風のささやき 俳句のblog

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昼寝時嫌われに来る黒き蝿 【季語:蝿】

2018年06月30日 | 俳句:夏 動物
暑い盛りのことでした

お昼は食欲もなく
さっぱりとしたものを食べて
ゴロゴロとしていたら
少し眠くなってきたので
昼寝でもしようと布団を敷きました

あちらこちらの窓を開けて
風通しをよくしてから横になると
一匹の大きな蝿が紛れ込んできて
僕の頭の上を飛び回っています

無視して寝ようと思ったのですが
やはり気になり寝れません
もうこうなったら駄目だと思い
用事をすませようと起き上がりました

ほんとうに人の嫌がるタイミングで
入ってくるものです

家の内外も変わらぬ襟に汗 【季語:汗】

2018年06月23日 | 俳句:夏 人事
その日は久しぶりに暑い一日でした
外を歩いていたら
薄いシャツを透くように
太陽の陽射しが背中を暖めてきました

日陰もなくそのまま道を歩いていたら
いつの間にか襟元が
汗で濡れているのを感じました

ビルの中に入り
少し涼もうと思ったのですが
省エネのためでしょう
ビルの中も外とあまり変わらず
襟元の汗が引くこともありません

夏本番だなと一人つぶやいていました

雨音の猛りにも倦む梅雨長き 【季語:梅雨】

2018年06月16日 | 俳句:夏 天文
その夜は風も強く
随分と雨音が激しく
窓や屋根を高い音で叩いていました

近くの樹木が激しく揺れて
梢がなっているのでしょうか
その音も耳の中に届きました

普段であれば
窓の外の音が気になってしょうがないのですが
そこは雨の音に慣れてしまう梅雨の時分

猛る雨音も気にならずに
すぐに眠りについてしまいました

紫陽花も色を失う悪阻かな 【季語:紫陽花】

2018年06月09日 | 俳句:夏 植物
梅雨の雨を受けて
色を変える紫陽花
いつもの道の同じ場所に
今年も花をつけました

歩きながら綺麗だねと声をかける
身重の妻はまだ悪阻が治まらず
顔色もどこか冴えません

大丈夫といわれても
その様子がやはり気になってしまい
紫陽花の花も横目で眺めるばかり

妻の目には紫陽花も
色を失って見えるのだろうなと
可愛そうに思っていました

雨白く空縫い付ける梅雨の入り 【季語:梅雨】

2018年06月02日 | 俳句:夏 天文
梅雨に入るとしばらくの間は
ぐずりがちの空が続くのかと思うと
晴れた空が恋しく思えます

その日も朝遅く目を覚ますと
雨だれの音が聞こえていました

窓を開けると
大粒の雨が白い糸を引くように
空から次々に落ちています

風景はかすみ
空も白い縫い目で一杯で
しばらく続く梅雨を暗示しているようでした