Nの祝祭日

映画、読書などのメモ

PUSH 光と闇の能力者

2017-08-31 | chinema(欧米系映画)

映画を観た。

★PUSH 光と闇の能力者
監督:ポール・マクギガン
脚本     デヴィッド・ボーラ
出演:クリス・エヴァンス、ダコタ・ファニング、他
2009/アメリカ

この物語は政府機関に養成された超能力者が善と悪に分かれて戦う、いわゆるアクションサスペンスといえるでしょうが、その超B級度が結構いけるんです。テンポはいいし、目新しい不思議な超能力をいろいろ見せてくれるし、香港の街は極彩色で鮮やかだし、そして何より、ダコダちゃんとクリスのコンビがいい。ばっちりです。そこへ若手の女優カミーラ・ベルが魅惑的な表情で絡んできて、これはもう予想外の “PUSH   PUSH” 作品でした。

特殊能力というか、いわゆる超能力にもいろいろあるようです。ムーブ(念動力)やウオッチ(未来予知能力)という定番ものだけでなく、「おやっ」と思う不思議な超能力者が次々と登場し、観客を楽しませてくれます。スニフというのは、持ち物などから、その持ち主の過去と現在のデータを読み取るもの。シャドウというのは、近くにある人や物の存在を覆い隠す能力。すご技になると、ビルをまるごと隠してしまうというすごい超能力で、ほとんどコミックの世界でした。この映画一番の超能力はタイトルにもなっている、プッシュ(PUSH)というもの。他人の脳に偽りの記憶を押し込み、他人を支配するというすごい超能力で、これにはびっくりしました。ちょっとユーモアも感じますが、不気味なブラック感覚でした。

世界征服するにはこの超能力が一番効きますね。見つめるだけで瞬時に相手の記憶を操作できるんですからこれは最強の武器です。

 


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ブロークン・イングリッシュ

2017-08-30 | chinema(欧米系映画)

映画を観た。

★ブロークン・イングリッシュ
監督:ゾエ・カサヴェテス
出演:パーカー・ポージー、メルヴィル・プポー、他
2007/アメリカ

監督、脚本はジョン・カサヴェテス&ジーナ・ローランズの娘ゾーイ・カサヴェテス。 謳い文句は「女性による女性のための恋愛映画」。『もう、魔法なんて起きないと思ってた。ニューヨークで出会い、パリで愛に気づいた。それは、私だけのミラクル・ロマンス。』この幸せのピンクっぽいポスターに惹かれて劇場へ。

ヒロインのノラ(人形の家のノラのイメージ?)は男運が悪いんかニューヨークで出会う男とは全く縁がない。結構イージーに遊んでるんだけど、不安症という精神的に問題を抱え、人間関係に臆病になりつつ、薬と煙草に溺れている。もっとも現代、問題を抱えない人間なんていないだろうけど。

映画はじめからノリが悪く、そろそろ飽きてきたなぁと思う頃、ノラが男を追いかけて舞台はパリへ。ここからがすばらしく出来がいい。パリのフォルクスワーゲンのタクシーの場面から会話と映像が冴えてくる。美術館で出会った男たち、荷物の配達先のおばさん?、夜の酒場で出会った中年の男、生き生きとした会話の冴えである。男運がつき始める? そしてラストに電車の中で偶然にも探していた男と出会う。話としては出来過ぎだが、この単純なミラクルさがこの映画をクリスタルなものに変えている。これは受けるなぁ。

ノラのパーカー・ポージーとジュリアンにメルヴィル・プポー。この二人の姿はちょっとしたアートである。


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ルー・リード/ベルリン

2017-08-29 | chinema(欧米系映画)

