風のささやき 俳句のblog

訪問ありがとうございます
オリジナルの俳句を中心にご紹介しています
詩や短歌も掲載しています

卒園は花咲く温き日子は笑い涙耐えるは先生のみに 【短歌】

2021年03月31日 | 短歌
子供たちの保育園の進級式があった日は
朝からとても暖かで
上に羽織ったジャケットが邪魔なぐらいでした

小さな子供たちとその親の集いなので
当日は賑やかそのもの
笑顔が絶えない状態でした

中には4月以降
他の保育園に移る子供や
小学校に進級する子供もいて

一人一人に進級証書が送られたのですが
先生たちの中には
涙を耐えている様子の方もいらっしゃいました

そんな風に大切に思われ
接してもらっている子供たちは幸せだなと
感謝したい気持ちでいました

春の瀬や朽木ひねもす渦に巻き【季語:春の瀬】

2021年03月27日 | 俳句:春 地理

春の暖かな川べりを歩きました
菜の花も咲いて彩を添えていました
春の瀬も饒舌に流れ
たくさんの人が川べりを歩きます

川には流れてきた
朽木が縦渦に巻かれて
その場に留まり回っていました

しばらくそこで磨かれたら
朽木も随分と奇麗な仕上がりになるのではという
丁寧な仕事振りでした


風の中で 【詩】

2021年03月25日 | 

「風の中で」

歩き疲れ
春の公園のベンチに
腰をおろして
休む僕の姿を
風が包み込んで
流れて行く
髪を揺らし
頬をなぜ
まどろみを誘う暖かさに
目を閉じる僕は
自分のいる場所を
見失ってゆく
耳に歌う
風のなかに
まぎれこんで
消えてしまいそうになる・・・・・

風よ
僕はいま
何処にいる
そうして何処へ
流れて
ゆこうとしている
わからない
明日を
おびえそうになる
僕の弱い心は
風よ
わずかな悲しみにも
もろく
くずれそうになるから
支えていてくれ
僕の心を
涙に濡れそうな
瞳を乾かし
とぎれそうな
細い歌声の詩を
つづろうとする指先を暖め
絶えることの
ないだろう
争いと悲しみの中に
僕の生は
いつでも置いて
優しい者に
僕がなれるように
僕の眼差しで
すべてを
愛せるように・・・・・

風よ
木立は
おまえにくすぐられて
新緑を鳴らし
暖かい陽射しは
芝生の上を
走っている
遠くからは
子供たちの
はしゃく声が聞こえる
車の音が
どこかへと
走り去って静かになる
風よ
何をこれから
僕は
通り過ぎて
ゆかなければ
ならない
わからない
明日を
おびえそうになる
僕の弱い心だから
大いなるものを
信じさせていてくれ
いつでも
僕には
愛そうとする
意志の中に
消えない希望があると
信じさせていてくれ
どれだけか激しい
雨の夜に
一人苦しもうとも・・・・・

風よ
まつげを
濡らしそうになる
涙を
拭い去ってくれ
嘘のない言葉を
僕の口からは
語らせてくれ
優しい者に
僕はなれるように
まわりにはいつでも
微笑む顔や
穏やかな声が
あってほしいから
胸の内にまた
頭もたげる
騒がしさを打ち消して
僕をこのまま
抱きかかえたままで
風よ
風よ・・・・・


雑草の類の春の花の名を知りたし祈りのように唱えん 【短歌】

2021年03月24日 | 短歌
春になって目にする野の草花

どこにでもあり
毎年目にするので
顔なじみなのですが
名前を知らない草花も沢山あります

それぞれが可愛らしい表情で
目を楽しませてくれるので
名前がわかればと思う時があります

ちゃんと調べればきっとわかるので
それをしない僕の怠慢なのですが

その名前が分かれば
祈りの言葉のように
感謝をこめてその名前を唱えるのになと
そんなことを思いつつ
名も無い草花に目を注いでいました

春茜野山も諧調失くしおり 【季語:春茜】

2021年03月20日 | 俳句:春 天文
昼間は陽射しも強かったのですが

夕方になると風が心地よく
子供たちを乳母車に乗せながら
散歩をしました

春の夕日に彩られると
あたり一面が皆同じ色合いに染まり
自分も夕日の一部になってしまったようで

普段は騒がしい子供たちも
僕と一緒に黙って赤い風に吹かれていました

別れに(卒業の日に) 【詩】

2021年03月18日 | 

「別れに(卒業の日に)」

もうこんな気持ちとともに
歩くこともない
欅並木の道では
晴れた三月の空に
レースを縫い込むように
枝々がその手を延ばして
かたい蕾からは
はや小さな生命が
顔を覗かせている
新しい季節の陽射しを
その身
一杯に感じて。

