風のささやき 俳句のblog

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詩や短歌も掲載しています

月照らす草地は映画館の跡【季語:月照らす】

2024年10月05日 | 俳句:秋 天文

以前、子供たちとよく出かけた
映画館のあったビルが
すっかりと空き地になっていました

古い映画館だったので
席も空いていて好きだったのですが
そんな場所があったことさえ
まるで遠い昔のことのように思えました
変わらない物はなにもないですね

その空き地を照らしていたのは
空にかかった明るい月

短い生を生き急ぎ
移り変わりに一喜一憂する僕らとは
その静かな月明かりは
まるで違う次元にあるようで

空き地は僕の感傷よりも
その月明かりに馴染み静かでした


颱風は過ぎそれぞれの用に立つ 【季語:颱風】

2024年09月07日 | 俳句:秋 天文

台風に直撃された日
テレワークだったので
一日、家の中で過ごしながら
時々、窓の外を眺めていました

途中、風も強くなり
台風が来ていることは感じられたのですが
家の周りでは
思った以上に激しくはならずに過ぎて行きました

次の日に自転車で出かけると
もう台風の気配もありませんでした


鳴り物が止むに止まれぬ暴風雨 【季語:暴風雨】

2024年08月31日 | 俳句:秋 天文

雨はさほど降らなかったのですが
風が強かった日

普段は音を出さないベランダの置物や
窓枠、網戸
家中がどこか軋んだ音を出し
気持ち悪い感じでした

一番気持ち悪かったのは
家の前の工事現場に
備え付けられたクレーン

みしみしと音を鳴らして揺れ
今にも倒れて来そうに見えました


隈取の秋雲睨む僕なのか 【季語:秋雲】

2023年09月16日 | 俳句:秋 天文

朝、駅で電車を待っていました

見上げると
空をキャンパスにすじ雲が模様を描いていました
その模様がどこか歌舞伎の隈取りのように見えてきて
眉をしかめて、怖い顔で
僕を睨んでいるようにも見えました

何か悪いことでもしたかしらと
少し居心地が悪くなって
それから目をそらして
入ってきた電車に乗り込んだ僕でした


子の指の先秋雲の写真撮る 【季語:秋雲】

2022年10月15日 | 俳句:秋 天文
子供と一緒に外に出かけました

秋らしい一日で
肌に当たる風も気持ち良く
子供も走ったり止まったりと
楽しそうに動き回っていました

そうして立ち止まった子供が
空に浮かぶ雲を指さして
写真を撮ってとねだりました

筆で描かれたような繊細な形の雲でした

好きに撮影して良いよと
自分のスマホを子供に貸すと
子供は空に向けてシャッターを切っていました

確かに空は高く
秋らしい色合いで
人の心を引き付けるには十分魅力的でした

遊ぶ子の笑顔も静か秋日和 【季語:秋日和】

2021年10月16日 | 俳句:秋 天文
晴れた秋の日でした
吹いて来る風も心地よく
いつまでも外を歩いていたいと
そんなことさえ思わせます

道の向こうからは
自転車に乗った二人の子供が
僕の脇を通り過ぎて行きます

その子供たちの笑顔は
いつもとは違いとても静かで

きっと秋の陽射しに手を置かれて
優しくなってしまったのでしょう
その証拠に僕の周りのすべても
静かに押し黙っていました

天高し呆れる食い気の童かな 【季語:天高し】

2020年09月05日 | 俳句:秋 天文

子供たちの食欲が異常なほどです

保育園の給食をきれいに食べて
夕方にはお腹をすかし
持ち込みのおにぎりを食べ
家に帰ってきてから
またきちんとご飯を食べます

2歳前の子供の食欲とは思えず
このまま育ったら
どれぐらい食費がかかるのか
ちょっと心配になります

育ち盛りでお腹が空くのでしょうから
自然なことだとは思うのですが

色々と美味しい食べ物も多いこの時期
子供たちの食欲が止まることはなさそうです

(Haiku)
Autumn’s sky so vast,
Children’s hunger, insatiable,
Never saying, “Enough”


蜘蛛の巣や主の代わりの三日の月【季語:三日の月】

2019年09月07日 | 俳句:秋 天文

お酒を飲んで夜遅くの帰路でした
人も少なくなったホームで
電車が来るのを待っていました

手持ち無沙汰で
辺りを眺めていたら
破れかけた蜘蛛の巣が目に止まりました

良く見ると大分前から
捨てられた状態なのでしょう

蜘蛛の姿もなく
そこに捕まる間抜けな虫もおらず
ただ三日月だけが捕らえられていました


生ぬるき風のうなりや台風裡【季語:颱風裡】

2019年08月31日 | 俳句:秋 天文

台風が日本を縦断しました

その夜は関東地方に中心があり
東北に進んでいました

風はその台風の到来を
予告するような生あたたかさで
うなりをあげています

ざわざわとなる木立や草花
そうしてかろうじて鳴く虫も
どこか緊迫感を漂わせています

明日にはきっと
傘もへし折るような風と強い雨
早めの備えをと思いました


颱風裡会話に潰え三連休 【季語:颱風裡】

2018年09月01日 | 俳句:秋 天文
季節はずれのとても激しい台風が
通り過ぎた三連休のことでした

珍しく首都圏にも爪あとが残り
普段は意識しない自然の力の強さを思いました

僕は友人が家に泊まりに来るということで
雨の中駅まで迎えに行ったのですが

その後も
空模様は一向に良くなる気配も無く
結局友人がいる間中雨

せっかくの機会だったのですが
外に行く気にもなれず
夜遅くまでの会話で時間をつぶしていました