N の 祝祭日

映画、読書などのメモ

シャネル&ストラヴィンスキー

2017-09-26 | chinema(欧米系映画)

映画を観た。

★シャネル&ストラヴィンスキー
原題:Coco Chanel & Igor Stravinsky
監督:ヤン・クーネン
キャスト:マッツ・ミケルセン、アナ・ムグラリス、エレーナ・モロゾヴァ、他
2009/フランス

シャネルとストラビンスキーはこういう関係だったとは知らなかった。
なかなかの秘話。最後は、アーティストとして互いに刺激しあうということらしい。
落ち着くところではあるが、どうも男のほうが優柔不断なようにも見える。
シャネルも、ストラビンスキーの妻も女性としてシャキッとして見える。

今後は、ストラビンスキーはマッツ・ミケルセンになってしまいそう。
それは困る。
ストラビンスキーの《春の祭典》が好きだった。(今でも)
昔、ブーレーズ指揮クリーブランドのレコードをよく聴いていた。
擦り切れるほどに、飽きるほどに。LP盤が懐かしい。


華麗なるギャツビー

2017-09-26 | chinema(欧米系映画)

映画を観た。

 ★華麗なるギャツビー
原題:The Great Gatsby
監督:バズ・ラーマン
キャスト:レオナルド・ディカプリオ、トビー・マグワイア、キャリー・マリガン、ジョエル・エドガートン、他
2013/アメリカ

ギャツビーの葛藤と希望に迫るレオナルド・ディカプリオの表情が凄まじい。物語の進行役を勤めたトビー・マグワイアの困惑めいた表情がギャツビーと対照的でいい。そして華麗な世界を描くべく衣装などの質感に徹底的に拘った監督バズ・ラーマンの執念も凄まじい。というわけで、稀に見る凄まじい映画です。久しぶりに高ぶる想いでした。


今回、この作品を観るにあたって、
再び原作を読み(村上春樹さんの訳文ですが)
40年前のレッドフォードのギャツビーを観ました。
たっぷり、ゆっくり、《ギャツビーの想い》に浸ったしだい。
したがって、今回のディカプリオ作品を観ながら、
高ぶる想いとは別に、いろいろ思い考えるところも多々あり、
興味深い思いでした。

ギャツビーとは一体何者か?
何故にこうもアメリカにおいて人気者なのか?

小説の世界とはいえ、《ギャツビーはスター》なんですね。
這い上がりで、ちょっと悪徳で、溢れんばかりの金持ちで、
そして、一途に純粋に、過去の思いでの中の女性を追い求める。
はにかみ屋でもあり、自信家でもあり。
成り上がりのスター、ニューヨークのスター。
アメリカらしい。

今回のディカプリオ・ギャツビーには
現在のアメリカが求める力強くて華麗なスター性がある。
ディカプリオは沸き上がる感情を自信たっぷりに、
時に、自分を見失わんばかりに演じている。
デジタル映像、3D化を目指した映像ですので、フィクション性、装飾性の強い映像であり、
その世界に生きるギャツビー達も装飾性、様式化された人物表現になっている。
現代に生きるギャツビーといえばそれまですが。

小説の世界に生きるギャツビーは不安な世界の目映い混沌性が魅力であり、
1974年版のギャツビーは優柔不断の貴公子姿で当時の時代を表現し、
2013年版ギャツビーは3D世界に生きるエンタテイナーである。

シンボリックな眼科医の看板広告は《顔見せ》程度。
世界観がギューと狭まり、深淵さが感じられなかったところが惜しい。
ギャツビーは時代とともに生きる。
そんな思いを強くしました。


17歳の肖像

2017-09-25 | chinema(欧米系映画)

