N の 祝祭日

映画、読書などのメモ

だまされることの責任

2017-12-30 | 

本を読んだ。

★だまされることの責任
佐高信と魚住昭
出版社:角川グループパブリッシング

佐高信さん。
いつも苦虫を噛み潰したような表情で、
権力に楯突く、吠える姿は、もはや「芸」の域である。
笑っていても心からの微笑みとも見えず、ニヒルである。
これだけ言いまくると、敵も多いだろうし、
「身に危険がせまる」なんてこともあるのではと思ってしまうが、
そこは、ジャーナリストであるが故の言いたい放題とそれなりに世間が認め、
本人も「自分の売りは吠える事」と決め込んでいるフシがある。

魚住昭さん。
共同通信の「沈黙のファイル」執筆チームの一人。
彼を有名にしたのは「野中広務ー差別と権力」である。
ボクは今なお時々この本を本屋で立ち読み続けている。

この二人の対談集「だまされることの責任」は、
はじめに、映画人である伊丹万作さんの「戦争責任者の問題」の文を掲載し、戦後60年を過ぎてもいまなお無責任体制に浸っているような日本人の精神構造を鋭く検証している。中でも「自己を溶かす日本人」の話は、組織の中で「私」を失いアリ地獄みたいに堕ちてゆく人間像が鮮やかに語られ、興味が尽きない。身の回りにもよくある光景である。

「権力にすり寄るジャーナリズム」の話で、魚住さんはこのように語る。
「要するに、みんな派閥記者。派閥の一員になることによって、情報を得る。仲間になれば情報は自然と入ってくるからその一部分を記事化することによって、、、、、、、、、、、、、だからお互いに得をする。日本の政治ジャーナリズムの主流は、そうした持ちつ持たれつの関係でなりたっているんです。」



どの世界、どの分野でも同じ事がいえるのではないか。
人はその派閥に入るために、
その仲間になるために「私」を溶かし続けているのではないかということ。
少し遠ざかってみると、
全体の構造が朧げながら見えてくる。


最近、
僕はテレビニュースはまともに受け止めなくなった。
新聞はほとんど読まなくなった。

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殿様の通信簿

2017-12-28 | 

本を読んだ。

★殿様の通信簿
著者:磯田道史
出版社:朝日新聞社

最近、よくお顔をテレビで拝見いたします。
人気なんですね。

本の帯には「平成の司馬遼太郎」の呼び声も高いと書いてあり
、司馬ファンとしては、これは一度読むより手はないでしょうと買ってしまった。
読んでみると、なるほど歯切れの良い文章リズムで、爽やかです。
司馬さんの書く物の中に、
「・・について書く」とか
「話がかわるが・・」
とかいった単刀直入の書き出しがよくあり、
ぐっと引きつけられるのですが、
磯田さんの文章にもそのような要素があります。

作家の磯田さんは年齢もまだお若いので、
今後どのような世界観を表現されるのか注目していきたいです。
最近、よくお顔をテレビで拝見いたします。
人気なんですね。

私には、「江戸時代、加賀100万石という大国が何故にたたきこわされずに残ったのか」という日本史上の疑問がずっとありました。この本には、さもその時代を見てきたように解説されています。お見事です。「武士の家計簿」も読んでみることにしました。

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テロリストのパラソル

2017-12-27 | 

本を読んだ。

★テロリストのパラソル
著者:藤原伊織
出版社: 角川書店

発表された当時はかなり気になってはいたが、いつのまにか忘れた。
今回、たまたまいつもの本屋で文庫本を手に取ってしまった。
立ち読みしたあとがきの文章が気に入り即購入。
それなりのハードボイルタッチで、一気読み。

話の筋はある程度知っていたが(何で知ってるんだろうか?自分でも覚えていない)
小説を読むと、《これはいい》と唸りながら。
熱烈なファンがたくさんいるというのも頷ける。
登場人物のキャラが《凛として際立つ》。
となると、読んでいて気持ちがいい。
うじうじしたのが出てこないというか、
犯人のテロリストがどうもすっきりしない男というのがちょっと惜しいくらい。

男《これが宿命なんだよ。これがあの闘争を闘ったぼくらの世代の宿命だったんだ》
に対して、主人公島村は、
《私たちは世代で生きてきたんじゃない。個人で生きてきたんだ》