映画を観た。

★ルー・リード/ベルリン
監督:ジュリアン・シュナーベル
キャスト:ルー・リード、スティーヴ・ハンター、等
2007/アメリカ

すっかり忘れていた、「ルー・リード」の名前ですが、このこのポスターの絵を観て、冷たく冴え渡る、全てを見通したような低い叫びの詩を思い出しました。きらりと光る眼鏡のリードの顔を思い出しました。
And I said no, no, no、、、、、
遠い過去から聞こえてくるような感覚でした。
東西に分断されたベルリンの夜を、
男女の愛に置き換えて表現した全10曲の野心作「ベルリン」。

1970年代のロックの傑作ライブですが、商業的には失敗だったようです。今回、33年ぶりにニューヨークで再演され、そのライブを、古くから親交のあった、ジュリアン・シュナーベルがドキュメント映像として作品化し、残してくれました。

すばらしく詩的で、揺さぶられるライブです。ズシズシ地響きのように響いてくるロックのリズムです。言葉のひとつひとつがぴーんと張りつめたような緊張感を持って聞こえてきます。映像と音楽が一体となりながら、渦のように押し寄せ、観る者の心に沁みてきます。

監督は、ジュリアン・シュナーベル。
バスキア Basquiat (1996)
夜になるまえに Before Night Falls (2000)
潜水服は蝶の夢を見る La Scaphandre et le papillon (2007)
Lou Reed's Berlin (2008)

シュナーベルは80年代の新表現主義の画家としても有名です。


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ブロードウェイ♪ブロードウェイ コーラスラインにかける夢

2017-08-28 | chinema(欧米系映画)

映画を観た。

★ブロードウェイ♪ブロードウェイ コーラスラインにかける夢
原題:EVERY LITTLE STEP
監督:ジェームズ・D・スターンアダム・デル・デオ
音楽:ジェーン・アントニア・コーニッシュ
2008/アメリカ

自分の夢の実現のために、どれだけの努力と気力を持ち続けなければならないのだろう。そのすざまじい姿に感動し震え、ささやかではあるが拍手した。自分の力と魅力をアピールするために最大限の表現をする。オーディションに参加した若者たちの表情が熱く美しかった。

歌唱力はもちろん演技力、表現力そして体全体から発するオーラみたいなものまでが求められる。沖縄出身の女の子が一人挑戦しチャンスをつかんだ。引き締まった表情で眼を輝かせていた。ゲイの男が自分の過去を語るシーンでは、見ているこちらまでもがジーンと泣かされた。全てをさらけ出して初めてつかむ世界。

「コーラスライン」の生まれるきっかけについて、原案者であるマイケル・ベネットは次のように語る。

「ダンサーというのは、非常にオープンな性格を持った人種です。自分の強味、弱点をよく知っていて、自分自身を隠すことには慣れていません。これは、子供のころからダンスを習いはじめ、一生の大半を鏡の前の練習で過ごすからだと思います。鏡は嘘をつきませんから。二度の集まりで収録したテープを、何ヶ月もの間、何度も何度も繰り返して聞いているうちに、「オーディション」の構想が浮かびました。この作品で、ある部分は私自身の経験をもとにしていますから、その点では自伝的な作品といえるでしょう。」

若いダンサー達の素直な自己表現に感激。今の自分の表現に満足せず、常に上を目指し練習する。全身の表情が美しく、自分の眼の輝かせ方を知っている。ゲイの男は泣きながらも、眼だけはキラキラ輝いていた。サラブレットは走るために生きるように、ダンサーは踊り続けるために生きる。美しくなるはずだ。

前代未聞の公開オーディション映像を、過去の映像と交差させ、過去、現在、そして希望へとつなぐ青春群像ドキュメント。

 


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キャデラック・レコード 音楽でアメリカを変えた人々の物語

2017-08-28 | chinema(欧米系映画)

映画を観た。

★キャデラック・レコード 音楽でアメリカを変えた人々の物語
原題:Cadillac Records
監督:ダーネル・マーティン
出演:エイドリアン・ブロディ、ジェフリー・ライト、ビヨンセ・ノウルズ、他
2008/アメリカ