映画を観た。

★17歳の肖像
原題:An Education
監督:ロネ・シェルフィグ
キャスト:キャリー・マリガン、ピーター・サースガード、他
2009/イギリス

原題は『An Education』、教育とういうことで、誰でもが何時かは通る道というように解釈していいのでしょうか。邦題「17歳の肖像」というには、ちょっとシリアス展開であり、後味もなかなかビターな味わいです。イギリスらしく階層性の厳しい社会事情も垣間見えました。ところどころにその階層社会の違い、優越感、劣等感などが皮肉っぽく描かれています。1960年代の物語ですから、現在から比較すれば相当に女性の社会進出が遅れている時代の話です。「ケンブリッジを出て、夢は教師あるいは公務員?」という学校の先生の話に微妙な違和感さえ感じる時代物です。

大学合格通知は手紙なんですね。ボクもそうでしたが、今はネット情報で瞬時にわかりますが、はらはらドキドキすることには今も昔も変わりはありません。やり直せるなら、もう一度大学で、質素に素朴に勉強したいなと単純に思いました。

物語は1961年ですから、今から思えばずいぶんと昔のお話ですが、映画を見ている限り、そんな時代性はそれほど感じないのが不思議です。ジェニーは、ロンドン郊外に住む、優秀な成績の16歳。オックスフォード英文科を目指すがラテン語に悪戦苦闘。勉強の合間に聞くのはジュリエット・グレコのシャンソン。あの懐かしい「パリの空の下」がLPレコードから聞こえてくると、さすがほろりとくるものがあります。ボクも同様にあんな感じで聞いていましたから。シャンソンには夢がありましたよ。

ジェニーは当時の女子高校生にしては相当に飛んでる子です。煙草は吸うは、男とやるは、賭け事はやるは、親を騙すは。よく考えると最高のあばずれなんでしょうが、でも彼女は気品ある可愛い女の子として描かれています。

24歳のキャリー・マリガンが16,17歳の高校生を演じるには少し無理はあるんですが、大人びた女の子とということで納得して見ていると、びっくりするくらいの華やかな表情を見せてくれました。ヘップバーンの再来とも言われる艶やかさです。ジェニーは願い叶って、パリへ。バージン捧げて、有頂天なんです。ほんとに不動産屋の男は凄いですね。




華麗なるギャツビー(1974)

2017-09-24 | chinema(欧米系映画)

映画を観た。

★華麗なるギャツビー(1974)
原題:The Great Gatsby
監督:ジャック・クレイトン
キャスト:ロバート・レッドフォード、ミア・ファロー、サム・ウォーターストン、ブルース・ダーン、他
1974/アメリカ

PS3にDVDをいれて、パナのビエラで。

何回か観ているが、やっぱりいろんなところを忘れている。
《メガネの看板》が効いてるなと改めて感心。
ラストのシーンはあれでよかったのか?
軽薄で多少幻滅感漂う。

姓は《ギャッツビー》
葬儀の後の車の中で、父親の言葉が沁みます。


夜更かし羊が寝る前に 〜君を捜しに行くまでの物語〜

2017-09-23 | chinema(欧米系映画)

映画を観た。

★夜更かし羊が寝る前に 〜君を捜しに行くまでの物語〜
原題:Satellites & Meteorites
2008/アイルランド

アイルランドからやってきた、可愛くも切ないファンタジー映画ですが、劇場未公開です。

こういう映画こそ劇場に配給してほしいですね。ぜひ。

「once ダブリンの街角で」のスタッフが送る、、、、、のコピーが目にとまり、

思わず手にしたDVDです。

これは良かったです!




マネーボール

2017-09-18 | chinema(欧米系映画)

映画を観た。

★マネーボール
原題:Moneyball
2011/アメリカ
監督:ベネット・ミラー
撮影:ウォーリー・フィスター
音楽:マイケル・ダナ
キャスト:ブラッド・ピット、ジョナ・ヒル、ロビン・ライト、フィリップ・シーモア・ホフマン、他

ビリー・ビーンの野球理論は、MLBの中継時、時々、紹介されてるので、よく知っている。
有名なスターの名前がゴロゴロ、イチローの写真もチラリ。
これはMLBファンにはたまらないお話である。
野球チームのGMというのはなかなか大変なようだ。

今年もレギュラーシーズンは終わりに近づいた。
ドジャースにダルとマエケン。
愉しみが続くのが嬉しい。




ミレニアム・マンボ

2017-09-14 | chinema(アジア系映画)