この物語は、個人で生きてきた男の孤立無縁の戦いを描いた作品である。
ちょっと格好良すぎではないかと思うが、実にすがすがしい気分。

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人生の特等席

2017-12-27 | chinema(欧米系映画)

映画を観た。

★人生の特等席
原題:Trouble with the Curve
監督:ロバート・ローレンツ
キャスト:クリント・イーストウッド、エイミー・アダムス、ジャスティン・ティンバーレイク、ジョン・グッドマン、他
2012/アメリカ

この作品のみどころはとてもシンプル。

1.頑固一徹、クリント・イーストウッドの復活。(現在82歳)
2.フェミニンなエイミー・アダムスの笑顔と豊満な谷間
3.ジャスティン・ティンバーレイクはどんな演技をするの?
4.邦題《人生の特等席》の意味するもの、原題《Trouble with the Curve》の意味するものは?
5.アンチ《マネーボール》への《野球へのラブレター》みたいなノスタルジー。

ということで。

やはり頑固ジジィ役のクリント・イーストウッドがいい、喋らなくても顔アップで映画ができる。表情で演技ができるのはいいなぁといい気分で観ていると、《うん?待てよ、これって、娘役のエイミー・アダムスが輝いてるやンか》《うーん、これはもうエイミー・アダムスのための映画だな》と、途中で気がついた。静かな親父とは対照的に、よく喋るは、はちきれん笑顔を見せるは、視力の弱った親父に代わってスカウトマンとしての凄腕ぶりを発揮するは、そしてさらに、自らキャッチャー、バッターと大活躍。すごいスーパーウーマンである。さらにさらに奥深い谷間をちらちら魅せながら、果てはちょっぴり脱いで池に飛び込むというサービスまで。男ばっかりの映画に一人フェミニンパワーの活力を与え続けたということで、《これは彼女の映画》でした。

さて、次は野球の話。これが愉しく面白い。この作品は、《親子の絆》の物語であると同時に、純に野球を愛し、《野球へのラブレター》みたいな素朴でノスタルジックな物語でもある。

《野球というのは、音を楽しむスポーツである》。心地良い音を聴きながら、選手の攻守走を楽しむ、これが私の最も好きな野球の楽しみ方である。攻の音は、素振り、球を打ち返した時などのバットの音。守の音は、ミットやグラブで球を受けた時の響き。走の音は、スパイクのグランドを駆け抜ける音。これが《野球の原音》であり、草野球や高校野球ではこの音がしっかり心地よく聞こえる。野球の原点を楽しむことができる醍醐味でもある。グラウンドで音を聴きながら、観覧席でうたた寝しながらでも野球をたのしむことができるのある。

当然のことながら、この《野球選手の表現する音》をリズムよく力強くそして大きく心地よく響かせることができる選手が、《潜在能力の高い選手》ということになる。

今は野球に限らずどのスポーツでも《データ至上主義》である。スカウティングにあっても、パソコンにデータを打ち込みながら、選手の資質の将来性を見極める。

しかし、ここに登場するスカウトマンのガス(クリント・イーストウッド)は、パソコンなどのデータ収集機器は使わず、いままで培ってきた自分の眼、自分の耳を頼りに、能力ある有望選手をスカウトしチームに送り込む。しかし悲しいかな年齢とともに頼りの視力は衰え、直感力も衰え、彼のスカウトマンとしての評価は下がる一方。だが幸いな事に聴力は残っていた。目指すお目当ての注目選手は、《ストレイトにはめっぽー強いが、カーブをしっかり捉えることが出来るかどうか》。これを確かめるために、娘の眼力を借り、自分の耳を頼りに、選手のバッティングを分析する。結果ホームランであったが、ガスは何処か鈍い音に気づく。娘の報告では、腰が浮き腕が不安定だった。ガスの下した結論は、《金属バットでは何とか力でフェンスを越すことができるが、木製バットではそうもいかない。鋭いカーブならまず打てないだろう》というもの。さすが。僕も高校野球を観ながら時々そう思う場面がある。

シンプルに野球というスポーツを見つめる。野球の音は響きが心地よいものだ。娘のミッキー(エイミー・アダムス)は、泊まったモーテルの裏庭でたまたまその心地よいミットの音を聞く。回転のいい速球はミットでパンパンと響く。そこからの彼女は凄い。キャッチャーをひきうけ、彼の速球をのキレを確認、そしてカーブのキレ具合を自分の眼で体で確認。このシーンはちょっと緊張場面でしたが、良かったですね。彼女のキャッチングスタイルはきまっていた。彼女は素晴らしい新人を見つけた。

