福岡に単身赴任した初めの頃
海を眺めながら離れた家族のことを思い
少し寂しい気分でいました
押し寄せる波が
僕の心を洗う寂しさのようで
その寂しさがどこから来るのかもわからず
止める術も知らずに
打ち寄せたと思ったら
泡立つように消えてしまう
そんな心の様と波とを
重ね合わせて見ていた自分でした
福岡に単身赴任した初めの頃
海を眺めながら離れた家族のことを思い
少し寂しい気分でいました
押し寄せる波が
僕の心を洗う寂しさのようで
その寂しさがどこから来るのかもわからず
止める術も知らずに
打ち寄せたと思ったら
泡立つように消えてしまう
そんな心の様と波とを
重ね合わせて見ていた自分でした
ローズマリーが
青い小さな花を咲かせました
その鉢植えを眺め
水をあげようか確かめるために屈み
土の上に指を置くと
指先が温かく感じられました
人の感覚は思った以上に繊細ですね
そんな僅かな温度を感じ取って
嬉しくなるなんて
ついでに
ローズマリーの葉をつまみ
指先についた気付け薬のような
苦味のある薫りを楽しみました
# 2020 春に
春の暖かな川べりを歩きました
菜の花も咲いて彩を添えていました
春の瀬も饒舌に流れ
たくさんの人が川べりを歩きます
川には流れてきた
朽木が縦渦に巻かれて
その場に留まり回っていました
しばらくそこで磨かれたら
朽木も随分と奇麗な仕上がりになるのではという
丁寧な仕事振りでした
下田は函館とともに
日本最初の開港の地として知られています
1854年日米和親条約により
ペリー艦隊7隻が入港し上陸を遂げました
外人を見たことのない当時の人たちにとって
これはとても大きな事件
人々の驚きや恐れといった感情は
想像するに難くありません
穏やかな色合いで
旅人を迎えてくれた下田の海は
その当時も同じような優しさを
浮かべていたのでしょうか
今でもペリー上陸の碑やペリーロード等
当時を偲ばせる場所もあるのですが
やはり隔世の感があります
毎日、電車から眺める川があります
冬の間はどこか重たく流れていたのですが
春がきざすとともに
流れが勢いを増したように感じられます
春を待ちわびていた川が
鼓動を高鳴らせて
それに合わせて流れも速くなったよう
川の高鳴りにあわせて
水面には暖かな風が誘われ集います
庭先の小さな池の氷も
すっかりと薄くなり
その氷をまばゆい陽射しが
叩いて遊んでいました
打たれるたびに
眩しさを散らす薄氷
その力に耐えきれなくなったのか
僕が軽く触れただけで
割れてしまいました