Nの祝祭日

映画、読書などのメモ

NINE

2018-01-31 | chinema(欧米系映画)

映画を観た。

★NINE
監督:ロブ・マーシャル
キャスト:ダニエル・デイ=ルイス、マリオン・コティヤール、ペネロペ・クルス、ソフィア・ローレン、他
2009/アメリカ

これだけメンバーが揃うと、映画の内容はどうでもよくなります。
それぞれがとにかくカッコいいの一言に尽きる。
彼女たち彼らたちのパフォーマンスに圧倒されます。
甘い魅惑的な映像と音楽を楽しむ映画です。

映画内容もどうでもいいけど、とにかくゴージャスでファッショナブル。
みんな歌って踊って、
この人達は一体何者なんでしょうかと疑いながら浸ったくらいです。
みなさんミュージカルスターとして舞台でも活躍しそうです。
出てくる人にただただあんぐりとするばかり。
特にペネロペ・クルスの艶っぽい歌と踊りはドキリとさせられ、
かの地の女優というのは、
美貌もさることながら、
凄い才能の持ち主たちだなと思い知らされました。
ソフィア・ローレンの貫禄ある表情に驚かされました。




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リンカーン弁護士

2018-01-30 | chinema(欧米系映画)

映画を観た。

★リンカーン弁護士
原題:The Lincoln Lawyer
監督:ブラッド・ファーマン
キャスト:マシュー・マコノヒー、マリサ・トメイ、ライアン・フィリップ、ジョシュ・ルーカス、他
2011/アメリカ

高級車のリンカーンの後部座席をオフィスにして仕事をするちょいワル弁護士の物語。
想像以上に話の筋がしっかりしていて、テンポが良くて、そしてちょっとスリリング。
ラストまでしっかり引っ張り続け、なかなか魅せてくれます。
ほんの一瞬を見逃すとついていけなくなる。
これはめっけ物作品です。


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しあわせの隠れ場所

2018-01-29 | chinema(欧米系映画)

映画を観た。

★しあわせの隠れ場所
The Blind Side
監督:ジョン・リー・ハンコック
キャスト:サンドラ・ブロック、ティム・マッグロウ、クィントン・アーロン、キャシー・ベイツ、他
2009/アメリカ

癒された気分です。
実話だからこそ、極上に美しいお話に仕上げられたのでしょう。
アメリカ社会のお上品な部分をざっくり取り上げ、
アメリカ人の心をたっぷりくすぐるように描いています。
これもアメリカロマンの一部だなと感じ、納得です。

 


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サンシャイン・クリーニング

2018-01-29 | chinema(欧米系映画)

映画を観た。

★サンシャイン・クリーニング
Sunshine Cleaning
監督:クリスティン・ジェフズ
キャスト:エイミー・アダムス、エミリー・ブラント、他
2009/アメリカ

女性の感覚が見事に生きていた。女の繊細な心のひだの部分もさりげなく描くところはさすがである。「女の応援ムービー」のような可愛いふわーとした現実肯定感覚が観た後も心地よく残った。こういう映画はあれこれ詮索すると、せっかくの気持ちよいイエロー感覚が濁ってしまう。エイミー・アダムスのストレートな笑顔とエミリー・ブラントの不思議な浮遊感を味わう、それだけで充分なくらいである。

姉ローズ(エイミー・アダムス)はシングルマザーで子どものために頑張っているけど何事もうまくいかない様子。妹ノラ(エミリー・ブラント)はまるで甘えっ子のようで不思議な感性の持ち主。これまた社会に何故か馴染めない。二人は母親の自殺という幼い頃に受けたトラウマを抱えながら、とにかく生きるのに必死である。

「サンシャイン・クリーニング」の仕事は、凄惨な事件現場の清掃屋さん。ちょっと凄い仕事だけど、二人の姉妹の姿はまるでゴーストバスターズのような愉快仕事に写る。彼女たちはただポジティーブな気持ちを持ち続け必死に作業をするだけである。そのクリーニング作業を続けるうちに、自分たちの中に巣くっていた苦しみがしだいに溶けはじめる。その浄化への過程は家族の再生への過程であり、ひとり一人の自立の道でもある。