というわけで、ガスの報告を信用せずドラフトで一位指名した選手とミッキーの連れてきたピーナッツボーイ(ピーナッツの売り子)の対決。バッターは速球も打てず、カーブにはきりきり舞い。全く無名の選手が一躍期待の星に。

野球でよくある古典的なお話である。
野球を心から愛する人は、このノスタルジーな物語が好きだ。

ところで、この撮影はアトランタ・ブレーブスのホームグランドで行われとということ。綺麗で開放的な球場でした。開幕前でしたが、撮影にはとても協力的だったとか。アメリカという国は、野球のことになると、とてもフレンドリーになる。

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グラン・トリノ

2017-12-26 | chinema(欧米系映画)

映画を観た。

★グラン・トリノ
Gran Torino
監督:クリント・イーストウッド
クリント・イーストウッド、ビー・ヴァン、アーニー・ハー、クリストファー・カーリー、他
2008/アメリカ

「老いの軽やかさ」だろうか、
自分の過去と希望をさらりと描く老人の気まぐれのような作品に仕上がっている。
これはたまらない。

意味深なテーマ性はあるが、そこに深入りする事なく、イーストウッドは自らの人生訓ともいうべき「正義」を主人公ウォルトに語らせ、「善良なるアメリカ人」を描く。が、彼の描きだす人物たちは、多民族国家のアメリカでもマイノリティに属する人たちである。彼のラスト作品にふさわしい世界観だ。

友人の散髪屋さんが、イタリア人であるというのも、何かの思い入れか?そして何より、フォードのヴィンテージカー「グラン・トリノ」がイタリー語であるというのも何か意味がありそうで、ついつい、いろいろ勘ぐってしまいたくなる。

勘ぐりついでに、車が面白い。ゴロツキが乗り回す車がホンダ。何かと折り合わない息子はトヨタの販売員。みんなが狙っているのは、今や役には立たないが、「美しくも誇り高いフォード」。

猫族とイヌの対比も面白い。

教会の描き方も興味深い。いろいろ悪態をつきながらも、ラストは自ら「懺悔」におもむき、言い訳を語る。そして、ゴロツキとの戦いは、武器をもたない平和主義者。最期はイエスのように十字架となり、夢と希望を若者に託す。

まぁ、それほど「美しく気まぐれ」的に創られた作品であるということ。しかし、見事に美しい。会話のあちこち細かに挿入される、かなりブラックなユーモアが、作品のアクセントになっているから憎い。

スタッフ・ロールでワンコーラスだけイーストウッドの渋い歌声が流れる。ここで感極まる。しばらく席を立ちたくなかった。

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ツーリスト

2017-12-23 | chinema(欧米系映画)

映画を観た。

★ツーリスト
The Tourist
監督:フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク
2010/アメリカ

こういう作品はくつろぎながらそれなりに楽しめる。
華麗な舞台設定にゴージャスな二人の組み合わせ、
なかなかマッタリ系ゴージャス感たっぷり。
風呂上がりの就寝前にピッタリの映画でした。
《危険な謎》というわりには、観ているこちらにはスリリング感は全くなし。
ゆっくり《ヴェニス》を楽しませていただきました。

イギリスという国、
フランスという国、
イタリアという国、
そしてロシアという国、
ステレオタイプ的な国のイメージが滲み出ているのもちょっとカワイイくらい可笑しい。

ジョニー・デップの表情は全編を通して《眠そう》でした。
彼はいつもこんな眠そうな男でしたっけ?

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ヘンな日本美術史

2017-12-22 | 

本を読んだ。

★ヘンな日本美術史
著者:山口晃
出版社: 祥伝社

●第1章 日本の古い絵ー絵と絵師の幸せな関係(鳥獣戯画、白描画、一遍聖絵(絹本)、伊勢物語絵巻、伝源頼朝像)
●第2章 こけつまろびつの画聖誕生ー雪舟の冒険(こけつまろびつ描いた雪舟/なぜ雪舟は邪道を選んだのかー「破墨山水図」ほか)
●第3章 絵の空間に入り込むー「洛中洛外図」(単なる地図ではない、不思議な絵/とっつきやすさの「舟木本」 ほか)
●第4章 日本のヘンな絵ーデッサンなんかクソくらえ(松姫物語絵巻、彦根屏風、岩佐又兵衛、円山応挙と伊藤若冲、光明本尊と六道絵-信仰パワーの凄さ)
●第5章 やがてかなしき明治画壇ー美術史なんかクソくらえ(「日本美術」の誕生、「一人オールジャパン」の巨人ー河鍋暁斎、写実と浮世絵との両立-月岡芳年、西洋画の破壊者-川村清雄)


