風のささやき 俳句のblog

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フランコのある公園で 【詩】

2023年04月20日 | 
「フランコのある公園で」

君たちの遊んだ公園、ブランコが
揺れる、僕の中にはまだ小さな君たちが
そこで遊ぶようだ、賑やかな声が聞こえる
背中を押してと、もっと高くと
二つの小さな背中を、交互に押した

世界は揺れる、地面は離れ近づき
時々は水平になり、君たちは
それでも、酔うこともなく
ただ、歓声をあげて笑った
(世界は揺れ続けている
 足元から、それは今でも変わらない)

二人でどちらが高くまで
ブランコをこげるか、君たちは
競争をしていた、だから僕をせかして
もっと背中を押せといい、小さな背中に
加えられた力が、円運動に変わり
空から落ちてくる背中が、また半円を上りつめて
顔から落ちて行くときに、また背中を押して

君たちが、ブランコから飛び出して
地面に投げ出されないか、それを心配して
加える手心は怒られた、もっと、もっと
(君たちは自分の力で
 僕の力の及ばない地点まで
 飛んでいけば良い)

春の陽射しが、君たちに触った
そのつやつやした、はち切れそうな頬が
赤く透けて、小さく太陽が点った

小さな君たちの靴が、空を蹴り上げた
空はそ知らぬふりをして、けれど
少しはくすぐったかった、かも知れない
だって、その瞬間に空が
柔らかくなったように、感じられたから

今はもう、知らない子供たちが
遊ぶ、公園に、僕は
確かに君たちの姿を、懐かしく見ている

すくすくと、育って欲しい


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