 

 

台湾映画。

未完成作品?でしょうか。

ちょっと謎が多い。

 

 

★ミレニアム・マンボ
原題:千禧曼波、英題:Millennium Mambo
監督:侯孝賢(ホウ・シャオシェン)
撮影:李屏賓(リー・ピンビン)
音楽:林強(リン・チャン)、他
キャスト:舒淇(スー・チー)、他
2001/台湾=フランス映画

自分のことを《彼女》と三人称で語る女の、現在と過去と想像と希望の話である。
なんだかよくわからない作品で、ずっと混乱の連続だった。
たぶん、たぶんだが、監督自身も充分なモノとは思っていないだろう。
つまり、《未完成作品》であること。
リアリズムに徹した詳細な説明はいらないが、
物語の筋がこのままでは、読みにくく、謎が多すぎる。

また、たぶんだが、撮影の時間が足りなかった、それだけのような気もする。
その不足分を、監督自身の最高の編集才能で、
なんとか《完璧な予告作品》に仕上げたといってもいいかも。
そう想うと、《物語の奥の深さ》が垣間見えてくる。
と言えば、ちょっとご贔屓し過ぎかな?  
監督は侯孝賢(ホウ・シャオシェン)、撮影は李屏賓(リー・ピンビン)、
そして音楽 は林強(リン・チャン)。
それだけで、ご贔屓。

 

台北のネオンの光に揺れる人影、若者たちの群像、
そして、ビッキーとハオのアパート暮らしは、集中した緊張ある空間。
窓から差し込む光、透明感があり美しい。
一方、ビッキーが再生を試みる北海道、東京での空間が甘すぎる。
時間がなかったのか、監督にイメージが湧かなかったのか。
海外ロケの難しさ。

夕張映画祭の風景は、侯孝賢監督の日本映画に対する真摯な思いが伝わる。
李屏賓(リー・ピンビン)によって高倉健や渥美清など往年のスターが蘇る。
あの時のカメラはリー・ピンビンかどうかはわからないが、やっぱりあの絵はいいよなぁ。
ラストのカラス、あの場面によくきてくれたよなと感謝した。

 


遠い道のり

2017-09-12 | chinema(アジア系映画)

映画を観た。

★遠い道のり
原題:最遥遠的距離
英題:Most Distant Course
監督:リン・チンチェ
キャスト:グイ・ルンメイ、モー・ズーイー、ジア・シャオグオ
2007/台湾映画

2007年ベネチア国際映画祭批評家週間最優秀作品賞 受賞。
台湾シネマ・コレクション2008上映作品。
「言えない秘密」のグイ・ルンメイが主演する切ないロードムービー。

先の見えない不倫の恋愛に悩むシャオユンは、毎日のように以前の住人宛に送られてくる手紙とメッセージが録音されたテープの音源を探す旅に出る。去った恋人にテープを送り続けるシャオタン、心を病む精神科医のツァイ、それぞれが再生を求めて旅に出る。

《フォルモサの音》とは?
台湾Wikiによると
台湾島には、フォルモサ (Formosa) という別称が存在し、欧米諸国を中心に今日も使用される場合がある。これは、「美しい」という意味のポルトガル語が原義であり、16世紀半ばに初めて台湾沖を通航したポルトガル船のオランダ人航海士が、その美しさに感動して「Ilha Formosa(美しい島)」と呼んだことに由来するといわれている。なお、フォルモサの中国語意訳である美麗(之)島や音訳である福爾摩沙を台湾の別称として用いることもある。

台北へ行ったとき、フォルモサリージェントを利用したが、その時の心地良い感覚が未だ忘れられず、時々《フォルモサ》、《フォルモサ》と呟いているが、意味を知ってまた行きたくなった。

シャオユン(グイ・ルンメイ)が街の小さな電気屋で買ったのが、
SONYのカセットウオークマン。
今時もこれ売ってるんかな?