 


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愛を読むひと

2018-01-27 | chinema(欧米系映画)

映画を観た。

★愛を読むひと
監督:スティーブン・ダルドリー
原作:ベルンハルト・シュリンク『朗読者』
キャスト:ケイト・ウィンスレット、レイフ・ファインズ、他
2008/アメリカ

映画はカメラを通して、ハンナを見つめる。ハンナの体、喜び、苦悩、怒り、悲しみとすべての感情を的確に捉えている。そこには、小説「朗読者」に描かれた男の単一視点ではない、一人の女性の全てを描いているようだ。文学では行間を読み取る想像力が全てだが、映像は視覚に訴えるだけにかなり直接的である。

ハンナを演じたのはケイト・ウィンスレット。体が直線的で、厳しい労働に耐えてきたような強靭な女性の雰囲気、誠実な女性らしさが滲み出る。メイクでの演出だろうか、眉間のしわは、人生の悲哀を感じさせ、彼女の精神的困惑の表情を象徴している。ハンナにとって、いままでの生き方以外にどんな選択があったのだろうか。

彼女は下着にまで、しっかりアイロンをかけるある種の潔癖さを持っている。(ふつうどうするのかは知らないが)社会の中で必死にくらいつきながら自分の劣等感と戦い生きている。そのハンナは15歳の少年との愛に溺れた。彼女にとって、この無垢な少年は、自分の精神をある意味浄化させてくれるような純真さがあったのだろう。

カメラはハンナをしっかり捉えているが、物語はその内面にまであまり深入りしていない。原作もそうだが、ハンナの心は、ボクらが想像することによってのみ表れる。

裁判でのハンナ、刑に服するハンナは人間的には「凛」としている。誰にも気づかれたくない「文盲」という触れられたくないことと格闘しながら、自分の生を生き抜こうとする。当然、彼女の考える世界、想像する世界は狭くなる。そこが痛々しい。

刑務所で学ぶハンナの姿がすごいが、ここを膨らませれば、もうすこし、違った物語をつくりだせたのでは。大人になって学んだ文字は直線的であり固くなりがち。しかし精神が集中しているだけ文字は美しい。子どもが文字を学ぶ過程とは明らかに違うのだ。

ハンナの老けたメイクはいただけなかった。独房での苦労と精神的な困惑は想像できたが。すでに生きる力と精神をコントロールする力は表情から消えていた。

男は何を考え、何をしようとしたのかよくわからなかった。男の視点で物語は進むが、彼の意志が強く描かれていない。結局最後まで考えさせられたのは、ハンナの問いかけである。

「あなたなら、どうしますか」


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アンストッパブル

2018-01-25 | chinema(欧米系映画)

映画を観た。

★アンストッパブル
英題:UNSTOPPABLE
監督:トニー・スコット
音楽: ハリー・グレッグソン=ウィリアムズ
キャスト:デンゼル・ワシントン、クリス・パイン、ロザリオ・ドーソン 他
2010/アメリカ

アメリカのヒーローは、とてもシンプルで格好いい。
彼らは、ただただ最愛の家族を守るために命を賭けて戦う。
理屈では語れない無償の戦い。
その姿は果てしなく力強い、そして限りなく美しい。
アメリカ人が求める理想の男の姿が、この二人の鉄道マンである。

シンプルな暴走感が爽快である
実写にこだわったストレイトな絵作りがスリルと爽快感を生み出し、全てを吹き飛ばす爆走感に自分の存在さえも吹き飛んだ。観終えた後しばらく自分の居場所を見失った。全くの不覚で心地良い。
二人の男の活躍シーンを。美しーい!

