N の 祝祭日

映画、読書などのメモ

ゲド戦記

2017-11-30 | chinema(日本アニメ映画)

映画を観た。

★ゲド戦記
監督:宮崎吾朗
原作:アーシュラ・K.ル=グウィン
声の出演:岡田准一/手嶌葵/田中裕子/香川照之/菅原文太
2006/日本アニメ

アニメ映画《ゲド戦記》を見た。
2006年公開だから、ずいぶんと前の作品である。
当事はかなり酷評が続いて、さすがの僕も、「DVDでたら、レンタル作品」と決め込んでいた。しばらく忘れていたが、突然、あの《ゲド戦記》を思い出し、レンタル。

僕は原作を読んでないのであくまで想像での感想だが、
《原作者は、よく我慢したね》
《原作ファンは怒ったでしょうね》

アニメ線画の平板な表現からくる幼稚感、脚本の曖昧さ、そして一番大事な《テーマの未消化感》が伝わった。したがって、表現作品の醸しだす高揚感が希薄で、作品としては幼い。が、この竜との会話シーンの絵だけは印象に残る。挿入曲も耳に心地良く。

パパ宮崎は、引退宣言を撤回し、次回作に燃えているそうだ。
たのしみ。


ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破

2017-11-30 | chinema(日本アニメ映画)

映画を観た。

★ヱヴァンゲリヲン新劇場版:破
EVANGELION:2.0 YOU CAN (NOT) ADVANCE.
監督:庵野秀明(総監督)
声の出演者:緒方恵美、林原めぐみ、宮村優子、坂本真綾、他
音楽:鷺巣詩郎
主題歌 :宇多田ヒカル「Beautiful World -PLANiTb Acoustica Mix-」
2009/日本アニメ

混迷を深め、迷宮入りの「エヴァ」ですが。

「エヴァ」の物語は劇場版としてリニュルされて2作目にあたり、1作目からおよそ2年間の時間をかけている。早いか遅いかは意見の分かれる所だが、ボク自身の時間感覚からいえば、驚異的ともいえる短い時間であり、TVシリーズおさらい的だった「序」から一歩すすめ、起承転結でいう「承」の部分に当たる物語になっている。新たなファンを獲得したいという商業的狙いもあるだろうが、制作監督である庵野秀明さんの「エヴァ物語」の完結に向けての強いメッセージ性を感じた。予定通りの制作過程で、かなりの衝撃的迫力で物語の核心へと展開しつつあるような気がする。巷で話題?になってきた疑問点の核心に答えようとしているのである。人造ロボット「エヴァ」の最終機能は?「人類補完計画」とはいったいどんな計画? いよいよその方向性が見えはじめた。具体的に予想できる範囲に入り込んできたといえる。

セカンドインパクトからサードインパクトへ、物語は常に拡散傾向にあり、訳の分からぬ禅問答のような言葉で物語をひっぱり、キャラを面白く魅せる事で何とか凌いできたような物語。「ソフトパッケージ」などと言われるくらい商業的には大成功ですが、物語の将来をほとんど予測できないので、ひょっとしたら、制作者自身に物語を終局まで持ち込む力がないのかと、半信半疑な趣で観ていた。しかし、どうやら、新たなエネルギーで動かすようだ。

しかし、ボクらの期待にこたえてくれるだけの壮大なスケールを内在しているのだろうか。完結に向かわせたことによって、「エヴァ」本来の未完のエネルギーが逆に失われはしないか、予定調和的幼稚さをさらけだしはしないかと余計な不安を持つ。戦闘シーンでのあの曲の使い方では、ボクの期待感とは方向が少し違う。

映像は前作より一層鮮やかであり、キャラデザインも力強く、物語全体に視覚的エネルギーが強力になっている。生理的に残虐な映像も「エヴァ」の魅力でもあり、今回もかなり血を流した。

それぞれの人物の内面に切り込むようになった。特に綾波レイ、アスカの言葉がより人間的になり、フュイギアのような世界から、人間ドラマへとかわりつつある。大きな物語の変化が読み取れる。