僕は、山口さんの実作品を観たことはない。
何度も見る機会はおとずれていたが、どういうわけか観ていない。
ところが、テレビに出演した山口さんはどういうわけかよく見ている。
ひょうひょうとした語り口は、ある意味この本の魅力ともなっている。

そのうちに作品を観る機会はやってくるだろう。
楽しみに。

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ジョニー・イングリッシュ 気休めの報酬

2017-12-22 | chinema(欧米系映画)

映画を観た。

★ジョニー・イングリッシュ 気休めの報酬
原題:Johnny English Reborn
監督:オリバー・パーカー
キャスト:ローワン・アトキンソン、ジリアン・アンダーソン、ドミニク・ウェスト、他
2011/イギリス

タイトルから想像し、《007》に対抗して何処までおちょくるのか、それなりに愉しみにしていたのですが。まったくもう、ほんとに気休めにしかならない映画でした。《愚直な諜報員》を笑い者にするユーモア?は、僕の感覚としては《心地よい笑い》とはならなかったです。とにかく、《痛っ、痛っ》という感覚でした。この作品の質感は、《痛っ!》です。

ラスト、女王を間違えて捕まえるシーンは、
さすがイギリスらしいシニカルな笑いで、
ちょっぴり、《スカッ》です。

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007 慰めの報酬

2017-12-21 | chinema(欧米系映画)

映画を観た。

★007 慰めの報酬
監督:マーク・フォースター 
歌:アリシア・キーズ・アンド・ジャック・ホワイト 
キャスト:ダニエル・クレイグ  オルガ・キュリレンコ マチュー・アマルリック 
2008/イギリス、アメリカ


「ゼロゼロセブン一枚」とシネマカードを出だすと、受付のお姉様は、にこっと笑って「ハイ、ダブルオーセブンですね」。思わず苦笑い。ショーン・コネリーのボンドは「ゼロゼロセブン」と読んでいたのである(日本では)。

ダニエル・クレイグが“6代目ジェームズ・ボンド”を演じる人気スパイ・シリーズの最新作。前作で愛する女性を失った英国諜報員ボンドが、憎き敵に戦いを挑む!テロ資金源壊滅の任務を共にした女性ヴェスパーを愛したものの、裏切られたうえに死なれてしまったボンド。彼女を操っていた組織を追ううちに、その幹部を務める謎の男グリーンの存在に突き当たる。

ボンドもとうとうサイボーグになった。

話は、南米のある利権をめぐって、ワルが儲け話に手を出し、ボンドが阻止するという単純な展開なんだけど、そこに、前作「カジノ・ロワイヤル」の続きとしての復讐劇がからんでくる。復讐の鬼と化したボンドの凄い表情が殺人鬼を思わせた。登場するワルがちょっと小ずるい小物すぎて、強烈な個性がなく、全体のスケール感が小さくなり、物語の奥行きの狭さが気になった。

40年以上も続いているシリーズである。「007」である以上ある種の定番事があり、それがウリでもある。ボクらはそれを好むと好まざるにかかわらず、思い浮かべながら観に行くが、過去から引き継いだイメージとは余りにもかけ離れたモノに変質していることに気づき、戸惑いを感じてしまった。砂漠を舞台にした場面が多かったせいか「渇き」を感じ、観た後、何か「飢え」も感じさせてくれた。

エンディングの銃声で、全てを忘れ「スカーと爽やか」になるはずであったが、時代の混沌を感じてしまった。

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ラブ&ドラッグ

2017-12-20 | chinema(欧米系映画)

映画を観た。

★ラブ&ドラッグ
原題:Love and Other Drugs
監督:エドワード・ズウィック監督
キャスト:アン・ハサウェイ、ジェイク・ギレンホール、オリヴァー・プラット、他
2010/アメリカ