美しーいの言葉以外にないのかいと呆れるくらい直球映像である。
トニー・スコット監督は人の表情を美しく捉える。
それもまたビビットきた。


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宮廷画家ゴヤは見た

2018-01-24 | chinema(欧米系映画)

映画を観た。

★宮廷画家ゴヤは見た
監督:ミロス・フォアマン
キャスト:ハビエル・バルデム、ナタリー・ポートマン 、他
2006/スペイン=アメリカ

18世紀スペインの激しく揺れ動いた時代に、ゴヤは生きた。異端審問という徹底した異端排除の論理の中で、ゴヤは辛くも生き抜いた。ボクにはそのこと自体が不思議だった。堀田善衛さんの「ゴヤ」という名著があるが、若い頃、飽きるくらい何度も読み返した。

映画の中で、ゴヤの銅版画を並べて異端審問する場面が描かれているが、適当に流した感じ。ゴヤ自身も、この映画に登場するロレンソ神父のように、権力にすり寄り金の猛者として生き抜いた時代があった。宮廷画家として絶頂期の描く絵は、よく言われるような透徹した画家の眼というよりは、俗っぽいパン絵の大量生産絵画のように感じる。映画では、少し凡庸で心優しい絵師のように描かれているが、ボクにはロレンソとゴヤがダブって見えたくらいである。ひょっとしたら、「宮廷画家ゴヤは見た」の俗っぽい邦題の真の意味はそこにある?

もちろん、ゴヤが「ゴヤ」として今日あるは、ナポレオンのマドリード侵略以後、「戦争の惨禍」晩年の「黒い絵」シリーズがあってのこと。このシリーズがあってこそ、宮廷画家ゴヤの作品が別の意味で生きるのである。

映画はさすがフォアマン監督である。どこか喜劇っぽく見せながら、ゴヤのように風刺を込めたように見せながら、ドスンとした人間ドラマにしている。ハビエル・バルデムのロレンソ神父がねちっこく時代を生き抜く姿を好演。それにも増して、ナタリー・ポットマンの熱演がすごい!牢獄で一糸まとわぬ姿で尋問されている場面は美しさの極地。この人ちょっとこれから見逃せなくなった。

ゴヤの銅版画制作過程が描かれていた。
興味深いシーンだった。
ゴヤの画集を引っ張り出し見てみる。
「犬」が一番感情移入出来る絵であり、哀しくなる。


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ミルク

2018-01-23 | chinema(欧米系映画)

映画を観た。

★ミルク
監督:ガス・ヴァン・サント
キャスト:ショーン・ペン、エミール・ハーシュ、他
2008/アメリカ

ハーヴィー・ミルクは、アメリカ史上初めて、ゲイであることを公言し、公職に就いた人物である。そのミルクの精神が、いまだに伝承され、守られている現実を、ボクはこの映画で初めて知った。マイノリティーとは何か、マジョリティーとは何かと考える上では意味深い映画であった 。監督は、あのガス・ヴァン・サント。


50年代、60年代は「豊かな社会を創る」という大きな幻想に向かって、社会全体が動いていった。その過程で、個人の尊厳は、時に無視され、時に切り捨てられ見捨てられ、時に多数派は社会秩序を守るという大義名分の名の下少数派を疎外、そして排除した。「魔女狩り」をする事に何の躊躇もなかった時代であり、その事によってドロップアウトを余儀なくされた人は多かったと思う。しかし一方、変革を求める動きは、反戦運動とも連動して、しだいに大きなうねりとなって行き、70年代はその運動がいくつかの成果を生み出した時代と言える。

この映画の主人公ミルクは、ドロップアウトし、しばらくヒッピー生活を送っている。どこかのプロセスで、人間性の根幹を見つめるような体験をしたにちがいない。そこで、人間の多様性を許容する力を持ち、単にゲイの問題だけでなくあらゆる差別の問題を告発し、仲間を組織する力を獲得していったのだろう。自由への渇望を素直に表現することによって、多くの人々の共感を勝ち取り、今なお、影響力を持つ人物として存在し続けている。

映画は過去の映像を取り入れ、ドキュメント風にミルクの活動を描いている。

 


