風のささやき 俳句のblog

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詩や短歌も掲載しています

寄り添えるポブラ二本の信じ合い【季語:ポプラ】

2024年06月29日 | 俳句:夏 植物

夏の川縁を歩いていた時のこと
背を伸ばしたポプラが二本
寄り添うように立っていました
その遠くには夏の雲が漂っていました

他に高い木もなくて
何故そこに二本だけだったのか
良く分からなかったのですが
何故かその姿が心に強い印象を与えました

お互いに支え合うような姿に
一本だけであったのならば
きっと寂しかったのだろうなと
勝手な想像をして

願わくは二本の木のどちらかが
欠けることなく寄り添うように
立っていられればと思っていました


沖合へ【詩】

2024年06月27日 | 

「沖合へ」

こぎ出したのは
北極星の輝く海だった


海原は軽く頭をもたげ
進めてゆく
オールもない僕らの
小さな舟を
暗い闇に
つつまれたままの
遠い沖合へ

月影がかなでる
水面の音楽の静けさに
時折は振り返る海岸線
かすかに
またたく街の明かりを送り
灯台はたむけに
光りの花束を投げてくる

それすらも
もう届かない
僕らは
見ず知らずの所へ
向かうのだと
語ろうとする
僕の唇をふさぐように
あなたの瞳は
語りかけてくる
夜空燃え尽きた
短い命の星を映して
(いく千もの費やされる
 言葉以上の言葉で)

行くあては
夜風さえも知らない
繰り返して歌う
波の音を聞きながら
その波間にかいま見る
不安と希望とを二つ
僕らもまた胸に宿して

高ぶる気持ちに
あなたの頭を胸に
長い髪に
隠れた耳元には囁きを

明日は南へ
暖かい
やしの葉が揺れる
白い砂浜へと
ただよう舟を
届かせよう 


戻る波 押し寄せる波 もつれあう 引くに引けずに 定まらぬ心【短歌】

2024年06月25日 | 短歌

波打ち際に佇んで見ていると
戻る波と
新たに押し寄せてくる波がもつれあい
行ったり来たりを繰り返します
まるで定まらない自分の心を見るようです

思い立って一瞬は気持ちが昂るのですが
それを否定する思いも湧いてきて
結局、迷いのままに
何も行動に移せない繰り返し

自分の性分なのでしょうが
我ながら情けなくなる時もあります


半ズボン探し朝から慌てよう【季語:半ズボン】

2024年06月22日 | 俳句:夏 人事

暑いこの時期は短いズボンをはく三男

二、三着お気に入りの物があるのですが
何時も変な所に脱ぎ散かしていたりして
洗濯がまだだったり、朝には乾いていなかったり
箪笥の何処かに紛れ込んだりと

学校に行く前になるとズボンを探して
バタバタとし始めます

毎朝のようにそんなことを繰り返すので
夜のうちに準備しておけというのですが
それもやりません

朝になると溜息をつきながら三男を急かして
駅までの道を急いでいました


思いに重なるために【詩】

2024年06月20日 | 

「思いに重なるために」

風がそっと心に
あの人の面影を置いていった

随分と ご無沙汰ねと言うように
その人の長い黒髪がなびいて
その人の甘い香りがした

いつでもその人は笑っていた
今でも向日葵のような
野原にひときわ明るい笑顔かしら
それは僕の導だった

少しの間 忘れたふりを
していたかっただけ
離してしまった悔いが
ずっと棘のようにチクチクと苛んだから

けれど 閉じた心のページには
あなたの栞をしっかりと
はさんでいたよ

その腕に包まれたときに
自分が大事な贈り物だとさえ思えた
怯えた心に震えがなくなった
死んでもいいと自棄になる心の
愚かさを知った

それから
長い時間を一人歩いて
あなたの胸に
抱きしめられた幸いに
改めて気がつく

人は感じ取れないものを
確かに胸に受け止めるために
どれだけの回り道を
しなければいけないのだろう
もう思い出の中でも
その胸に帰ることはできないけれど

共にあったありがたさを
忘れることはできない
胸に刻まれたあなたがくれたこと
その深い愛情を
全て感じ取れるように
僕はまた歩を進める


人の目に右往左往だ閉じ込めて街の気分だ心苦しさ【短歌】

2024年06月18日 | 短歌

街で暮らしていると
沢山の視線に
体を切り裂かれるようです

きっと僕が
そうしたことを気にし過ぎるからなのでしょうが
その視点に晒されるごとに
おろおろとしていしまい
右往左往とする自分です

そんな気分は
もしかすると多少なりとも
皆感じているものかも知れませんね

心苦しさが街の雰囲気のようになって
心に毎日のしかかっています


スマホ見る君が宣する梅雨の入り【季語:梅雨】

2024年06月15日 | 俳句:夏 天文

強い陽ざしに汗ばむ日々から一転
肌寒い雨模様の日が多くなり

晴れ間を狙って
布団を干したりしています

梅雨入りの日は
夜遅くまで仕事をしていて
一緒に帰った人から
今日から梅雨入りだと聞きました

その手にはスマホを持っていて
ちょうどその時に調べたようです
便利と言えば便利なのですが
ちょっと趣がありませんね

その日から愚図ついた
空模様が続いています


客は泣く一人残らず雨叩く車窓、電車はレールの嗚咽【短歌】

2024年06月11日 | 短歌

その日は少し冷たい雨が降っていました

僕は駅で電車を待っていたのですが
通過する電車も雨に濡れて
手すりにつかまり立っている人たちの姿も
濡れた車窓の向こうに歪んで見えていました

笑って会話をしている人、俯いている人
スマホに熱中する人と
それぞれだったのですが

心の奥底には本当は
泣きたい気持ちを抱えていて
濡れた車窓の上にそれが
現れているようで

勝手な納得感を持って
通り過ぎる電車を眺めていました

速度を少し落とすために
ブレーキをかけた電車と
レールとが軋む音も
悲鳴のように聞こえていました


窓開けて虫の脅しに蠅取草【季語:蠅取草】

2024年06月08日 | 俳句:夏 植物

暑い夜が続いて
窓を開けて眠る日が増えました

風が心地よく
そのまま寝入ってしまうのですが
気になるのが蚊の侵入です

もちろん虫よけを炊いたりもするのですが
そんな物はなしですませるのが一番だなと思います

網戸も古くなっているので
風が強いとガタガタと音と立て
ここの所はハエトリソウを窓辺に移して
蚊を取ってくれとお願いしています

もっともそれで蚊の侵入を防げるとは思えず
脅しにはならないのでしょうが
僕の心の気休めにはなっているようです