風のささやき 俳句のblog

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詩や短歌も掲載しています

帰り道年の名残りの夕日の目 【季語:年の名残】

2023年12月30日 | 俳句:冬 時候

もう今年も残すところ後わずか

年末年始は家でゴロゴロしようと
少し多めに食材を買いました

もう夕暮れ時
夕日が随分と低いところまで降りていて
そのオレンジ色の眼差しで
僕を見ているようでした

まるで今年一年の労苦を
労ってくれているような
少し濡れた目

今年の終わりを実感していました


冬の夜に【詩】

2023年12月28日 | 

「冬の夜に」

冬の夜の
胸は冷たいがらんどう
助けを求める言葉も虚ろに消える
深い谷底に投げ込んだ
石がいつまでも音を返さないように

冬の夜の胸には
木枯らしが吹く
白い粉雪も舞い込んで
視界が閉ざされる
白い溜息を吐く以外
許されない僕は
あてどなく暗闇に出口を探す

冬の夜
胸の内から染みだす冷たさに
指先も爪先も凍える

例えばこの部屋で一人
息もせずに 明日の朝
冷たくなっている僕だとして
きっと不思議ではないこと

だからきつい蒸留酒をあおり
内から胸を焼こうとするのだが
その酒の強さにむせた
涙まじりの赤い顔が鏡に浮かぶ

冬の夜に一人
忘れられた玩具のように
放り出されて

冬の夜の胸はがらんどう
どこまでも冷えてゆく
しんしんと しんしんと
涙でつららもできるかも知れない

冬の夜
一人で燃え上がる薪はない
誰かの傍らに眠りたい
小さな炎を胸にともしたい

冬の夜
助けを求める
言葉がうつろに響く胸だ


クリスマス 君にあげたいものばかり 僕には君の 笑顔返して 【短歌】

2023年12月26日 | 短歌

クリスマスのプレゼント

子供たちが小さな頃
欲しい物をあらかじめ聞いて
こっそりと準備をしました

悟られないように
見つけられない場所に隠して
サンタからのメッセージカードを準備して

朝、いつもよりも早く起きる子供たち
サンタさんが来たと
プレゼントを開ける姿がとても可愛らしく
プレゼントができて
良かったなと思いました

その割には乱暴に扱われ
直ぐに壊されてしまった玩具たちでしたが


握ったら手すりも冬の住処かな 【季語:冬】

2023年12月23日 | 俳句:冬 時候

夜、駅の階段を降りる際に
手すりにつかまろうと触れると
氷に触れたような冷たさが伝わってきて
思わず手を放しました

冬が手すりに住み着いて
それに相応しい冷たさに
変えてしまったものです

一瞬、驚いて、胸の中もひんやりとして
冬は家の中で
布団にくるまっているのが一番だなと
そんなことを思いました


冬の満月に

2023年12月21日 | 

「冬の満月に」

冬の大きな丸い月を
子供が見ていた
兎が一生懸命に餅を
ついているのを見たという

その兎の吐く息で
この夜はこんなにも寒いのか
納得もゆく

子供は口を開けて
餅が落ちてこないかと見ていたが
やがて飽きて布団の中で
ぬくぬくとしている

冴え冴えと
青白い月の光
明日は霜柱も立つだろう

子供の見た月の兎は
夜通し餅を搗くのだろうか
きっと働き過ぎだ
少し休めばいいのに
真面目すぎるのも体に毒だ

カーテンを閉める前に
おこぼれの餅を
もう一度確認する

固くなった冷たい餅ならば
温め直さなければいけないな


歳月はまるで摩擦にならないな心転がる加速度増して 【短歌】

2023年12月19日 | 短歌

年を取れば心も少し落ち着くのかなと
若い頃には思っていたのですが

歳月はまるで転がる心を止める
抵抗力にはならないなと
がっかりとしています

むしろ、心の落ち着きのなさを
ますます感じるばかり
行く当てもなく転がるばかりの心を
直ぐに見失いそうになります


呟きが響くはっとや冬の夜 【季語:冬の夜】

2023年12月16日 | 俳句:冬 時候

冬の寒さのせいで人が少ないのか
ここのところ、夜遅くなると随分と静かです
たまに、酔っぱらいの声がする位で

そんな夜の静けさの中で
パソコンをいじりながら
ああでもない、こうでもないと
思わずつぶやくと
その声の大きさに
我ながら驚いてしまいます

誰か起こしてしまったのではと思い
横を見るとぐっすり眠っている子供

独り言を言わないようにと
心にとめて
またパソコンに向かいました


冬空に【詩】

2023年12月14日 | 

「冬空に」

冬空に遠く鳴っている音がある
彼方へと旅立とうとうする
船の汽笛のように微かに

どこかへ行きたくて
どこへも行けなくて
そっと諦めた
悲しみは深く青い色

耳はその音を聞く
僕の心のか細い呻き
旅立つことを告げ
どこにも旅立てずに
燻っている

何者でもない胸が
冬空に共鳴している


手をつなぎたくなりそっと指触れてそこだけ冬は温かくなり 【短歌】

2023年12月12日 | 短歌

小さな柔らかい手
好きな人の手に触れていることは
嬉しいことですね

指が触れただけで
そこだけ空気が温かくなったように思えて
その小さな手を思わず
ずっと包んでいたくなります

自分の場合は
朝、三男と手を繋いで
駅まで行くことが多いのですが
その手の温もりが
駅の改札を通る瞬間にも残っていて
仕事に行く元気をもらえたりもします

人は自分が思う以上に
誰かに力をもらい
同じように与えているのかも知れませんね


寒き朝あてにならないあと5分 【季語:寒き朝】

2023年12月09日 | 俳句:冬 時候

冬になってますます
子供たちが朝、布団の中から出てきません

部活の朝練があるので6時半に起こしてと言われて
こちらも遅れてはいけないと
必死に声をかけるのですが
あと5分といった後、しばらく起きてこないので
また声をかけに行く繰り返しです

眠いし、寒いしで
布団から思い切って起きる気持ちにならないことは
自分も良く分かっているのですが
こちらだけ、慌てた気分で
子供たちが呑気に起きてこないと
それはそれで頭にも来ます