風のささやき 俳句のblog

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詩や短歌も掲載しています

本に来て智恵蓄えるか光る蜂 【季語:蜂】

2016年04月24日 | 俳句:春 植物
電車の中で本を読んでいたら
どこからか入ってきた蜂が
僕の開いていた本の上にやってきて
僕と一緒に本を読むように
活字を眺めていました

その一生懸命な様子に
先にその頁を読み終えた僕ですが
蜂の読むがままにまかせていました

やがて僕の本から必要な智恵を得たのでしょうか
他の人の本を探しに飛んでいったのですが
その姿はどこか光ってさえ見えました

子の手から蒲公英の旅あてもなし 【季語:蒲公英】

2016年04月17日 | 俳句:春 植物
目の高さが随分と低いからでしょうか
小さな子供が
めざとく種をつけた蒲公英を見つけて
手折った茎をにぎっていました

子供の小さな頬を膨らませた息では
一度に吹き飛ばせなかったからでしょうか
それとも楽しみは何回かに分けて
ということなのでしょうか
蒲公英の種は半分だけが吹き飛ばされた状態でした

暖かな南風よりも柔らかな子供の息に後押しされて
蒲公英もうれしかったのでしょう
あてなき旅への不安も感じさせずに
楽しげに空に飛び立って行きました

風速は今どれぐらい雪柳【季語:雪柳】

2016年04月10日 | 俳句:春 植物

ゆったりと風の中を泳ぐように
雪柳が白い花を咲かせ
風に揺られています

目には見えない風の流れが
はっきりと見えるようです
その休みを知らない仕事ぶりを
感心しながら眺めていました

きっとそれは休みたくもない
楽しい仕事なのでしょう
けれどそんなに動いては
大切な花も散ってしまうと
いらぬ心配をした午後でした


惜しむ手のあまた抜けては散る桜 【季語:桜】

2016年04月03日 | 俳句:春 植物

お昼時に桜並木を一人歩きました

降り注ぐ陽射しも
桜色に柔らかく染まり
桜のトンネルをくぐる風が
僕の髪を揺らしながら
通り過ぎてゆきました

そんな風に散り落ちる花に
前を歩く人が手を差し出しました
散る花を惜しんでのことでしょう

そうして子供たちも一緒に
花をつかもうと真似をしました

けれど差し出された手を
気にとめることもなく花は
地面に落ちてゆきました