「エヴァ」のキャラクターデザインは、貞本義行さん。メカデザインは山下いくとさん、そして、庵野秀明さん。他にもたくさん参加しているようですが、この3人の役割が今回の「エヴァ・破」ではどうなっているのか、まったくよくわからない。著作に関わる単なるクレジットなのか、制作には誰が直接深く関わっているのか。

 


エヴァンゲリヲン新劇場版:序

2017-11-29 | chinema(日本アニメ映画)

映画を観た。

★エヴァンゲリヲン新劇場版:序
EVANGELION:1.0 YOU ARE (NOT) ALONE.
監督:庵野秀明(総監督)
声の出演者:緒方恵美、林原めぐみ、三石琴乃、他
音楽:鷺巣詩郎
主題歌:宇多田ヒカル「Beautiful World」

新しい物語にしようとする意欲はところどころに感じられる。
「エヴァ」定番のシーンを残しながら、圧倒的にビジュアルアップ。
「迫る迫力はさすがです。
物語にも少し変化が見られ、
この後の展開が予想不可能になった。

「残酷な天使のテーマ」の音楽が消えた。
あのテーマ曲は「エヴァ」の象徴だっただけに残念。
劇場で新しい「エヴァ」として聴きたかった。
宇多田ヒカルさんも悪くはないけど、
あの曲の「母性愛」と「宗教性」にはかなわない。

と。


鶴岡へ行ってきました。

2017-11-27 | 散策

山形県鶴岡へ行ってきました。

伊丹から新潟までANA。
新潟から《いなほ》であつみ温泉へ。
そこで一泊。

二日目。
みぞれ混じりの冷たい雨。
重要な私事を済ませほっとする。
レンターカーで加茂水族館へ。


アシカショーとクラゲを堪能する。
その日は、なの花温泉で一泊。
偉大な棋士のサインに唸る。

三日目。
見事な北国の青空。
早朝に、鶴岡カトリック教会へ。
《黒いマリア像》の前でお祈りを。

清楚な建物です。
ピュアーな心境に陥りました。

藤沢周平館見学。
雪の羽黒山神社へ。

雪の鳥海山、月山が見事でした。
庄内の人たちは幸せだな。

鶴岡から、《いなほ》で新潟へ。
新潟から、JALで伊丹へ。




《ヴォイド・シェイパ 》シリーズ

2017-11-19 | 

本を読んだ。

★《ヴォイド・シェイパ 》シリーズ
著者:森博嗣
出版社: 中央公論新社

1巻:ヴォイド・シェイパ The Void Shaper
2巻:ブラッド・スクーパ The Blood Scooper
3巻:スカル・ブレーカ The Skull Breaker:
4巻:フォグ・ハイダ The Fog Hider
5巻:マインド・クァンチャ The Mind Quencher

 

一言でいえば森博嗣の《剣と思索の旅物語》である。

主人公ゼンは、山から降りて人社会と交わり
それなりの知識と生きる知恵がついた。

はじめは、見るもの触るもの全てに新鮮な驚きがあったが、
しだいに人との共同作業から
ゼンなりの人生観、
そして、そこからたどり着く《剣の道》が語れれる。
全てが主人公ゼンの視線で描写される一直線な感覚。
RPGゲームの主人公と一緒に旅をする感覚でした。

生きるとは負け続けること、
死ぬとはもう負けぬこと。

まさしく禅問答。


イルマーレ

2017-11-19 | chinema(アジア系映画)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

映画を観た。

★イルマーレ
英題:IL MARE
監督:イ・ヒョンスン
撮影:ホン・ギョンポ
キャスト:イ・ジョンジェ、チョン・ジヒョン、他
2000/韓国

2001年福岡アジア映画祭出品
イルマーレ、イタリア語で《海》。
スパゲティが出てきたので、地中海をイメージしたのかも。

過去と現在が郵便箱の中でシンクロしてしまった。
これも一種の《時かけ》もんかな?とおもいつつ。

普通に見れば、普通のラブロマンスであるが。
時間について考える。
《取り戻したい過去、しかし取り戻せない過去》
その葛藤の中に物語が生まれるようだ。

映画はかなり絵画的に構成されている。
ひとつ一つの場面が丁寧に慎重に構成され、
穏やかな感情の起伏を丁寧に追いかけていた。

韓国ではミレニアム作品として爆発的人気だったらしい。
2000年、もうずいぶんと昔のような気がする。


犯人に告ぐ

2017-11-18 | chinema(日本映画)

