N の 祝祭日

映画、読書などのメモ

あるスキャンダルの覚え書き

2020-04-30 | chinema(欧米系映画)

 

★あるスキャンダルの覚え書き
監督:リチャード・エアー
2006/イギリス

女の孤独感を
二人の名女優が
リアルにそして残酷に表現。
ここまで赤裸々に語られると、
他者への渇望感というのは、
病気だなと思ってしまう。
豊かな孤独というものについて考える。

 

繊細で大胆な演技に圧倒された。
ストレートで哲学的でもある。
脳の緊張感が増す。


アリス・クリードの失踪

2020-04-29 | chinema(欧米系映画)

登場人物3人だけのクライムサスペンス。

 

★アリス・クリードの失踪
監督:J・ブレイクソン
キャスト:ジェマ・アータートン、エディ・マーサン、マーティン・コムストン
2009/イギリス


100分あまりの時間、
行き先解らない展開にアタマが痺れっぱなし。

言いたいことはいっぱいあるのだけど、
一言でも話せば、
ネタバレになってしまうというやっかいな話。
ちょっとでもネタを知ってしまえば、
面白さは激減してしまうというまさに厄介危険な映画。
あっと驚く興奮の連続で、
頭が痺れ、
ラストで、
やっと解放されたという安堵感が溢れた。

 

登場人物3人だけのクライムサスペンス。
誘拐に身代金要求というよくある話だが、
一発の銃弾から人間関係が意外な方向へと話が転がっていく。
が、これ以上は、話せない。


《裏切りと罠》の連続だが、
何故か妙に《人間のぬくもり》みたいなものを感じてしまう。
悪人なのに、憎みきれない人の良さみたいなものが滲み出ている。
《彼ら二人の犯罪の甘さ》が結局、
最後のどんでん返しまで引っ張ってくれることになる。

人間臭い葛藤がちょうどいい。
イギリスらしく
《小粋なセンス》。 


ノーウェアボーイひとりぼっちのあいつ

2020-04-28 | chinema(欧米系映画)

 


★ノーウェアボーイひとりぼっちのあいつ
英題:NOWHERE BOY
監督: サム・テイラー=ウッド
2009/イギリス


ジョンがビートルズになる前の、
「ジョン・レノン物語」。
ちょっと逞しすぎるかなという印象は残るが、
かなりいけてる。
「ビートルズ番外編」としては面白い作品だった。

 

あの伝説の「ジョンとポールの出会い」が瑞々しく描かれ、
あの場面はさすがキューンときてしまった。
映画の中でも、二人の音楽観がさらりと描かれる。

ポールは言う「音楽は音楽だ」
ジョンは言う「俺は詩を書く」

この微妙な距離感が今となってはほんとに切ないね。


星の旅人たち

2020-04-27 | chinema(欧米系映画)

なんのために歩くか


★星の旅人たち
原題:The Way
監督:エミリオ・エステベス
2010/アメリカ=スペイン

原題は《The Way》ですが、
なんとこれに対して邦題が《星の旅人たち》。

世界遺産である《巡礼の道》の紹介映画のようです。

コースは幾つもあるそうで、
わかりやすく言えば、自分の家が出発点。
そこから聖地を目指す。
モデルコースとして800キロを約一ヶ月で踏破するとのことですが、
其の一ヶ月分の持ち物。
僕だったら何を持って行くかなとつい考えこんでしまいました。


とにかく難行をするわけですから、
《理由付け》が絶対必要です。
宗教心があればともかく、
ほとんどなければ、
じゃぁそこまでにして《何故に歩くか》。

 

《旅は道連れ、世は情け》
4人の旅の道連れになったのは、
巡礼途中で命を落とした息子の気持ちを理解しようと
《巡礼の旅》を引き継いだ眼科医のトム
痩せるために《巡礼の旅》することにした
オランダ人のヨスト
《巡礼の旅》が終ったら禁煙することにしている
カナダ人のサラ
スランプ脱却を目指して《巡礼の旅》をする
アイルランド人作家のジャック

一緒に旅することで、
《それぞれの想い》が交差し、
特にかたくなだったトムの中で心境の変化が起きていく。
スペイン北部の牧歌的な田園風景、
サンティアゴの教会の厳かな雰囲気、
最終地ムシーナの海岸の景色など、
美しい映像を観ているうちに、
《4人と一緒に旅》をしている気分に浸る。

 