アメリカ、シカゴのチェス・レコードの誕生から幕を閉じるまでの「ブルースと生きた人間たち」ドキュメントです。濃厚なサウンドが心地よく耳に響き、いろいろ登場する歴史的人物群像にはほぼヨダレ垂れ流し状態でした。マディ・ウォーターズのエレキギター、ハーモニカのリトル・ウォルターなど、ボクにとっては伝説人物です。チャック・ベリーの登場でようやくボクの歴史もはじまります。

ローリング・ストーンズがスタジオを訪れるシーンあり。

時代はしだいにロックへと移り変わる頃、「不条理をうたうのがブルースだ」という彼ら強い信念。後半部分はエタ・ジェームスの登場で、俄然、物語は濃厚な世界に突入。エタ役のビヨンセ・ノウルズの「アット・ラスト」にはただ唖然として聞き惚れるだけでした。他の人たちが吹っ飛ぶくらいの際立つ存在感。

ヒット曲を出せば、高級車キャデラックが手に入る。
アメリカの音楽夢物語です。
60年代の熱気を伝えながらも、ノスタルジーな雰囲気がいっぱい。
うっとりした時間を過ごさせて頂きました。


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アザー・ガイズ 俺たち踊るハイパー刑事!

2017-08-26 | chinema(欧米系映画)

映画を観た。

★アザー・ガイズ 俺たち踊るハイパー刑事!
監督:アダム・マッケイ
出演:ウィル・フェレル、マーク・ウォールバーグ、他
2010/アメリカ

半端じゃない!ポリスアクションコメディ。
何がなんだかよくわからないうちに
一気に乗せられて
話がどんどん突き進む。
馬鹿馬鹿しいテンポとノリ具合は爆笑モンでした。

トヨタの《プリウス》が、コメディアイテムとしてなかなかよかった。
特に旧型《赤プリウス》には、以前からコメディなものを感じていたが、
こんな使い方があるとは。
そして何より健気です。
納得!

エンドクレジットでは、
アニメーションを使って金融崩壊の仕組みを説明していた。
詳細なデータも紹介。
これはどんな意味?
どこまでジョークか本気かわからない。
それがこの作品の面白いところ。


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リミッツ・オブ・コントロール

2017-08-25 | chinema(欧米系映画)

映画を観た。

★リミッツ・オブ・コントロール
監督:ジム・ジャームッシュ
キャスト:
イザック・ド・バンコレ:Lone Man
ティルダ・スウィントン:Blonde
工藤夕貴:Molecules
ジョン・ハート:Guitar
ガエル・ガルシア・ベルナル:Mexican
2008/アメリカ

「リミッツ・オブ・コントロール」 研ぎすまされた非情に感覚的な作品です。

white-screen.jpから「ジム・ジャームッシュ監督が語りつくす!最新映画「リミッツ・オブ・コントロール」の記事を見つけました。監督の製作スタイルがとても興味深く語られ、共感することの多い話です。監督の言葉を拾い集めました。

■監督は冒頭で登場するランボーの詩について語る。
ー撮影終了後思いついた。精神錯乱のメタファーなんだ。作為的な感覚の混乱だよー  

意味深だけど、作為的な物を感じたけど、やっぱりね。

■監督は、ロケ地スペインについて語る。
ーイザックの演じる人物が旅をするスペイン南部の自然のままの風景はとても風変わりで夢のようだった。セビリアは世界で一番好きな街で、ずっと魅了されつづけている。ねじれたカーブを描く狭い路地や、建築物に精巧さ、、、バルコニーがいたるところにあって、、通りから見上げた人にしか目にしないバルコニーの下面までが、凝ったタイルばりなんだ。、、、、、、、。ー

■監督は脚本について語る。
ー脚本が成長するにまかせて、従来の脚本というものを作らないようにした。、、、、、、。これはいつもの僕の手順じゃない。普段は最初からかなり細かい脚本を書いている。でも今回は指示も最小限で、実際のところ最初はセリフもなかった。撮影を進めるなかで、一連のセリフをつくっていったんだ。ー 