映画を観た。

★犯人に告ぐ
原作:雫井脩介
監督:瀧本智行
キャスト:豊川悦司、石橋凌、小澤征悦、笹野高史、片岡礼子、他
2007/日本

一向に捜査の進まない連続児童誘拐殺人事件を解決するため、
警察はテレビから犯人に呼びかけるという前代未聞の捜査を仕掛ける。
かつて捜査に失敗した1人の刑事がテレビを使って犯人を追い詰めていく
「劇場型捜査」を描いた雫井脩介のサスペンス小説の映画化.

男たちの執念が美しい。
原作の物語展開力生かしながら、
刑事群像に焦点を絞ることに集中し、
原作の甘い部分を見事に補完した。
登場人物の背景を少し変えて、より感情移入しやすいストレートな構成にしている。
俳優さんたちも個性的に役柄を演じ存在感溢れる人物が描かれた。
いろんな表情をもつ人物が登場し映画全体のアクセントがしっかり効いている。
物語の終わり方をどうするか楽しみにしていたが、期待以上。
映像もナチュラルでいい感じ。
抑制が効いている。
僕は十分愉しんだ。


時をかける少女

2017-11-17 | chinema(日本映画)

映画を観た。

★時をかける少女
Time Traveller,
The Girl Who Leapt Through Time
原作:筒井康隆
監督:谷口正晃
主題歌:いきものがかり「ノスタルジア」
キャスト:仲里依紗、中尾明慶、安田成美、勝村政信、石丸幹二、他
2010/日本

「時をかける少女」は通称「時かけ」。
原作は筒井康隆による短編小説。
あっけないほどの短編小説である。
ところが1983年、主演:原田知世、監督:大林宣彦 の「時かけ」として大ヒット。
この作品は何回観たことやら。
原田知世さん、いまもCMで活躍中。

その後、角川春樹自ら監督となって「時かけ」を作っている。
ほとんど話題にはならなかったと思うが、原田知世さんがナレーションをしている《幻の作品》である。
テレビドラマでも当然放映。1985年の南野陽子、1994年の内田有紀。どちらも観た記憶があります。
セーラー服が可愛く話題性はありましたが、原田知世のカリスマ性には程遠く。

そして、ほとんど忘れてしまって2006年突如として、アニメ「時かけ」の登場。
主人公は紺野真琴、芳山和子とは果たして同一人物か?
細田守の爽快なアニメキャラはほとんど吹っ飛び状態だった。
そのアニメキャラの声を担当したのが、仲里依紗。
吹っ飛び状態のまんま、2010「時かけ」に突入。
足太の曲線美をギラギラ魅せつけて、一気に時空を掛け捲りました。
エイッ!

長々と「時かけ」について語ったが、それだけブランド作品であるということ。


新しい「時をかける少女」。
筒井康隆さんもびっくり、大林宣彦もこれなら絶賛でしょう。
1970年代の表情には郷愁感を誘われます。
仲里依紗さんのハイスクール姿は躍動感があり、
「時かけブランド」はさらに急上昇。

昭和47年の百円玉貯金。これが意外にも物語のキーワードになります。
ひょっとしてボクの財布にも、、、。小銭入れには百円玉が22枚もあり、意外にも昭和のものは14枚ありました。
一番古いので昭和42年ものが3枚あり。
「芳山あかり」が間違えてタイム・リープした49年ものは2枚もありました。

実際に飛び込んだのは昭和49年、1974年です。ボクは学生時代を思い出します。
南こうせつ、吉田拓郎の懐かしい歌声が、トランジスターラジオから流れていました。
当時は、なんでこんな軟弱な歌が流行るんや! とある種の嫌悪感さえ持っていましたが、
避けられない「同時代性」も感じていました。