それにしても800キロは長すぎます。
歩くには、体力、精神力、
そしてやっぱり《なんのために歩くか》
が絶対必要のようです。


決断の3時10分

2020-04-26 | chinema(欧米系映画)

リメイク版の《3時10分、決断のとき》を劇場で観た時、
《西部劇のかっこ良さ》に単純に酔い浸りました。
今回もまた酔い浸りました。

 


★決断の3時10分
原題:3:10 to Yuma
監督:デルマー・デイヴィス
出演:グレン・フォード、ヴァン・ヘフリン、フェリシア・ファー、レオラ・ダナ、他
1957/アメリカ

グレン・フォードの魅力に引きつけられ、最後まで堪能。
悪役が魅力的だと、ほんとに美しい作品に仕上がる。
シンプルなストリーにグイグイ、
モノクロ映像の力強さを感じながら。
ラストでの《車窓の二人》と《汽車を見送る家族》の姿が《名場面》。
機関車の煙が魅力的でした。

 


3時10分、決断のとき

2020-04-25 | chinema(欧米系映画)

 

★3時10分、決断のとき
原題:3:10 to Yuma
監督:ジェームズ・マンゴールド
出演:ラッセル・クロウ、クリスチャン・ベール、ローガン・ラーマン、ベン・フォスター、ピーター・フォンダ、他
2007/アメリカ

この作品は、50年代の「決断の3時10分」のリメイク作品です。
ポスターから西部劇だとわかりましたが、
果たしてどんな物語かわからず、
ましてや誰が出ているのかも。
途中から、この映画は昔観たことあるなと思いましたが、
全く思い出せずでした。
アリゾナの強い陽射しと黒い影が美しいほどに強烈で、
荒野に生きる人間の視線もギラギラ鋭く輝くようで、
しだいに濃密な世界にすっぽり引き込まれました。

 

西部劇の定番シーンは揃っています。
果てしなく続く荒野、
小さな牧場、
土地をめぐる嫌がらせ、
駅馬車を狙う悪党たち、
お尋ね者と賞金稼ぎ、
小さな街の酒場と女、
保安官、凄い早腕拳銃、
そしてライフル、
アパッチ族などなど。
お楽しみ西部劇の全てのパーツが揃えてありますが、
物語はいわゆる勧善懲悪ではありません。


西部劇の出来は、
最後の戦いのシーンとその結末具合、
そしてラスト映像の消え行く印象で決まると思っています。
ボクがみた思い出の西部劇はほぼ間違いなく
この手順を壮絶に劇的にそして感動的に描いています。
この作品も全ての西部劇パーツを完璧と言えるほど
みごとに再生していました。
美しくあり、
懐かしくもあり、
哀しくもありです。

 


映画を観ながら体が震えた体験は久しぶりです。
この作品には、胸の奥から揺さぶるような、
理屈を越えたものが描かれています。
男が香る映画です。

クリスチャン・ベイルとラッセル・クロウの
二人の男の演技にはどこか
「あうん」の呼吸みたいなものを感じさせます。

 


《1日2ドルの稼ぎ 》
一日2ドルの稼ぎを要求。
ついでに息子の分も要求しています。
この映画の時代は南北戦争直後ですから、
2ドルというのはどれだけの貨幣価値があるのでしょうか。

 

極悪犯の護送報償は200ドル。
この額もいかほどのものか、
まったく検討がつきませんが、
家族を守るためにこの200ドルを求めて物語は展開するわけです。

さらにお金では買えないもの、
お金以上のプライスとは何か。
追いつめられてこそラストに決断した男のプレミアムパフォーマンス。
愛おしい物語でした。

 


ANAとOTTO アナとオットー

2020-04-24 | chinema(欧米系映画)

 

★ANAとOTTO アナとオットー
原題:Los Amantes del Círculo Polar
監督:フリオ・メデム
音楽:アルベルト・イグレシアス
キャスト:フェレ・マルティネス、ナイワ・ニムリ 他
1998/スペイン映画

左から読んでも、右から読んでも、ANAとOTTO。
世界は回るよ回るよ《輪廻の世界》。
しかも、この話、
スペイン《ゲルニカ》の空爆飛行士から始まる。


《ゲルニカ》といえば《ピカソ》である。
かれのキュービズム複眼的視点は、
この作品に引き継がれている。
スペインのアーティストの連帯感である。
強くスペインであることを感じさせた。
幾つかの視点を積み重ねることによって、
豊穣な時間と強い運命を生み出す。