彼女の出ていたソニーのCM良かったなぁ〜〜〜。


海角七号 君想う、国境の南

2017-09-11 | chinema(アジア系映画)

映画を観た。

★海角七号 君想う、国境の南
原題:海角七號
監督:ウェイ・ダーション
キャスト:ファン・イーチェン、田中千絵
2008/台湾

この映画見て思ったことです。
少しずつですが、僕らが生きているこの東アジアのボーダレス化が進んでるなぁと。政治権力の枠(ボーダー)はまだまだ厳しいくらいですが、人の繋がりは明らかに広がってるいます。未来に希望が持てる映画でした。そう想うことに決めた作品です。

「・・・あなたを棄てたのではない。泣く泣く手放したのだ」
この言葉にはっとさせられました。日本と台湾の当時の関係(もちろんあるひとつの感情ですが)をそのままラブストーリーに展開しているように感じたからです。あまりにもその感情が読み取れる言葉のように感じてしまったのです。そしてこの作品が、台湾で作られたというところに驚きさえ感じます。映画の質でなく内容について。

台湾へ行くと、親日的な感情がたくさん残っていることに気づきます。日本文化をそのまま受け入れるフレンドリーな雰囲気を感じます。以前観た台湾人生では、日本統治時代の郷愁がテーマでした。そして今回、この意味深な言葉です。グサリきました。強烈なメッセージのように感じるのです。そのように読み取れるのです。

主演、ファン・イーチンは原住民阿美族の血を引いている。彼が主演であることの意味も興味深い。この映画は若者ばかりかあまり映画を観なかった中高年の人たちにも受け入れられたとか。「ハイジャオチーハオ(海角七号)を観たか?」と社会現象化したくらいに支持されたらしい。日本ではどのように受け止められるのでしょう。中国本土では、内容が内容だけに、上映禁止騒動が起きたと言われます。

ラストシーンで歌われた『野ばら』は、月琴弾きの茂おじさんのお気に入りの曲です。この歌は日本統治時代、台湾の学校でも唱歌として歌われていたそうです。ここらあたりにも、この映画の戦略ラインが見え隠れします。政治的プロパガンダというより、いかに多くの観客を動員するかを狙った商業的戦略です。結果、世代を超えより多くの台湾人の心に響く作品作りに成功したということでしょう。



 


クロニクル

2017-09-07 | chinema(欧米系映画)

映画を観た。

★クロニクル
原題:Chronicle
監督:ジョシュ・トランク
出演:デイン・デハーン、アレックス・ラッセル、マイケル・B・ジョーダン、マイケル・ケリー、他
2012/アメリカ

クロニクル=記録映像ということらしい。
特殊能力を手にした高校生の《クロニクル》

新しい才能の出現である。
映画の全てにおいて《どこか危うい》
物語、登場人物の若者たち、映像、そして結末。
しかし、監督のジョシュ・トランクは、作品の中で言い訳をしない。
説明はしない。
暗示をしない。
これは凄いこと。

観ている僕の感覚も崩れそうになるが、微妙なバランスでもちこたえる。
たぶん、年くったぶん、鈍くなっているのかもしれない。
自己嫌悪さへ感じるほど
嫉妬心さへ感じるほどに、
ちょっと目眩がするほどに
《感覚の新鮮さ》を感じた。
空中でのフットボールシーンに唖然とする。

結末は突然やってきたが、
舞台が《天に最も近いチベット》というのは、
この映画は友情物語だったということでしょうか?
その後のマット青年は超能力者としてどのように生きたのだろうか?

ぐさりと記憶される作品である。




百万円と苦虫女

2017-09-06 | chinema(日本映画)

映画を観た。

★百万円と苦虫女
監督:タナダユキ
出演:蒼井優、森山未來、ピエール瀧。佐々木すみ江、齋藤隆成、他

この映画は、蒼井優一人のために、蒼井優ファンだけのために創られた映画のようだ。映画では彼女の存在感はとびっきり大きい。いろんな映画に顔を出していたが、なかなか表情まで読みとりにくかった。今回初めて、蒼井優の粘り越し、図太さ、芯の強さを発見し、アイドルだけではないなと期待感をいだかせるような映画に仕上がっている。

