋風】

2014年10月11日 | 俳句:秋 天文
少し冷たい秋の風は
衣服の上から肩を噛み
その冷たさに思わず後ろを
振り向いてしまうことがあります
あたかも誰かに呼び止められるように

けれどそこにはうつむき歩く
人の波だけが通り過ぎ
僕の肩に冷たさを残したものの姿はありません

僕の肩を噛んだのは
誰でもない
夏に置き去りにした僕の心の名残なのかなと
そんなことを思っていまし

ぎんなんをあわてる子供の注意報 【季語:銀杏】

2014年10月04日 | 俳句:秋 動物
道を歩いていたら幾つかの銀杏の木に
たくさんのぎんなんが実っていました
風に揺られてすぐにでも
頭の上に落ちようと
爆撃体制を整えているさまです

子供たちはそんなぎんなんの
匂いを嫌がってでしょう
どこか楽しさそうな
ぎんなん注意報を発しながら
銀杏の木の下を走り抜けていきました