たまたまポスターを見て、《おつ、見たことある顔やんけ》。
《このふたりがこんなチャラっぽいのやるの?》という半信半疑状態で見に行った。
が、あっけらかんとした二人の表情が誠に鮮やかで、
あっけらかんとした裸っぷりも実にアカヌケしていました。
アン・ハサウェイさん、自分を放り出してる感覚が良かったです。
真っ黒けのちょっとタレ目の大目玉が今回も魅力大放出。
ラストはちょっぴりクラッシック名画調で、感情をたっぷり盛り上げ、締めくくってくれました。
パーキンソン病については、知り合いにもいるので、リアルに考えさせられました。

で、見終えてから、素朴単純に沸き上がってきた疑問は、
《何でこの作品は、シネコンにあがってこないんだろうか?》
アン・ハサウェイ、ジェイク・ギレンホールの二人のスーパースター(僕は大好きなんで)の主演で、このラブコメ具合なら、話題沸騰興行成績アップまちがいなし、と思うが。

後で調べてちょっと驚いたこと、原作は、ジェイミー・レイディの「全米セールスNo.1に輝いた〈バイアグラ〉セールスマン 涙と笑いの奮闘記」。映画はアメリカのファイザー製薬営業マンの実話をもとにしている。この《製薬会社の実話》ということ。

 

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SUPER 8 スーパーエイト

2017-12-18 | chinema(欧米系映画)

映画を観た。

★SUPER 8 スーパーエイト
英題:SUPER 8
監督・脚本:J・J・エイブラムス
製作:スティーヴン・スピルバーグ
音楽:マイケル・ジアッキノ
キャスト:カイル・チャンドラー、エル・ファニング、ロン・エルダード、ノア・エメリッヒ、他
2011/アメリカ

楽しみ方いろいろ。
いろんな要素がいっぱいつまってる。

タイトル《スーパー8》について
映画を観る前は、8人のスーパー少年少女の物語を思っていた。
でも登場したのは、5人いや6人。
あれ? 
途中で、ああこれは、あのコダックから出ていた、
アマチュアが愛用する8ミリフュィルム《スーパー8》がタイトルになっているなと気がついた。
まさに《おおー》という感激である。
彼ら少年少女6人の8ミリ映画製作物語が、
この映画のお話であり、
70年代、80年代への郷愁とオマージュを込めた作品になっている。
《今だから感じるノスタルジー》
おお!

こんなのたのしいよなぁ。
このクラシカルな雰囲気、
笑って拍手したくなるくらいイカスゾ!
ゾンビ、あれはいかにも子どものアイデアのようだ。

《エリア51について》について
UFOの飛来や、エイリアンと人間との共存など、何かと面白い噂の絶えない、SFの聖地である。
この名前は特別なのだ。
この地名を記すだけで世界が変わる。
何かが起こる。
あのイチローの守備範囲も《エリア51》。
何かが起こるエリアである。

そして、大活躍の《スーパー6》(男の子5人+女の子1)について。
いくつだよ、この男の子達は。
素顔は映画と全く同じ子どもの表情。
男は変わりません。

じゃりっぽい男の子に混じって、とびっきりキラキラ輝く女の子がいた。
エル・ファニング。

6人の少年少女たちが撮ってる劇中映画で演じるヒロイン役が呆れるくらい凄い。
探偵の妻を演じ、駅での別れの場面では、もうドキドキ。
「この世界はなんだ」
「クラシック映画の世界」
と思わず一瞬引きこまれ、豊かな気持ちに浸った。



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ヒアアフター

2017-12-17 | chinema(欧米系映画)

映画を観た。

★ヒアアフター
原題:HEREAFTER
監督・製作・音楽:クリント・イーストウッド
製作総指揮:スティーヴン・スピルバーグ
脚本:ピーター・モーガン
撮影:トム・スターン
キャスト:マット・デイモン、セシル・ドゥ・フランス、ブライス・ダラス・ハワード、ジョージ・マクラレン、フランキー・マクラレン、他
2010/アメリカ

まず、
いい映画なんだけど、
タイミング的に不運な作品ではある。

クリント・イーストウッドの人への慈しみ方には、十分に年を重ねた者のあっけらかんとした開放感が溢れている。大きな男の懐の深さを感じさせてくれる。今回の作品も、細々としたものを省いて、「さぁどうぞ」という感じのザックリ感のある暖かく大きな優しさを感じた。
質素だけど、この上ないもてなしのご馳走をいただいたときの幸福感に似ている。映画を見ながら、「妙な力身」がじんわり溶けて、しだいに気持ちが軽くなっていく自分に気づいた。
「ああ、、、またやられた、、、。」とさらに脱力する。アコースティックなエンディング曲が流れた時は、しばらくそのまま眠っていたいような。