不器用な生き方、困った表情ばかりの生き方で、苦虫女。自分探しというより、見知らぬ人ばかりの世界でひっそり生きたいと願う後ろ向き考え。若い時は誰でもそんな思いに陥る時はあると思う。世の中ヒーローばかりじゃないからね。

映画の終わり方をいつも気にしながら観ている。ラストシーンに俳優さんの全ての魅力が表現される。ラストシーンに、監督やスタッフの考え方や力量の全てが表れると思っているから。

この映画の終わり方は断然良い!
蒼井優の表情は苦虫女ではなく、前向きに歩もうとニコッと笑った。脚本、監督のタナダユキはこの表情を引き出した瞬間、カメラを止めた。これで終わり。この選択はいい。

 


俺たちに明日はないッス

2017-09-05 | chinema(日本映画)

映画を観た。

★俺たちに明日はないッス
監督:タナダユキ
出演:柄本時生、遠藤雄弥、草野イニ、安藤サクラ、他
2008/日本

映画館には、おっちゃんも若い兄ちゃんもお姉ちゃんもそして、じいちゃんもいた。へぇ、と正直思った。監督タナダユキさん。監督ファンがいっぱいかな?ボクは、「百万円と苦虫女」で、完全にタナダユキちゃんのファンになってしまった。ググってみると、何とあの「タカダワタル的」も撮っているではないかい。あの酔っぱらいの吟遊詩人を追いかけるとは、これってただ者ではない。

HPより、タナダユキさんの言葉を拾った。
やるせなくて、行き場の無いモヤモヤを、へらへらと笑いながらやり過ごすしかなかった17才という時間。痛い目ばっか見て、明日なんかちっとも見えない苛立ちを、小さな心にいっぱい抱えて思い切り持て余して。楽しいことなんかひとつもなかったはずなのに、けれどやっぱりあれはかけがえのない時間だったと、そう思えるような、そんな時間を切り取った原作に心奪われました。(タナダユキ監督)

この感覚は彼女のものかなと思う。たぶん自分自身を語っているのでしょう。

主題歌がいい。ボクらには、ほんとに懐かしい「17才」。この映画のやさぐれかたにはピッタリの「17才」だった。またHPより、彼女の言葉を拾う。

銀杏BOYZ以外、考えられませんでした。初めて聴いた時、主人公の比留間の感情のうねりがあまりに胸に迫り来て、感激のあまり言葉を失い、その日は食事も取れなくなりました(笑)。歴史に残る名曲が生まれた瞬間に立ち会ったような感覚で、「大変なものを聴いてしまった!」と怖くなるほどでした。鳥肌が立ちました。(タナダユキ監督)

南沙織の爽やかさと対極にあるような鬱屈した「17才」
これもいいねぇ。

この映画の見所はやはり、わざわざ海辺に出かけて「やろう」というシーン。バスに乗ってでかけるところからが別世界になる。三島由紀夫の「潮騒」を思い出したくらいである。この海辺のシーンがなかったら、ただの性春物語で終わってた。タナダユキの乙女の美意識が撮らせた美しいシーンだったと記憶しておきたい。

やっぱり最後まで、主人公の男の子を見捨てられなかった。
卒業式を終えて、やっと
「明日の事を考えよう」か

でもちょっと注文。
すぱすぱ煙草すわせんなよ。
教師をぽかぽかなぐんなよ
PG−15に過剰表現するより、PG−12ぐらいにしておけば、
もう少しリアル性を追求できたのに。


フィッシュストーリー

2017-09-04 | chinema(日本映画)

映画を観た。

★フィッシュストーリー
監督:中村義洋
出演:伊藤淳史、高良健吾、多部未華子、濱田岳、森山未來 、他
2009/日本

伊坂幸太郎さんの「行ったり来たりの時空間」ワールドを、
中村義洋監督がどう自分の世界に取り込むか。
これが一番の興味だった。
「フィッシュストーリー」、原作は読むどころか、存在さえ知らなかった物語だが、伊坂さんお得意の「一つのキーワード」を繋げていくホラ話だろうということは想像できた。問題は中村監督がどこでマジで、どこでゆるいのかという一点である。