繋ぎ止めておくことのできなかった
愛しい人の面影も
かなわないであった
幾つもの思いの悲しみや痛みも
流れ込んでゆく
煉瓦作りの正門を通り
古びた校舎の教室や
木陰のベンチの上に
今は穏やかな
僕の好きな季節の風をまとって
何のとがめの言葉も
憂いの思いも
もうつぶやくこともなく。

見慣れたバス停に立ち
バスを待つ人々の姿も
今日は少し寂しく
僕の目には映る
誰もいない電話ボックスが二つ
日陰には静かに
並んでいる・・・・・

過ぎては
流れゆく時に
いつしかまぎれては
忘れ去られて行く
日々の思い出だから
愛しく僕の胸の中には
見果てぬ日々の訪れを
不安な眼差しで見つめている
僕を支えていてくれ。


春風に包まれ僕の解れ行くバラの体は持ち去ってくれ 【短歌】

2021年03月17日 | 短歌
暖かな春の風が
僕の身をつつみました

肌に心地の良い風なのですが
その風に包まれていると
体がバラバラになりそうな
感覚を覚えます

この時分の慣わしなのですが
このまま風に体を持ち去ってもらい
この身が風の中に透けてしまえばと思います

自分はこの身を風に捧げてと思うのですが
風が吹きすぎるとそのままにある
自分がいます

種を撒く気持ちにもなり二月尽 【季語:二月尽】

2021年03月13日 | 俳句:春 時候
早いもので
二月も過ぎて
寒いなと思っていたのですが
すっかりと花粉の季節

寒い間は億劫で
外に出て何かをしようとする気は
とても起きませんでした

それがこの時分になると
太陽の陽射しも肌に優しく
久しぶりにベランダに出て
土に触れてみたくなりました

たまたま先日もらった
カスミソウの種があったので
それをホカホカ暖まった
鉢植えの土に撒き楽しい気分でいました

植物の芽吹きを実感できる
季節の訪れだなと
明るい空を見上げて思っていました

春風 【詩】

2021年03月11日 | 

「春風」

くしゃみをする人が多いせいだろうか
今日は随分と春風が強いな

   ○

いつからそこにあったのだろう
ポケットから出てきた
紙くずのメモを
春風が一瞬で
僕の手の中から
奪い去っていった

   ○

橋の上の列車にも
春風の羽が生えた
あんなに軽やかに
走り抜けるなんて

   ○

解けた靴の紐も
ゆっくりと結んでいたい気がする
暖かな春風の中では

   ○

僕のコートを奪い去った春風
コート代わりまだしばらく
僕にまとわりついていておくれ

   ○

空き店舗に新しい店が入った
開店祝いにと
光る春風が
ショーウインドウを磨く

   ○

犬の尻尾が勢い良く揺れる
春風がじゃれついて
離れないからか

   ○

みかんのなる木立を見つけた
春風の吹くほうを眺めたら

   ○

こんな暖かな春風に誘われると
四葉のクローバーもたくさん
芽を出しそうで

      ○

君の顔を
軽い口づけでいっぱいにして
春風が今過ぎていった


弾力を持った桜の蕾をつまみ月と占う花咲く時分 【短歌】

2021年03月10日 | 短歌
駅のホームで電車を待っていました
まだしばらく時間があったので
手持無沙汰で
近くあった桜の木を眺めました

するとその枝先には
後何日かすれば
花をつけそうな蕾があり

僕はその蕾に手をのばして
指先でつまんでみました
すると思った以上の弾力で
内側から押し返して来るものがありました

後何日で花が咲くだろうねと
ちょうどその視線の先にあった
月に語りかけていました