■監督はイザックについて語る。
ー俳優としての彼の一番好きな点は、大げさな演技をする必要のないところだ。彼はすごく人間らしい小さな動きで演じることができる。観客はそれを解釈するんだ。彼はほんの少し目を細めるだけで、ほんの少し口の端を動かすだけで、たくさんのことを伝えることができる。僕はそれを捉えたかった。

ーイザックの体の使い方は、すごく動物的でありながら、同時にすごく意図的でもある。彼のボディーランゲージには強さとプライドが感じられるし、リミッツ・オブ・コントロールでは、イザックが外見上は何もしていないように見せることで、彼が演じる役所に表情が出たー

■監督は工藤夕貴について語る。
ーミステリアス、フェミニン、少しセクシーで、支配的。おしつけるような性格じゃない。よく映画に出てくる、ミステリアスな変なアジア人役ではなく、ユウキそのものー

■監督は、クリストファー・ドイルについて語る。
ー過剰な演出はしたくなかったが、それでもその場所の色が持つ価値は残したかった。ただ技術的なものよりもフレーミングのよって強調するようにした。フュイルムはカラーバランスの良さを考えて富士フュイルムのものを使った。

えらいなぁ。このスタイルが好きです!

ークリスが小論文の中で、文化的経験といった要要因の依存して人の目がどんな風に異なった反応をみせるかについて書いているー

ああ、読みたいですね!

ークリスはセットの中で、その場所を明るくするためではなくむしろ影を作るために照明を使っていた。これはポジティーブな部分とネガティーブな部分の対比の認識を逆転させたんだ。僕らは、画家の感覚を目指していたから、、、、、、単に作品を分解するように仕事をするんじゃなくて、自分たちの周りにあるものに夢中になる無垢な能力を取り戻そうとしたんだ。ー

ああ、カッコイイです!  これは。

■監督が語る 映画について
ークリスと「これを見るのは今回が初めてだ」という表現を使ってよく話したね。逆のとらえ方をすれば「もう二度とこと部屋を通ることはないだろう」という感覚だ。僕らにとって映画は自分たちのものの見方だからね。よくふたりで、観客の感覚を変えるなにかを生み出したいって言っているんだ。お客さんが映画館を出たときに、彼らのものの見方がたとえ一時的であったとしても新しく変わっていて欲しい。テーブルの上の平凡なコーヒーカップや、腰を下ろしている部屋に差し込む光を見るときの見方がね。ウィリアム・ブレイクは僕の尊敬する監督のひとりだけど、彼にとって想像力は信仰なんだ。なにかを想像する力というのは、人間が与えられたもっとも力のある才能だ。それは科学の分野でもどんな表現形式でも同じことさ。

人がそれぞれどんな風に世界を見ているかは、そしてその世界のなかの人の意識も、主観的なものだ。ものの意味や、もののイメージをどう捉えるかという点で、個人一人ひとりがすでに確立されている支配を拒む権利を持っている。映画は、人が自由に理解をするものだと思っている。今回のタイトルは、こういった考えがあって気に入ったんだ。自分たちの支配には限りが有る。もしくは自分自身の支配…なんだろうね。 ー


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ミッション:8ミニッツ

2017-08-24 | chinema(欧米系映画)

映画を観た。

★ミッション:8ミニッツ
原題:Source Code
監督:ダンカン・ジョーンズ
撮影:ドン・バージェス 
音楽:クリス・ベーコン
キャスト:ジェイク・ギレンホール、ミシェル・モナハン、ベラ・ファーミガ、ジェフリー・ライト、他
2011/アメリカ

邦題よりも、原題の《Source Code》の直訳で《ソースコード》のほうが、テーマに合ってるかなと思う。
映像は過激ですが、テーマはなかなかしっとりとした男の世界である。
結構泣かせてくれます。