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京都文化博物館と東京駅

2018-01-22 | 散策

●京都文化博物館です。

●東京駅です。

比較してわかりやすいように建物の夜景を載せました。
京都は照明はかなり節制していますが、
二つの建物デザインはよく似ているでしょう。

どちらも辰野金吾の設計で、辰野式と呼ばれる赤煉瓦に白帯のスタイル。

華やかな装飾デザインです。
この辰野式と呼ばれる赤煉瓦に白帯スタイルは、
日本の《なまこ壁》がヒントになっているとテレビの東京駅修復ドキュメントでみた事がある。
なるほど。
この工法は、大事な物を守る倉作りに適しているとか。
銀行向きですね。
駅舎向きですね。

好きですね。
安心感があります。
中に入ると、細かい工夫や楽しいデザインに和みます。
洒落っ気があるといいましょか。

京都には、辰野さんデザイン建築は他にもあります。
まとめてみますと、

日本銀行京都支店:1906年/現・京都文化博物館別館)
第一銀行京都支店:1906年/現・みずほ銀行京都中央支店/レプリカ再建)
日本生命京都支店:1914年/現・日本生命京都三条ビル)
山口銀行京都支店:1916年/かって北国銀行でした。今は?

四つの建物に僕はよく出入りするんです。



●京都文化博物館別館の中は

柱が見事だなぁと、妙なところに視点が行きました。
法隆寺回廊の柱みたいに、エンタシスに見えるんです。

●中庭から見ると。
京都散策に一休みするにはちょうどいい。




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映画と恋とウディ・アレン

2018-01-22 | chinema(欧米系映画)

映画を観た。

★映画と恋とウディ・アレン
原題:Woody Allen: A Documentary
監督:ロバート・B・ウィード
出演:ウッディ・アレン、ペネロペ・クルス、スカーレット・ヨハンソン、ダイアン・キートン、ショーン・ペン、他
2011/アメリカ

この作品は、ウディ・アレン自身が公認する正当なドキュメント映画。彼の作品、彼の言葉、彼の妹、そして仕事上での彼の善き理解者である人たちの言葉で、ウディ・アレンが世に出て以来今日までの彼の活動を肯定的に紹介する内容。映画の中でウディと共演した俳優さんたちがぞろぞろ登場し、彼を絶賛褒め称える《ウディマニア》的作品です。

“ファンなら無条件にバイブルに、ファン歴が浅いビギナーなら興味あふれる履歴書に”とキャッチどおりの映画でしょう。

この男、女性にはあちこち手を出したようで、ミア・ファローともいい関係になるんですね。二人で楽しい映画をいくつも創っています。結婚はしていないのですが子どももでき互いの波長は合っていたようです。ところがウディ・アレンは、ミア・ファローの子ども(養子ですが)に手を出してしまった。そりゃー、駄目でしょう。以後プッツン。ウディ・アレンは以後その女性と今も連れ添っています。それはそれで幸せのようですが。

ウディ・アレンはとにかく制作至上主義、一年に一本の制作というスタイルで、自らの人生観、世界観、そして女性観を発信し続けていく。とにかく精力的である。しかし人にはそれぞれ波がある。私生活の混乱もある。90年代後半からしばらくは芳しくない評価が続き、《もうだめでしょう》とも言われていたようです。ところが、気分一新かどうか、《ロンドンを舞台にした物語》を発表。これが《マッチポイント》(2005)。

以後あれよあれよと話題作の連発。《ミッドナイト・イン・パリ》で絶頂かと思いきゃ、まだまだ快進撃の続きはありそうである。彼のシニカルジョークはアメリカよりヨーロッパの空気が合うみたい。


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人生万歳!

2018-01-21 | chinema(欧米系映画)

映画を観た。

★人生万歳!
英題:WHATEVER WORKS
監督:ウディ・アレン
撮影:ハリス・サヴィデス
キャスト/ラリー・デヴィッド、エヴァン・レイチェル・ウッド
2009/アメリカ

なんとも素晴らしい偶然!
ほとんどあ然とするご都合!
しかし嘆く事なかれ、人生全て偶然のなせる業。
そう思えば、まさに《人生 BANZAI!》である。
ウッデイ・アレンに、くどくしつこくオルグされているような感覚に陥った。