感情を抑えたニュートラルな柔らかい色彩を使いながら、光と影を巧みに操り丁寧に感情をあぶり出す。こういうイーストウッドの映像が好きだ。過剰にならず、神秘的にならず、ほんとに自然な手法でリアル感を出しながら、何処か孤愁を感じさせる映像。男の美学である。


さすがにこの津波はショック。


ロンドン、パリ、サンフランシスコと三つの物語が同時進行するので、さて、《何時何処で、どんな形で出会うのか》これが面白いところだが、ロンドンに舞台を移す辺りから、ミステリアスな雰囲気に哀愁めいたものが漂う。何故「ディケンズ」なのかという疑問も湧いたが、イーストウッド監督は詳しい説明はしてくれない。《生きる者たちへ贈り物》を描きたかったのだろうか。

ラスト、霊能者ジョージとマリーとの出会いは突然世界が変わったような奇妙さを感じさせ、この映画を観た後、ずっと気になった。ジョージは近未来の現実世界と繋がることで、孤独から逃れることができた歓喜の瞬間である。もう少し状況の説明があってもいいのでは。
でもやはりイーストウッド監督はさらりと一瞬にして描いた。そして自身作曲のエンドロール。ナルシストのなせるスゴ技である。

カメラの撮り方だろうか、手の大きい人だと思う。
この手でざっくり捕まえられたら、かなわない。
飾りっ気のないスタイルだけど、懐の深さを感じさせる肖像である。

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堕落論

2017-12-16 | 

本を読んだ。

★堕落論 (新潮文庫)
著者:坂口安吾
出版社: 新潮社


久しぶりに坂口安吾を読んだ。
ほんとに好き勝手に思ったことをズバリズバリ痛快に書いている。
好き勝手と書いたが、彼自身は強い意志と明晰な分析力で、自分の思いを表明している。
大勢の反発を覚悟で書いていると思われる。
敗戦直後《半年後ではあるが》の時代の空気の中で書いているので、
堕落ではなく、ある意味上段の構えである。
《そこまで気張ることはないだろう》と気後れしてしまうが、
戦時中も命がけだが、戦後も命がけである。

《堕落論》と銘打っているが、今日的には《極めて健全》である。
《堕ちよ》のデカダンス言葉は、当時の人々にとって至極魅惑的言葉であり、意識が少し変わり始めた瞬間である。
21世紀の今読んでも、刺激的である。
ひょっとしたら、我々日本人の精神構造は、安吾の生きた時代とはあまり大きな変化がないのかもしれない。

人を発熱させるメッセージを発するのは、これアーチスト。
生きろ、生きろと喚いているようだ。

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西洋の伝統色

2017-12-14 | 

★西洋の伝統色
著者:西洋の色を愛でる会
出版社: 大和書房(2017/01/10)


西洋で長く親しまれてきた、美しき186色を紹介しています。
色の由来に触れて、186の物語。
今まで、何気なく、気の向くまま使ってきた
青、赤、オレンジ、ピンク、黄、緑、紫、茶、そして、黒、白。

手元において、気ままにページをめくる。

 

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疲れすぎて眠れぬ夜のために

2017-12-12 | 

本を読んだ。

★疲れすぎて眠れぬ夜のために (角川文庫)
著者:内田樹
出版社: 角川書店 (角川文庫)

この本は2回目です。

僕が特になるほどなぁと唸るのは
《女性嫌悪の国アメリカが生んだサクセスモデル》というところ
ここでの彼の話は非常に興味深い。
西部劇は鎮魂のための物語であり、
アメリカ文学は今なお《傷つけられた男の癒し》という大テーマに取り憑かれているという主張。
ものすごく納得しました。
彼の主張を読みながら
《そぉーか、ギャツビーの物語はまさに男の鎮魂の為の小説》だと納得。
興味ある方は、是非、どうぞ。

結構好き勝手にしゃべったものを本にしたという気楽さが滲み出ていますが、
息抜きにはちょうどいい。
余分な力みがすっと抜けます。

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