風のささやき 俳句のblog

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路地裏に隠せぬ紅の梅便り【季語:軒便り】

2015年02月28日 | 俳句:春 植物

家が立て込んだ路地を歩いていたら
いくつかの家の庭に
白い梅の花が咲いていました

まだ風も寒い時分の
その花の咲いているあたりは
賑わうように見えました

他の家ではまだ蕾を沢山抱いた紅梅もあり
咲くことをためらっているのでしょうか
それでもいくつかの花は開き
隠しきれない紅色の顔を覗かせていました


鉢植えはしょげて花屋の寒戻り【季語:寒戻り】

2015年02月21日 | 俳句:春 時候
少し春めいたものを
感じられる二月
花屋には春先の色鮮やかな花が売られて
道行く人の足を止めます

そんなある日
急に寒さが厳しさを増して
僕の手を冷たくしびれさせました

その日花屋の前をとおると
あんなに明るい顔をしていた鉢植えの花が
その寒さにしょげかえっていて
早く温かな陽射しの衣服に
袖を通したいのだろうにと思いました

足元に忍ぶ寒さや古布団【季語:寒さ】

2015年02月14日 | 俳句:冬 地理
ずっと使い続けている
布団だからでしょうか
この季節になると
足元のわずかな隙間から
冷たさが忍び込んで
指先を凍えさせます
足の先が冷たいと
寝つきも悪いようです
冴えたままの頭で
窓の外の気配に耳を傾けていると

皆もう家の中で暖かくしているのでしょう
いつもよりも静かに思われて
夜がとても長いものに感じられました

呼びあいて寒さ忍ぶか雀たち【季語:寒さ】

2015年02月07日 | 俳句:冬 時候
ある寒い朝のことです
梢の先を眺めていたら
雀たちが一本の木立の上に陣取って
お互いを呼び合っていました
その様子が
お互いを呼び合うことで
励ましあい
寒さを耐えているように思われて
どこかいじらしく感じられました

寒い季節には
自分のことを呼んでくれる声が
どれほど力強く思えるものか
人も雀もかわらないなと
考えたりしていました