予想できないドラマ性に気持ちが引っ張られて、
この作品の持つ本当のメッセージに正確に辿りつきにくい作品だ。
つまりが制作チームにうまく《騙されている》。
しめしめとほくそ笑むダンカン監督の顔を想う。
もっとも彼は騙そうとも難解にしようともしているわけではなく、
むしろ彼なりわかりやすくしかも手順を踏んで説明している。

ダンカン・ジョーンズ監督はこてこてのゲーマーである。
日本的な《オタク》である。
フォークより箸を使うことを先に覚えたというほどの日本通である。
かれの個人的関心(意識の実態はどこにあるか)が、この脚本を選択し、
そしてさらに、ゲームオーバーとなってのその後の物語を付け加えた。
多くの観客は混乱しただろうが、豊かなゲーマーなら当然の成り行きとして理解できる。
映画で展開されるロジックからすれば、結論ははじめから用意されていたこと。
ラストの展開などを見ていると、
ダンカンさんは、《イギリス人なんだな》と妙に納得した。

2作目(第一作は《月に囚われた男》)にしてもうトップクリエーターの仲間入り?
僕は相当彼の才能に入れ込んでいる


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ハンナ

2017-08-23 | chinema(欧米系映画)

映画を観た。

★ハンナ
原題:Hanna
監督:ジョー・ライト
音楽:ケミカル・ブラザーズ
キャスト:シアーシャ・ローナン、エリック・バナ、ケイト・ブランシェット、他
2011/アメリカ

このポスターは決まってるし、予告編はクリアーだし、スタッフ、キャストもいいし。これはかなりいけるかもと思ったんですが、、、。
結論から言うと、謳い文句の《サウペンス》《アクション》《スリラー》とはベクトルの違うなかなかのマッタリ系でちょっと脇の甘さを感じさせる作品でした。

大人の童話として観ると、、、、。
でもやっぱり、的を外してる、詰めの甘さを感じます。
意味深なグリム童話を取り込んでいるので、ひょっとして《的外れ感》も表現のうちでしょうか。
意図的に物語の連続性みたいなものをブスッと切っているような。
見ている者の感情をサラリとリセットするような。
ちょっと不思議な感覚。
そこに監督ジョー・ライトの狙いがあるのでは、、、、。

ちょっと余りにも好意的に捉えすぎですね。
それもこれもプラチナに輝く美少女戦士シアーシャ・ローナンのせいでしょう。
始めと終わりの台詞が妙に輝く。
《心臓外しちゃった》
美しき16歳の暗殺者の言葉です。

対抗するは《魔女のケイトブランシェット》
悪役ぶりがそれはカッコイイ。

パパ役のエリック・バナもベルリンの地下でいいところを見せてくれます。

それにしても、何処か、
《的外しちゃった》
でも、そこがいいのかもです。


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少年メリケンサック

2017-08-23 | chinema(日本映画)

映画を観た。

★少年メリケンサック
監督:宮藤官九郎 
出演:宮崎あおい、佐藤浩市、ユースケ・サンタマリア、木村祐一、田口トモロヲ、三宅弘城、他
2009/日本

メリケンサックを握りしめ、眉間にしわを見せるあおいちゃんのポスターを観て、「コメディアンヌとしての「宮崎あおい」はどうなんだろうか?」とそれこそ半信半疑で観に行った。 宮藤官九郎が監督と脚本を務めるコメディ。昔は美系、いまや単なるオッサンと化したパンクバンドが、全国ツアーに繰り出して抱腹絶倒の騒動を巻き起こす! レコード会社に勤めるかんなは、ネットで少年メリケンサックというパンクバンドのライブ映像を発見。すぐに契約に向かう彼女だったが、現れたのは汚いオヤジたち。なんと、その動画は25年も昔のものだった。

