Nの祝祭日

映画、読書などのメモ

喜嶋先生の静かな世界:森博嗣

2019-01-22 | 

 

 

超然とした世界観。

自伝的物語ということで、時代は70年代から80年代でしょうか?
かなり懐メロ的、懐かしい大学の空気。
パーソナル・コンピューターの無い時代の紙と鉛筆の時代の大学研究室。
今から振り返れば、相当なアナログ感です。
《尊敬すべき先生の姿》が語られるところは、
まるで夏目漱石の文章を読んでるような感覚に陥ります。

淡々と話が進んでゆくので、
何処にオチがあるのだろうかと不安を感じさせ、
読者を唸らせる瞬間が訪れるのだろうかと半信半疑状態で読んでゆく。
そして、ラスト、
《おっ!》

★喜嶋先生の静かな世界(文庫本)
著者:森博嗣
出版社:講談社

 


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ドラゴン・タトゥーの女(The Girl with the Dragon Tattoo)

2019-01-17 | chinema(欧米系映画)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

原作《ミレニアム》とも、スウエーデン版《ミレニアム》とも違う、明らかに違う。
フィンチャー監督のこの作品は、《ドラゴン・タトゥーの女》であって、タイトルには《ミレニアム》はつかない。
原作の持つ《ミレニアム》の世界はほとんど描かず、ルーニー・マーラの《ドラゴン・タトゥーの女》に関心のほとんどを集中しているようでした。
監督は《犯人探しの装置》を使いながら、ダニエル・クレイグの力を借り、ルーニー・マーラの輝きを少しずつ増すように演出する。
それはそれは練りに練った編集力である。
妥協を許さない表現意欲が美しい映像を生む。

敢えて、もう一度言おう、これは、スティーグ・ラーソンが描いた《ミレニアム》の《ドラゴン・タトゥーの女》ではなく、
《デビッド・フィンチャーの女》である。
それが《可愛い、妙に女の子っぽい》

 

 

原作《ミレニアム》はやたら登場人物が多く、話があちこち飛びまくり、多彩な世界が描かれている。
が、筆者スティーグ・ラーソンの狙いはまっすぐ《女性に対するDVの告発》《非道な闇の力の告発》に向けられていた。
社会派雑誌ミレニアムに働くミカエルとDVの中生き抜いた天才ハッカーであるリスベットの二人の繋がりを軸に物語は展開するが、
フィクションなのかノンなのかよくわからない、
仕事中毒者スティーグ・ラーソンの真摯な手垢がいっぱい詰まり、
非常にリアル感を感じるアナログ世界である。
その世界を見事にビジュアル化したのが、スウェーデン版と言われる三部作の映画。
ノオミ・ラパス演じるリスベットの風貌は衝撃的でした。
そして今回の作品では、今までの物語をそっくり引き継ぎながらも、
原作の持つ《社会派》小説、前作映画の《アナログ的》という映画作りに対抗して、編集に編集を重ねた徹底したそぎ落としの《デジタル化》映像という、
《フィンチャー化》に魅力がある。
フィンチャーという男は、《アナログ的な人間の営み》にはほとんど関心がないような気がする。
必然的に人間の表情は《エイリアン化》する。

面白かった。
かなりの時間を要する映画であるが、まったく気にならなかった。
集中力が途切れない。

★ドラゴン・タトゥーの女
原題:The Girl with the Dragon Tattoo
原作:スティーグ・ラーソン
監督:デビッド・フィンチャー
撮影:ジェフ・クローネンウェス
音楽:トレント・レズナー、アティカス・ロス
キャスト:ダニエル・クレイグ、ルーニー・マーラ、クリストファー・プラマー、他
2011/アメリカ


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文学のレッスン:丸谷才一

2019-01-16 | 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

文学のレッスン:丸谷才一

脳のストレッチをしているような気分。
とても面白く読んだ。
何かが解きほぐされるスッキリ感を味わう。
自由奔放な会話形式だと、丸谷さんの博学と饒舌な会話術が生きる。

あとがきのあとに、
《文学のレッスン》読書案内が載っている。
本文で紹介されたものである。
かって読んだ本はいくつかあるが、ほとんどは知ってはいるが読んだ覚えはないというもの。
こんな素晴らしい世界を覗かずに過ごしてきたのかと思うと情けなくなった。
これからでも遅く無い。
読むか。
読もう。

●文学のレッスン (文庫本)
話し手:丸谷才一
聞き手:湯川豊
出版社:新潮社


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棒を振る人生ー指揮者は時間を彫刻するー  著者:佐渡裕

2019-01-16 | 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

★棒を振る人生ー指揮者は時間を彫刻するー
 著者:佐渡裕
 

佐渡さんは京都人だなぁとほんとに思います。
会話の時、京都人独特の間があるんです。
そして厳つい体ですが、物腰は柔らかいんです。

佐渡裕さんは
風貌からして熱血漢風ですが、ほんとに熱き想いを体全体で表現する人です。
でもとてもシャイです。
そこが人気の秘密。

以前、
佐渡さん指揮するシエナ・ウインド・オーケストラを聴きに行った事があります。
迫力ある音楽に幸福感を感じるとともに、
ああ、佐渡さんはバースタインの弟子なんだと改めて思いました。
ブラバンの人は、是非、佐渡さんとシエナを聴いてください。
無理してでも、何処かで聴いてください。
人生変わると思います。


さらに以前ですが、
2000年を迎える瞬間は、
京都コンサートホールでした。
佐渡さん指揮するミレニアムコンサートを聴きながら迎えました。

あれからもう何年になるのだろうか?
いろんなことがありました。
過ぎてしまえば、あっという時間の流れです。

今の時間が非常に大切です。


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図書館戦争

2019-01-15 | chinema(日本映画)

映画を観た。

物語の全ての始まりは
《頭ナデナデ》
女の子でなくても、この感覚はわかります。
これは人の成長にとってとても大事だ!
ハチャメチャな想像力はこんなちょっとした幸せから大きく膨らむ。
原作者有川さんは、そんな一瞬を捉え、物語化する。

物語の人気の秘密は3ポイント。
身につまされる感覚のパラレルワールド、
ベタ甘の恋愛感情、
そして止めのないポジティーブ新感覚。

映画では、特に、《図書隊と良化隊の戦いをどう描くか》興味深いところだったが、
できるだけ血を流さず、陣取り合戦のごとく互いに戦うゲーム戦争を展開し、
原作の世界をさらにパワーアップさせていた。
実写ものは迫力で勝負である。

児玉清さんが写真で登場しているが、彼は有川さんのファンだったようで、
文庫本のラストに掲載された対談の中で、有川本の魅力について、
《有川さんの本を読むと、心が正されるんですよ。人間のあったかさを、感じ直す事ができる》と。

映画もベタベタ甘ではあるが、
心地良いポジティーブな感情を湧き上がらせてくれた。

●図書館戦争
原作:有川 浩
監督:佐藤信介
キャスト:岡田准一:堂上篤
     榮倉奈々:笠原郁
     田中圭:小牧幹久
     福士蒼汰:手塚光
     西田尚美:折口マキ
     栗山千明:柴崎麻子
     石坂浩二:仁科巌
     他
2013/日本映画


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