《北極圏の恋人たち》美しいラブストーリィ。
白夜の光景が美しい。
この感覚を味わいたく、以前にも見ているが、
今回もラストの顛末はわからなかった。
ANAとOTTOはであえたのか?
彼女の瞳は何を意味してる。


スペインという国は、
時に、
とてつもなく恐ろしくも美しい作品を生み出す国だ。

 


ぼくを探しに

2020-04-20 | chinema(欧米系映画)

 

★ぼくを探しに
監督・脚本・音楽:シルヴァン・ショメ
製作:クローディー・オサール
出演:ギョーム・グイ、アンヌ・ル・ニ、ベルナデッド・ラフォン、エレーヌ・ヴァンサン、他
製作国:フランス(2013)

不思議な世界にあっという間に引き込まれた。
リズムカルな音楽とカラフルな映像世界。

ハーブティとスイーツが記憶の扉を開ける鍵。
ちょっと危ない小道具ではある。
アパルトマンの螺旋階段も過去の記憶に繋がる小道具。
エレバーターがずっと故障中というとんでもない設定。
7階まで上り下り。

幼い時のショッキングな体験が喋ることを拒む。
代わりに二人の伯母さんがよく喋る、動く。
好対象な組み合わせが面白おかしく展開。

とにかく不思議な世界に目が回った。
ラスト、なんとかハッピィで終えたことは拍手もの。


時をかける少女

2020-04-19 | chinema(日本アニメ映画)

「時かけ」はいろんな物語ができる。

 


★時をかける少女
監督:細田 守
キャスト:仲里依紗、石田卓也、板倉光隆、原沙知絵、谷村美月、垣内彩未、関戸優希
2006/日本アニメ


筒井康隆の世界とは違う、
まったく新しい現代の青春物語になっています。
絵がとても美しく、
夏の爽やかな空気が見事に表現されており、
時々流れるピアノの響きがいっそうの透明感を演出していました。
ジブリっぽいところはありますが、
繊細で魅力的なキャラクター表現は
アニメだからこそできる技でしょう。
制作スタッフの意欲の高さを感じさせる作品です。

「時をかける少女」といえば原田知世さんでしたが、
アニメのイメージが重なり、
アヤシイ世界になってしまいそうです。

 


藍色夏恋

2020-04-17 | chinema(アジア系映画)

台湾青春映画

 

 

4月になり新学期。
いつもなら、
高校生たちの自転車で走る姿が眩い季節。


そこでかつて観た映画を思い出し
DVDで観る。

 


グイ・ルンメイさんのデビュー作品。
どこか憂いを感じさせる笑顔。

自転車で駆ける風が気持ちよさそう。
人の表情が素直に描かれ、若者たちが美しい。
台湾の空気が柔らかく、心地よい。
制服が懐かしい。
チャリで通った学校が懐かしい。
高校時代の友達や、女友達が懐かしい。

 

こんな映画をみると、とても安らぐ。
懐かしい気分に浸る。


死神の浮力

2020-04-15 | 

 

★死神の浮力
著者:伊坂幸太郎
出版社:文藝春秋 

もし、自分の大切な家族や人が突然いなくなったら
たとえば、もし我が子が、凶悪な犯罪の犠牲になったら、
と、想像するだけでも耐え難いこと。
もし可能ならば、できるだけの反撃を加えたいと正直に想う。
物語はそんな人間の心情を題材に、ユーモアを交えて、恐怖や不安や希望を描いている。

死神千葉の再登場。
彼の任務は、対象となる人間と7日間行動をともにし、
その人物を死なせてもいいか否かを判断するということ。
前回よりもかなりハードでドライになっていると感じたが、
ハートフルな死神であることことに変わりはない。
前作映画《死神の精度》の金城武さんの姿や台詞回しが頭から離れず。
読書中もちらちら。

面白く読んだが、
ガチで感想をを言うならば、
《もうすこしテンポ良く》を期待したい。
いろいろコネタを挿入して無理矢理引き延ばしているのでは。
でも7日間の猶予があるんでしかたないか。
そこがこの物語のキモでもあるし。
いろいろ伏線を貼付けるのが、
伊坂さんの特徴でもあるし。

 


0011ナポレオン・ソロ2

2020-04-13 | chinema(欧米系映画)

 

 

★0011ナポレオン・ソロ2
原題:The Return of the Man from U.N.C.L.E. (1983)
監督:レイ・オースティン
キャスト:ロバート・ヴォーン、デヴィッド・マッカラム、他
1983/アメリカ

 

テレビ「ナポレオン・ソロ」終了から15年後に制作された、
スペシャルムービー。

 


とにかく懐かしい。
にやにや、ニコニコしながら観たのです。
2代目ボンド俳優ジョージ・レーゼンビー(「女王陛下の007」)も出ています。
《JB》という車ナンバーをつけて。
この漫画っぽいスタイルは笑うより手がありません。
ひょっとしたら、過去に見ているかもしれませんが、、、。


格闘シーンは、スロモーションを見ているかのような気分。
《もう歳で身体が動かない、でも頑張る!》
30年以上も前の作品です。
時代の空気がわかります。

 


コードネーム U.N.C.L.E.