で、結果です。
ものすごく張り切って、ほんとに一人で健気に頑張るんだけど、コメディアンヌにはなりきれない、かわいいあおいちゃんだった。

汚いしかも臭さ充満のオッサン達に混じって、あおいちゃんのピュアーな笑顔だけを一際目立つように創られた、まさに抱腹絶倒の映画として創られたんだけど、ボクはすっからかんとは笑えなかった。 こんなにくせ者役者ばかり集めて、ありえない話に加えて、さらに予想不可能な騒動を繰り返し間違いなく面白い映画なんだけど、冷ややかに見極めようとする自分に気づいた。ちょっとがっかり。どっぷり浸たりきるような笑いがほしかった。やはり、宮藤官九郎さんの行き当たりばったりしき脚本がギクシャクしたのかもしれない。そういう意味では、ちょっともったないなとも思う。

ラスト、宮崎あおいを、あのポスターのように眉間にしわをつくり、絶叫パンクバンドやらせたら、映画史上に残る最高傑作の一つが生まれただろうと思うと惜しい。雰囲気として、そこまで持っていけそうだったのになぁ。

最高に美しくも可笑しなシーンは、宮崎あおいと木村祐一の二人が、港で腰掛けて語り合うところ。縮こまった醜男木村と赤いブーツのすらーとした宮崎あおいの二人の姿をとても対照的に映している。ひょっとして、美と醜をハイコントラストで描くことが、クドカンさんの狙いだったのか。

ところで、この映画のパンクって、一体なんなんだ?


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腑抜けども、悲しみの愛を見せろ

2017-08-23 | chinema(日本映画)

映画を観た。

★腑抜けども、悲しみの愛を見せろ
監督:吉田大八
出演:佐藤江梨子、佐津川愛美、永作博美、永瀬正敏、他
2007/日本

自意識過剰なヒロイン、
姉におびえながらもしたたかな妹、
家族の秘密に翻ろうされる兄、
その妻が繰りひろげる愛憎劇。

ブラックジョーク風?に描く。
意味不明?にパワフルでした。

 

 


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いつかA列車に乗って

2017-08-22 | chinema(日本映画)

映画を観た。

★いつかA列車に乗って
監督:荒木とよひさ
出演:津川雅彦、加藤大治郎、真矢みき、小林桂樹、愛川欽也、他
2003/日本

ジャズ酒場を舞台にして、客やミュジシャンそれぞれ人生のこもごもを描く。しみじみと味わう大人の映画。ジャズが哀愁を漂わせ物語を進行。

人生は忘れ物をさがす旅。神様は三度微笑んでくれる。

1度目は、自分が生れた時。

2度目は愛する人と出会ったとき。

そして、3度目は、人生を懸ける事にで出会う時。

多くの人は、3度目のチャンスを気付かずに逃してしまう。

それでもいつか奮い思い立った時が3度目。

前を向いていこう。


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長江にいきる

2017-08-21 | chinema(アジア系映画)

映画を観た。

★『長江にいきる 秉愛(ビンアイ)の物語』
監督:フォン・イェン(馮艶)
音響設計:菊池信之、
2008/中国

中国の一大事業である三峡ダムの建設を背景にしたドキュメンタリー。
今年2009年に完成予定の世界最大のダム建設に際し、140万人の人の住居と田畑が水没するという。この作品は、7年間ほどかけて取材しながら、一人の既婚女性、秉愛(ビンアイ)の生き方を通して、中国社会の急激な変貌を浮き彫りにし、「生きること」の意味を感情込めて描いている。

女性監督フォン・イェン(馮艶)の視線にブレはなく、初めから「女性である」個人の生き方にこだわっているように思う。一人の女性の表情、感情、を豊かにカメラに収めている。
監督と秉愛(ビンアイ」の強い信頼関係から生まれた映像だ。

山峡ダム建設を題材にした作品としては、ジャ・ジャンクー監督の「長江哀歌」を思い出すが、物語ではなく、徹底的に個人の内面に深くこだわり、中国女性の感情のひだまで描いたことで感動的ドキュメンタリー作品になった。
中国内陸部農村社会の急激な変化の様子もよく解る。