この「時かけ」は、限りなく美しい「70年代へのオマージュ」となっています。
中尾くんの姿は70年代の若者そのもの。びっくりするくらいのあの時代の表情。

その二人が、まさか、、、。
仲良くやっているようです。


筒井さんいわく
「私にとって『時をかける少女』は《金を稼ぐ少女》。
映画になるたびに本が爆発的に売れる。
でも今回で4度目で、
川端康成の『伊豆の踊子』は6回作られているから、まだまだ」

次はどんな《時かけ》ができるか、楽しみではある。


森崎書店の日々

2017-11-15 | chinema(日本映画)

映画を観た。

★森崎書店の日々
原作:八木沢里志
監督・脚本:日向朝子
キャスト:菊池亜希子、内藤剛志、田中麗奈、他
2010/日本

タイトルでもわかるように、これは古本屋さんを舞台にした物語。
ほんとに何ともないまったりとした内容だった。
若い女の子の失恋話、自分探し、中年男の懐かしい自分探しの旅、そしてcoffeeの香り。
ちょっとつっこみたくなるような類型的物語ではあるが、でもなかなか落ち着くんですね。
ちょっと和風のちょっといい感じのお店でゆっくりくつろぎいただいたお料理のような味わい。
ほんのり薄味で。
ごてごてけばけばした忙しない時代にあって、
時間の流れをゆっくり捕らえ、
街とそこに生きる人の日常を柔らかく包んでくれたのは心地良いもの。
ご馳走様でした。

勘と運だけを頼りに本を選び読むシーンが印象深い。
この作品の一番美しい映像だった。
「読書の真髄」ともいえるような。
東京神田神保町の古本屋街が愛情込めて描かれるている。
なかなか良い景色である。
京都の古本屋さんもずいぶんと数が少なくなったなと感慨深く振り返る。

あの謎の本の値段はどんな基準でいくらの値をつけたんでしょうか。
謎を深めてちょっとお上品。


サイドカーに犬

2017-11-14 | chinema(日本映画)

映画を観た。

★サイドカーに犬
原作:長嶋有
監督:根岸吉太郎
キャスト:竹内結子、古田新太、松本花奈、鈴木砂羽、他
2007/日本

物語はヨーコと薫がともに過ごした夏休みは1980年代はじめの設定。「コーラ」の缶も今では懐かしい細い250mlタイプ。よく飲んだよなぁ。「パックマン」も登場。1980年にナムコが発表したコンピュータ・ゲーム。80年に芸能界を引退した山口百恵の大ヒット曲「プレイバックpart2」。キヨシローの名曲「いい事ばかりは ありゃしない」。江川卓投手も登場。「野球」がまだ身近な時代。マージャンも懐かしい雰囲気。80年代初頭のレトロ・ワールド。

「サイドカーに犬」というのは、まさにバブルに向かう時代のささやかな象徴。
時々見かけたけど、どこか馬鹿馬鹿しくカッコよかった。
未来を信じていた時代?
で、今は?


江ノ島プリズム

2017-11-13 | chinema(日本映画)

映画を観た。

★江ノ島プリズム
監督:吉田康弘
出演:福士蒼汰、野村周平、本田翼、他
2013/日本

タイムトラベル好きにはたまらない作品だった。
青春ミラクル・トラベルファンタジー映画とラベルをを張ってもいい。
めちゃくちゃベターで、ちょっぴり幼い感じの作品ではあるが、
居心地が良く、見心地が良く、思いで写真のようで。
この感覚は記憶の奥に沁みます。

タイムトラベラーとしては、
絶対やってはいけないこと、いやできないこと。
それは
《過去の事実を覆すこと》
今回は、この難題に、俳優さんたちの若いエネルギーがぶつかります。
アレレと思うとこもあるが、
《野郎の若さと熱い想い》がそれを乗り越える。
自分と仲間との思い出を消す代わりに、友人の命を取り返す。