という具合にちょっと斜めに構えて、ゆったり気分で観ていると、所々でガツン、ガツンとやられた。繋がりがギクシャクしながらも結構それがマジだなと感じたのである。それぞれの時代シーンで出てくる俳優さんがそれぞれ個性的でガツンである。 2012年のオープニング、中古レコードショップ店。「世界の終わり」とか「彗星の衝突まであと5時間」とか、ほぼSFの世界。1982年の気の弱い大学生の自分探しの世界だけど、ちょっとホラーっぽく、なかなかハラハラ。99年の世界の終わりの予言。ノストラダムスを思い出させる。ほとんど漫画世界で嫌悪感さえ感じた。 さらに75年に解散したパンクバンド逆鱗(ゲキリンと読む所がミソ)の話。
これがバツグンに良かった。といってもここがこの物語の始まりだから。

〈逆鱗〉が最後にレコーデイングした「FISH STORY」の思いが、時代を繋ぐキーワードであることを知る。そして、09年のシージャックへと展開。可愛いー感と爽快感を感じた。
キーワードが繋がっているので、結末は想像できる。 再び2012年、正義の味方の活躍で人類は救われる。

5つの時代のエピソードが交錯し、時系列が自由に飛びまわるが、〈逆鱗〉の演奏する思いが、時空を越え伝わる。斉藤和義さんの音楽がジーンと沁みた。

感情があちこち飛び回り、ちょっと疲れたが、
それなりに楽しんだ。




死神の精度

2017-09-04 | chinema(日本映画)

映画を観た。

★死神の精度
監督:筧昌也
キャスト:金城武、小西真奈美、富司純子、光石研、石田卓也、他
2008/日本

人気作家の作品の映画化にあたり、製作チームは、イメージをどの方向に広げ、原作にない、あるいは足りない何を加えようとしたのか。

原作「死神の精度」は六話の短編で構成されているが、実質的にはそれぞれが繋がった連続性のある物語といっていい。伊坂さんのミステリーの魅力は、フャンタジーなイメージの連続性、コミックな会話、何気なく張られた伏線が最後になって見事に読者を欺くところ。非日常的な視点から人間社会を見ることによって、人間の生の面白さを見つけ、新しい物語を描こうとする意欲が感じられる。この手法自体は特に新しい試みではないが、見慣れた日常を再構築するうえで効果的やり方である。

読んでいると、この表現は新鮮だよねと思わせるフレーズがあちこち出てくる。時々思わせぶり表現だなと感じないわけでもないが、明らかに著作権は彼にあるなと感心する。「村上チルドレン」とよばれることもあるようだが、これも現代人気作家稼業の証である。

さて映画の話。「アヒルと鴨のコインロッカー」はかなりミステリアスでポップな物語展開に釘付けされ、最後のオチにストーンと解放された。今回はどちらかといえばいまいち陳腐な物語展開で、登場人物もどこか堅物で一昔前の人物像だった。昭和演歌の世界かと懐かしく感じたほど。しかし、じっくりと物語テーマを追いかけ、生きることの意味を問いかけることに一歩近づいている。原作では、不器用にうそぶく死神に焦点を合わせ、人物の細やかな表情や感性を描くには不十分だった。映画では死神に取り憑かれた?3人の人物にうまく焦点が合い、役者さんの演技力で真剣に生きようとする姿が描き出されていた。でも、ちょっと現実感が乏しい。

死は誰にでもやってくるので特別なことではないけれど、ひとり一人にとってはとても大切な事。生きる時間のリアリティを醸し出し、「生きる精度」もしくは「生きる純度」を描きたかったんだろうと思う。原作に不足な分、映画ではその方向で役者さんはがんばっていた。

死神は言う。「人が生きているうちの大半は、人生じゃなくて、ただの時間、だ。」人間が哲学するようになってから、いまだに人を引き付けてやまない魅力的な言葉である。

死神役の金城さん、主役なんだけど、物語の進行係みたいでした。
ワンちゃんは大当たり。