彼の映画の説教臭さのせいだろうか、台詞の英語が非情に聞き取りやすい。
苦手な僕でも、かなり《分かる》のである。
そう、この感覚がウッデイ・アレンの映画リズムである。
妙に納得してしまった。

彼の記念すべき40作目の映画である。
久しぶりにニューヨークが舞台となっている。
そしてまたもやお気に入りにヒロインを見つけたようだ。


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ラースと、その彼女

2018-01-20 | chinema(欧米系映画)

映画を観た。

★ラースと、その彼女
監督:クレイグ・ガレスピー
キャスト:ライアン・ゴズリング、エミリー・モーティマー、パトリシア・クラークソン、他
2007/アメリカ

イマージネーションを豊かに動かせば、いろんなことを考えさせてくれる映画だった。物語はほとんど知らないので(予告編で観ただけ)、前半のコミカルな会話や人物の表情は、愉快で軽快だった。初めは芝居かなと思っていたリアルドールのビアンカ紹介辺りまでは笑えたが、「あれ、精神が病んでる?」と思い始めたとたん、不安と恐怖と哀しみがジワーと沁み出てくる。

兄夫婦、会社の同僚、思いを寄せる女、教会の人、小さな街の人全て皆いい人ばかり。笑えるくらい、やり過ぎだよと思えるくらいいい人ばかり。しかししだいに笑うに笑えないシリアスな心の問題に迫っていく。物語の最終着地点はある程度想像できたが、ビアンカに想いを寄せ、自分の心の闇を覗く男の哀しみはボクには恐怖であり、不気味であり。

ラースの作り出した世界は何だったのか。ビアンカに求めたものは何だったのか。「ぬくもりのない人間」。しだいに狂気が混迷が深まるが、周りの人の支えの中から、ラースの眼に力強い表情が生まれていく。自分の作り出した世界からあらたに旅立つための儀式。自分の存在を全てさらけ出す勇気。

リアルドールの恋人?ダッチワイフを抱え込むのはそれなりに理解できても、兄弟が、周りのみんながラースの世界を生活の中に受け入れるのは、単なる優しさだけでは乗り越えられないものがある。優しさを突き抜けてさらに奥にあるものはなんだろう。

「救う」「救われる」
「謝る」「許す」
「受け入れる」「肯定する」
といったような、お互いの信頼と愛情があって成立するような人の繋がり方。
ある意味では宗教的世界のような気がした。

精神科医の説得力ある言葉がいい、
彼女の鋭く観察する視線がいい。
「全てをありのまま受け入れなさい。」

こんな素敵な言葉はない。

ライアン・ゴズリング、最近大活躍だなぁ。


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レイチェルの結婚

2018-01-19 | chinema(欧米系映画)

映画を観た。

★レイチェルの結婚
監督:ジョナサン・デミ
キャスト:アン・ハサウェイ、ローズマリー・デウィット、デブラ・ウィンガー、他
2008/アメリカ

この映画は『レイチェルの結婚』というタイトルだが、アン・ハサウェイ演じるキムを中心に物語は展開する。アン・ハサウェイ(キム)の黒のアイラインに、ただならぬ気配を感じる。遠くを見つめるような視線だが、焦点が定まらず、精神の不安定さが滲み出る。生きる精気が感じられず、まるで人形のようだ。

キムというキャラクターはとても難しい。キムは麻薬から立ち直ろうとはするが、施設を出たり入ったり。今回は姉の「レイチェルの結婚」ということで、仮に出てきている。周りを気にせず所構わず煙草をスパスパ吸うのに、他人の自分を見つめる視線がとても気にかかる。人の気持ちを逆なでするかのように、気持ちを探るかのように、刺激な言葉を投げつけるが、自分を受け入れてほしい。いわゆる「肉親から捨てられた感情」で溢れている。そんなエキセントリックな女性キムを、アン・ハサウェイがすばらしく熱演。


人は誰でも、自分ではどうしても扱いきれない何かを抱えながら生きている。ただ普段は、「何もない」ようなふりをして生きているだけだ。多くの場合それでも生きていける。何とか帳尻を合わせて生きていく。でも、キムの場合は、余りにも深い傷であり、一人の力では克服できない。その「怖さ」を、家族の人間関係を描く事によって、一層際立たせている。

