風のささやき 俳句のblog

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ぎんなんをあわてる子供の注意報 【季語:銀杏】

2015年10月25日 | 俳句:秋 植物
道を歩いていたら幾つかの銀杏の木に
たくさんのぎんなんが実っていました
風に揺られてすぐにでも
頭の上に落ちようと
爆撃体制を整えているさまです

子供たちはそんなぎんなんの
匂いを嫌がってでしょう
どこか楽しさそうな
ぎんなん注意報を発しながら
銀杏の木の下を走り抜けていきました

影だけが我とつれそう秋の暮

2015年10月18日 | 俳句:秋 時候
厚着を着ていても肌寒い秋の暮れ
僕は少し背中を丸めながら
街を急いでいました
空を色づける夕日も
どこか重たげな色合いをして
気持ちも沈みがちになります

そんな寒空の風景の下でも
誰かと一緒に歩くのであれば
それなりに楽しくいられるのでしょうが

僕に連れ添っているのは
足元から伸びる長い影だけ
肌寒さが一層
胸に染みる思いがしました

風の尾にまとわりつくや金木犀 【季語:金木犀】

2015年10月11日 | 俳句:秋 植物
街角を歩いていたら
どこか甘い香りが漂ってきました
すぐにそれが金木犀のものだと気づき
香りがする方を
キョロキョロと眺めていたら
オレンジの小さな花がたくさん
顔をのぞかせていました

金木犀はその甘い香りで
注目を集めようとするのでしょうか
控えめな花なのに
風にまとわりつく甘い香りに
遠くからでも目が行ってしまいます

ほんとうは早く見つけて欲しいと期待しながら
隠れている子供のようだなと思ったら
少し可笑しくなって
花に触れていました

鳴くほどに宵闇深めるちちろかな 【季語:ちろろ】

2015年10月04日 | 俳句:秋 動物
姿はまるで見えないのですが
窓辺を開けていると
ちちろ(こおろぎ)の声が
波のように寄せて耳に届きます
虫の声は不思議です
虫が鳴きだすと
その音に耳を澄ますかのように
あたりの物音が止み
静けさが深まっていきます

夜、目が冴えて眠れず
一人いた僕は
虫の声に部屋の闇が
深まっていくような感じを覚えて
快い闇に身を浸していました