人間の存在とは何かを考えてみた。
《我思う、ゆえに我あり》
自分中心に考えればそうではある。
しかし、悠久の時間の中では、
《人の記憶の中に我が存在するが故に、我は存在する》 
人が存在することとは、案外そんなところかもしれない。

この作品、電車好きにもたまらない要素がつまっている。
江の電の姿、車内、ぽっかり浮かぶ江ノ島、カーブする線路、そしてトンネル。
時空がワープする条件が揃っている。

というわけで、《時かけ作品》として、質感のいい物語でした。

 


K-20 怪人二十面相・伝

2017-11-13 | chinema(日本映画)

映画を観た。

★K-20 怪人二十面相・伝
原作:北村想
監督:佐藤嗣麻子
キャスト:金城武、松たか子、仲村トオル、他
2008/日本

怪人二十面相は乱歩が生んだ、日本のダークヒーロー。子どもの頃は「少年探偵団」をよく読んだ。当時のテレビや読み物、漫画にはイイもんワルもん問わず、仮面をつけた、マントをつけた、とにかくようわからんモンがよく出てたなと思う。今から思えば不思議なスタイルであるし、笑えるスタイルでもある。時代を象徴するものかもしれない。

乱歩のシリーズでは、二十面相は何回でも捕まるし、死んだ事にもなる。でもいつも不死鳥のように生き返り、新たに明智小五郎とスリリングな対決を繰り返す。何回も何回も新しい物語として作られ、再生され、二十面相イメージが増殖されてきた。

映画の原作者となった北村想さんも、「伝」というスタイルで人間二十面相を描き、新しい物語を作り出している。そして今回、この映画はその北村さんの物語をさらに引き継ぎ、新たな怪人を生み出している。すばらしいヒーローという者は多くの人にいろんなイマージネーションを与えてくれるものだなと思い、ウットリ見つめ、納得した。

戦後の混乱と近未来の解け合ったような街の風景は、VFX技術とロケ地北九州の街が合体して非常にレトロな世界観が出ている。アニメを実写化したような世界。その街で生きる人物や空飛ぶ乗り物は、宮崎駿、押井学アニメのような雰囲気さえ感じた。

監督、脚本は佐藤嗣麻子さん。彼女はカプコーンの「鬼武者」のオープニングムービーを作っている。金城武さんはそのCGキャラであり、声優ばかりかモーションアクアーを担当している。2人は「鬼武者」繋がりであり、コンビの息はぴったり合っているように思えた。仕事運がついている。 金城武二十面相は、澄んだ瞳に笑顔が可愛く、どこかおとぼけで人に優しく、闇のダークヒーローではなく、庶民的正義派の正真正銘のヒーローである。乱歩や、原作北村二十面相とは全く違う。金城武さんの姿、顔は二十面相としてボクら目に焼き付いてしまった。


アフタースクール

2017-11-12 | chinema(日本映画)

映画を観た。

★アフタースクール
監督:内田けんじ
キャスト:大泉洋、佐々木蔵之介、堺雅人、常盤貴子、田畑智子、他
2008/日本

スタートから画面に釘付けにされる。まさにびっくり仰天玉手箱。騙すことの楽しさ、騙されること馬鹿馬鹿しさの両方を愉しむ。映画の体感スピードはものすごく速いのに、醸し出す空気はゆっくりのどか。

登場人物みないい!
かっこよくてオシャレ。
みなそれぞれに役回りができている。
おもしろかったー。
騙されたー。

TBSが絡んでいるけど、テレビ感はなく映画感だった。
まちがいなく映画を見たという感じ。
観客はエンディングロールをしっかりみて、明かりがつき、ゆっくり立ち上がり、出口を出た途端に、一斉にしゃべりだした。
ざっくり騙される。
そして、すっきりする。
良くできているよ。

この映画のネタを少しでも知れば、面白さは間違いなく減るでしょう。
たぶん。


キツツキと雨

2017-11-11 | chinema(日本映画)

