風のささやき 俳句のblog

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小春日や生にぽつぽつ落ちてあれ 【季語:小春日】

2017年11月25日 | 俳句:冬 時候
寒い日の合間の小春日でした
ここのところは風も冷たく
外に出ているのが億劫だったのですが
久しぶりに陽射しを楽しめました

たまには寒さの緩む日がないと
冬は辛いなと思うのですが

思えばそれは人の生でも同じこと
毎日息苦しく過ごすことが多いのですが
たまにホッと出来る時間に出会えると
もう少し頑張ってみようかという気持ちにもなります

そんな小春日のような時間が
これからの生の中にも
ぽつぽつとあればなと思いました

ビルの中迷子の枯葉の慌て振り 【季語:枯葉】

2017年11月18日 | 俳句:冬 植物
いつもの通りとあるビルの中に入りました
考え事をしながらロビーを歩いていら
どこから迷い込んだのでしょう
枯葉が僕の目の前を
まるで生きているかのように動いています

僕も初めて見る珍しいお客様
枯葉も早く外に出たいと
出口を求めて慌てふためているようです
その様子が気になったのですが
僕も先を急いでいたので
見てみぬ振りをしていたのですが

あの枯葉はどうしたのでしょう
掃除の人に摘み出されたのかなと心配していました

古紙飛ぶや秋風に帆を膨らませ

2017年11月11日 | 俳句:秋 天文
今しがた走り去っていた
電車を追いかけるように
読み捨てられた新聞が
カサコソと音を立てながら
飛んで行きました

まるで迷子になった
子犬が慌てているようです

古新聞は真ん中の部分が
秋風をはらんで膨らみ
まるで風に張りつめた帆のようでした

それも風が古新聞に飽きて
そっぽを向くと
古新聞は勢いをなくして
レールの上に息絶えました

秋風や車窓に身投げる蝶もあり 【季語:秋風】

2017年11月04日 | 俳句:秋 天文
その日の秋の風は穏やかで
ふらりと近場に遊びに出かけました

電車に乗って何も考えずに
風景を眺めていたのですが
青く晴れた空の下を流れていく景色には
飽きることがありませんでした

そんな風景の中から
急に窓に飛び込んでくるものがいました
一匹の小さな蝶でした

人には穏やかな風も
蝶にとっては
短い生の終わりを伝える
不吉な使者なのでしょうか

その様は
まるで自分の生い先の短さを嘆き
自ら車窓に身を投じたようにも見えて
胸に痛みを覚えました