この作品は、07年山形国際ドキュメンタリー映画祭で、小川紳介賞(アジア部門最高賞)に輝いている。その後、プロの音響設計者である菊池信之さんが加わり、より完成度の高い作品に仕上げて、劇場公開となった。

フォン・イェン(馮艶)監督の言葉。
芸術でもそうだし、映画でもそうだけど、レベルが高いというのは決しておしゃれであるとか手法が洗練されているとかではない。
感情がどれくらいあるのか、というのが私はとても大切だと思うんですね。

公式サイト にブログが設置されていた。
長江にいきる 秉愛と仲間たち
http://bingai.exblog.jp/
その中から、素晴らしい言葉を見つけた。

音響設計の菊池信之です。
現実社会に氾濫する音の中で、その人が置かれている状況、意識、感情によって聞こえてくる音も聞こえない音もある。そうした感情や状況にどう寄り添うかが映画をリアルへと導く。音の選び方によって、写されている人物や物との関係は形成される。これを「まなざし」と言ってもいいと思う。

撮影者が現実を見つめる場合に、風景でも人物でも、どの距離感でそれを見ているのか、その「距離」の取り方はまた大事だ。それによって音の選び方も変わってくる。説明が難しいのだが、一台の車が走る。道路を含む風景の一つとして見るのか、その走る車に何らかの感情があって、その感情で見るのかによって音も変わる。いわば、映画(の意識)が何処に位置しているのか、映画の「立ち位置」によって、音のあり方が違ってくるのだ。(音の在り方によって映画の立ち位置が変わるともいえる)


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ラスト、コーション

2017-08-20 | chinema(アジア系映画)

映画を観た。

★ラスト、コーション
監督:アン・リー
出演者:トニー・レオン、タン・ウェイ、ジョアン・チェン、ワン・リーホン、他
2007/アメリカ・中国・台湾・香港

女はいつの時代も女の武器を使う。
タン・ウェイの妖艶になり切れないかわいい表情が新人らしく初々しさが出ていた。
虚無的な表情のトニー・レオンがかっこいいと思ったが、
あの顔がこの時代の残酷さを象徴しているのかとも思った。
表現行為はしつこくやればやるほど、別の何かを生みだすものだが、
この映画のはげしい性描写は、
まとわりつく肉体が痛々しく、不毛な時代を強烈に描き出している。

俳優さんたちの鋭いキラキラした、狙うような視線を引き出したのは、
監督のアン・リーさん。
アジア人であり、アジアの世界、アジアの空気を知っている。
アジア人の繊細さを描くことができる。

 


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長江哀歌

2017-08-20 | chinema(アジア系映画)

映画を観た。

★長江哀歌
監督:ジャ・ジャンクー
出演者:チャオ・タオ、ハン・サンミン、他
2006/中国

2006年ベネチア国際映画祭でのグランプリ受賞作品。
ネットや雑誌等で、センセーショナルな上映方法や、作品に対する称賛の記事はすでに読んでいた。が私の想像を超える「人間への慈しみ」に溢れた作品だった。

監督はジャ・ジャンクー(賈樟柯)。
1970年生まれという若さに驚かされた。「人間への慈しみと人生の深み」そして「悠々とながれゆく時間」をこんなに見事に表現できるとは。

音楽は、台湾のカリスマ的ミュージシャンであるリン・チャン。
主人公たちの寡黙な演技とは対照的に、ものすごい熱情をこめた「うた」が印象に残る。監督の声を、物言えぬ人々の声を代弁しているような迫力。

烟(タバコ)、酒、茶、糖(アメ)。
かつて日本人も愛したものだが、中国人にとっても大切な4つの言葉を象徴的に使っている。変わりゆく時代の記憶、そして決して失われない人の記憶。長江と名前を聞けば、必ずこの映画の放つイメージを思い浮かべることだろう。

映画の舞台となっている「三峡」は、「三國志」の舞台でもあり、また、李白の詩にも名高く、われわれ東洋人にとって詩の境地の象徴でもある所。

 


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