映画を観た。

★キツツキと雨
監督:沖田修一
音楽:omu-tone
キャスト:役所広司、小栗旬、高良健吾、臼田あさ美、古舘寛治、黒田大輔、嶋田久作、森下能幸、高橋努、平田満、伊武雅刀、山崎努、他
2011/日本

タイトル《キツツキと雨》、よくわからんタイトルです。
《こんな意味深なタイトルをつける監督の感覚はどんなん?》

内容は、良い人ばっかりが集まって、
《のらりくらり》、
所々《ホロリ》、
雨振って地固まる式のラストに
《それぞれが生きる道》を見つけるというよくあるパターンでした。
でも予想通りちょっぴり《非凡なもの》を感じました。

役所さんと小栗さんのツーショットです。
《絵》としてはとても面白く、
二人の人物の距離感というか《人と人との間》を上手く表現していると思います。
この映画監督沖田修一さんの見せ所なんでしょう。
《日本人らしい感覚》だなぁと気持ちよく観ていました。
でも何処かわざとらしくありません?
普通、人はこんなわざとらしく《間》をとりませんよ。
そう思ってしまうとこの映画そのものが見れなくなります。
そう思わせないためにギリギリのところで勝負しようとする、
そして一層《簡略化して様式美》を追いかけて行く。
その結果、《絵》はとても美しいものになりますが、
一方少し狙いが透けて見えるようなわざとらしい《絵》になります。
この映画では、そんな《絵》が幾つも出てきます。
ですからこの手の作品は《いいなぁ》と思う反面
あざといなぁとも感じます。
難しいなぁ。(製作者はたいへんです)

小栗さん演じる監督の撮っていた映画は《ゾンビもの》でした。
子どもの学芸会みたいな《ゾンビもの》で面白くも何ともないんですが、
いつの間にか、
映画と映画の中の映画が混濁しはじめたところからこの物語は急に深化しはじめ、
引きこまれます。
《制作の苦労話》を織り込み、
《山村の素朴感》が漂い、
いわゆる《映画の味わい》が出てくる。
スピルバーグの《スーパー8》を思い出しました。

《キツツキと雨》、
結局このタイトルの意味するところはわかりませんでした。


ビル・カニンガム&ニューヨーク

2017-11-11 | chinema(欧米系映画)

映画を観た。

★ビル・カニンガム&ニューヨーク
原題:Bill Cunningham, New York
監督:リチャード・プレス
2010/アメリカ

ニューヨーク・タイムズ紙でファッションコラムと社交コラムを担当する名物フォトグファー、ビル・カニンガムを追ったドキュメンタリー。
親しくする人でも、ことプライベートに関しては詳しくは知らないという。ストリートファッション・スナップの元祖的存在と言われる彼の仕事ぶりと謎の私生活をカメラが追う。

彼の仕事(写真を撮る)に対する姿勢は、
ストイックであり(もちろんだが)
意外なほど生活感覚は質素だった。
彼が住むカーネギーホールの上のスタジオアパートの部屋は、
今まで撮影した全ネガフィルムが入ったキャビネットのほかは、簡易ベッドのみ。
コーヒーは安いほどおいしいと言い切る。
青い上っ張りは、清掃作業員が着る青い上着がヒント。
仕事以外は、全くと言っていいくらい無頓着だった。
自転車でニューヨークの街を走る仕事が好きでたまらないというフォトグファー。

客観性を保つためにパーティーでは水すら口にしないというほど、
そこまでするかという徹底、頑固さには、驚く。

面白語録。
☆最高のファッションショーは常にストリートにある
☆着る女性がいない服には興味がない
☆無料で着飾った有名人に興味はない
☆ファッションは鎧なんだ。日々を生き抜くための。

極めつけは
☆私のしていることは仕事ではなく喜び

なかなか興味深い言葉がさりげなく語られていた。

初めて使ったカメラは
オリンパスペン、ペンで書くように写真を撮る、ハーフカメラで大助かり。
現在は、
ニコンのフイルムカメラ。

あちこちカメラを向けていると、
NYの若者の怒りの罵声。
《カメラを向けるな、そのカメラぶちこわすぞ》
彼はめげずに、ストリートファッションを追いかける。