映像は手持ちカメラで撮っている。ブレ、揺れ、そしてその手軽さが、さながらドキュメントような臨場感を持たせ、キムの不安な心情にストレートに迫っている。音もほとんど編集することなく、その場の雰囲気を自然に伝え、感情移入しやすくしようという意図が読み取れる。

映画を観ていて気づく事は、多様な価値観が語れている事だ。家族それぞれの言葉が、それぞれの考え方、生き方を表現している。いい悪いの押しつけではなく、それぞれの生き方として描く。

いろんな人たちが登場し、世界の奥行きの広さも見せてくれる。そして、たえず、いろんなジャンルの音楽が流れている。多様な世界観を意識的に出しているように思えた。

多様な価値観を許容することは、ある意味、大変なことのようだ。
この世はいろんなもので満ち溢れているのに、、、、。
人はすぐにボーダーを引きたがる。
縄張り行動だろうか。


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あの夏の子供たち

2018-01-18 | chinema(欧米系映画)

映画を観た。

★あの夏の子供たち
監督:ミア・ハンセン=ラヴ
キャスト:キアラ・カゼッリ、ルイ=ド・ドゥ・ランクザン、他
2009/フランス

溢れる光と瑞々しい色彩は活気ある街の装い。
日常のざわめきと光と闇が生きる人の肌と融け合う。
これほど好ましくも美しい街はないというくらい自然なカメラワーク。
絵画でいうところの印象派の空気感である。
初期のモネ、シスレーなどのネイティーブな自然な描き方。

本作は、2009カンヌ国際映画祭《ある視点》部門の審査員特別賞を受賞。
僕には賞としての価値はまったくわからないが、人を釘付けにする魅力ある作品だと思った。
この作品の監督・脚本 はミア・ハンセン=ラブ。
此の人自身も何処か俳優っぽい。

あの「夏時間の庭」を撮ったオリヴィエ・アサイヤスの子供を昨年産んだとか。
えっ、二人は結婚したの? 
フランスではそんな野暮なことはどうでもいい。
ただ、何処となく、空気が似ている。
やっぱり印象派である。
彼女の写真はこれまた何処かマネの絵のようだ。

色彩の瑞々しさとともに所々に流れる音楽のメロディーの心地よさがこの作品のもう一つの魅力。
何処かで耳にしたような、口ずさみたくなるようなノスタルジックな流れ。
弦楽器の繊細な響き。

そしてラスト重苦しい空気を吹き飛ばすように「ケ・セラ・セラ」。
全てが解き放たれ、想像世界が広がる。
人生には何が起こるかわからないのだ。


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京義線 レイルウェイ・ラブ

2018-01-17 | chinema(アジア系映画)

映画を観た。

★京義線 レイルウェイ・ラブ
原題:京義線 경의선
英題:The Railroad
監督:パク・フンシク 
キャスト:キム・ガンウ、ソン・テヨン、他
2007/韓国

とにかく半島情勢がめまぐるしい。
が、このブログではそこには触れません。

キム・ガンウはこの作品でトリノ国際映画祭主演男優賞受賞
京義線 レイルウェイ・ラブ

《京義線》?
ひょっとして、あの南北を繋ぐ《京義線》か。
ということで、レンタルしたDVD。
雪景色がいい。

イムジンガン駅の雪景色。
僕らの世代なら、すぐに《イムジン河》の歌を思い浮かべる。
自由を渇望する歌詞。
ザ・フォーク・クルセダーズが唄った40年前にひとっ飛び。
こちらの想いとは全く関係のない物語ではあったが、
妙にノスタルジーを感じさせてくれる作品だった。
が、サブタイトルの《レイルウェイ・ラブ》はまったく余計である。
B級もんになってしまうではないか。

ラストシーンで、ソウル地下鉄のエスカレーターの絵が映る。
《えっ、右側にたってるやん。》
そうか、ソウルでもエスカレーターは右側通行か。
関西と同じである。
妙なところが印象に残った。


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