2020-04-12 | chinema(欧米系映画)

軽快な音楽と洒落た会話は健在。

 

★コードネーム U.N.C.L.E.
原題:The Man from U.N.C.L.E.
監督:ガイ・リッチー
キャスト:ヘンリー・カビル、アーミー・ハマー、他
2015/アメリカ

 

帰ってきたナポレオン・ソロ。
ノスタリジーを感じさせます。

ソロとイアンのこの二人、
今回はキャラがかぶり過ぎ。
しかも二人の姿は余りにもよく似ている。
遠目に見れば判別がつきにくい。
と、ちょっと不満もあるが、
それ以外は大満足。


半世紀前のアナログ感を出しつつ
軽快な音楽と洒落た会話は健在。


東西冷戦の時代背景も今となっては懐かしいくらい。
危ないが、わかりやすい時代でもあった。
現在は対立軸がいろいろありすぎて
複雑怪奇である。


バック・トゥ・ザ・フューチャー

2020-04-11 | chinema(欧米系映画)

 

時間を駆け巡るといえば
この一本。
懐かしの一本。
スピルバーグの傑作。

 

★バック・トゥ・ザ・フューチャー
原題:Back to the Future
監督:ロバート・ゼメキス
製作総指揮:スティーヴン・スピルバーグ
音楽:アラン・シルヴェストリ
キャスト:マイケル・J・フォックス、クリストファー・ロイド、他
1985/アメリカ

 


1985年制作ですから、当時のアメリカ社会事情の一端を観ることができます。また映像からは、日本製品のオンパレードが感じ取れます。当時の日本経済は上り一本調子。トヨタの《ハイラックス》《スープラ》《ターセル》、日産《フィアーレディZ》、ホンダ《シビック》。時計のセイコー、シチズン。そしてこの映画の鍵の一つとなるビデオを撮影したのは、日本ビクターのビデオカメラ。日本経済力強しです。

テンポある展開とノリの良いリズム。
観ていて本気で笑ってしまう軽妙さですが、
いかにもSFらしいネタが随所に織り込まれています。

傑作は、ドクが発明した《次元転移装置》、いわゆる《タイムマシン》で、ドグの愛車DMC-12を改造して製作したもの。このタイムマシンを動かすには、意味不明の1.21ジゴワットの電力エネルギーが必要です。フィクションエネルギーですが、一応《ジゴ》を《ギガ》と変換して考えると、1.21ギガワット分は、ほぼ大型原子力発電所一基分となるそうで。ウッフッフッ・・・・凄い。このマシンの燃料はプルトニウム。ドクがプルトニウムを調達するために騙したリビアの過激派に追いかけまくられ、そして挙句には機関銃で撃たれてしまう。しかし過去の情報操作により、死んだはずが、生き延びる・・・・・
これぞSFの醍醐味。
よくわからん醍醐味。


この話、パート2、パート3と続編あり。
どちらも面白い。


レイン・オブ・アサシン

2020-04-09 | chinema(アジア系映画)

 

★レイン・オブ・アサシン
原題:剣雨/Reign of Assassins
監督:スー・シャオピン、ジョン・ウー
キャスト:ミシェル・ヨー、チョン・ウソン、ワン・シュエチー、バービー・スー、他
2010/中国・香港・台湾


ジョン・ウー監督作品。
香港武侠ものは理屈抜きに楽しい。

こういう物語は大好きで、ハラハラドキドキ。
キーワードは、《宦官》と《整形》という奇想天外の筋。
ワイヤーをあまりにも使い過ぎじゃないの?
と突っ込みながらも、美しい剣舞にうっとりでした。
中国のお話は、歴史の積み重ねを感じさせる。
題材は何処にでも転がってる感じで、さすが奥深い。
ラストは、
それでいいんかいと気恥ずかしいくらいに思うハッピーエンドでした。