微睡みの祝祭

夢か現か、微睡みの中を彷徨う。
観たもの、想ったことをただただ漠然と書きとめています。

ももへの手紙

2018-02-28 | chinema(日本アニメ映画)

映画を観た。

★ももへの手紙
監督:沖浦啓之
声の出演:美山加恋、優香、西田敏行、山寺宏一、チョー、他
2012/日本アニメ

監督は『人狼 JIN-ROH』の沖浦啓之。
監督のルーツは交通の要所として栄えた広島の鞆の浦だそうです。
自分に繋がる地域の瀬戸内を舞台に物語を作りたかったようです。

「気がつけば、私、ひとりじゃなかった。」そんなかなりハートフルなファンタジーでしたが、アニメだからこその味わいがあり、十分楽しみました。あの辺りには何度も出かけていますので、雰囲気はよく解ります。穏やかな瀬戸内の風景、漁村の風景、街並が見事に描写され、いつもながら、アニメ絵画にはウットリさせられます。今回は妖怪たちも活躍しますので彼らの表情が生き生き。

物語は《日本的親子の情感たっぷり》で、アニメならの面白さも味わえるのですが、背景となる絵と動く絵との間に、ぎこちない違和感と平板さをも感じさせたのは、惜しい!アニメづくりは徹底的に細分化作業されてるんですね。もっともこれだけの作品を一つのスタジオだけで作り上げるのは、無理なんでしょうが、、、、。

舞台となった《汐島》は架空の島ですが、モデルとなったのは、広島県呉市の大崎下島(大長・御手洗)と言われています。御手洗地区は「重要伝統的建造物群保存地区」だそうです。物語では、建設途中となっている橋は尾道・今治を結ぶ本四架橋別名《しまなみ海道》でしょう。ということは、時代としては90年代後半の夏の物語。どこかのんびり感を感じさせてくれるはずです。《映画を見た後に実際に訪れたくなるような場所》として、沖浦監督が選んだそうですが、なるほど、《訪ねたく思いました》。いわゆる《聖地巡礼》というやつでしょうが、スケッチの旅にちょうど良さそうです。

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三銃士 王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船(3D)

2018-02-25 | chinema(欧米系映画)

映画を観た。

★三銃士 王妃の首飾りとダ・ヴィンチの飛行船(3D)
原題:The Three Musketeers
2011/フランス・アメリカ・イギリス・ドイツ
原作:アレクサンドル・デュマ
監督:ポール・W・S・アンダーソン
撮影:グレン・マクファーソン
音楽:ポール・ハスリンジャー
キャスト:ローガン・ラーマン、ミラ・ジョボビッチ、マシュー・マクファディン、レイ・スティーブンソン、ルーク・エバンス、他

三銃士物語は、鮮烈なSD映像で《超スペクタル物語》として蘇った。
《ダ・ヴィンチの飛行船》には、さすが唖然とし、壮大なロマンも感じるが、どこかの映画の海賊船みたいで、時代感覚が狂ってしまう可笑しさ。もうどうでもいいやと思いながら開き直ってみているうちに、《何でもあり》のノリにいつのまにか乗せられてしまった。

三銃士とダルタニアンの主役がかっこいいのは当然だが、
この物語は、悪役がそれ以上に存在感あり、とにかく格好良い。
お上品に作ってあるので、
もう少しネチネチ悪役ぶりだったら言うことなしだけど。

ドラマ性が少し弱く、ハラハラドキドキ、ドッキリ感が少ない。
多少低年齢層をも意識した映画作りではないかとも思えた。
人間の描き方が子供向きである。
さらに次回作に向けてのプロローグ版みたいな作りになっている

ダルタニアン役のローガン・ラーマン君。
この顔どっかでみたよ思っていたら
『3時10分、決断のとき』(あの作品は僕の中ではかなり評価がいい)の子役だった。
かなりの童顔だったあの子は、すっかりたくましくなった。
小柄の分だけ身のこなしもよさそうなアクション向け。
続編、是非、期待したいなぁ、見たいなぁ。

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はじまりは 伊藤若冲

2018-02-22 | art

伊藤若冲の絵を観てきました。

★はじまりは 伊藤若冲
細見美術館
2018年1月3日〜2月25日

伊藤若冲といえば、あの《動植綵絵》を思い浮かべます。
僕は数年前に 相国寺承天閣美術館で対面しましたが、
凄まじい画家の執念と鮮やかな色彩に圧倒されました。
ただいま人気急上昇の江戸時代の京都絵師ですが、
実は、僕は、彩色画よりも、彼の水墨画が好きなんです。
非常に現代的なスタイルです。
若冲の物の見方、
若冲の絵の描き方、
水墨画からは絵師としての彼の基本的な考え方が読み取れます。

★雪中雄鶏図
京の絵師だなぁと思わせる美意識。
宗達や光琳に繋がる琳派ではありませんか?

★「鶏図押絵帖屏風」
墨だけで描きながらも、色彩豊か。
絵の具を完全に意識しながら描いていませんか?

 


ゴッホ展を観た後に、若冲を観ましたので、
ゴッホの目指したものが、
江戸の浮世絵よりも、若冲の彩色画、水墨画に近いのではないか
と想ったしだいです。
ゴッホに見せてやりたかったなぁ、と。

若冲の書も面白いです。
けっして上手くはありませんが、
水墨画の線とそっくりなところに興味が注がれます。
まさか同じ筆で描いているのでないでしょうね?

 

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舟を編む

2018-02-17 | book

本を読んだ。

★舟を編む
著者:三浦しおん
出版社:光文社

先日、行きつけの本屋さんでたまたまこの本が眼に留まり、
《辞書作りの話が、何で舟を編む?》と頭の中に?マーク。
というわけで、単行本ですが、軽そうでしたので、購入。

三浦しおんさんの本を読むのは初めてでした。
そもそもがただいま人気絶頂の女性作家であることさえも知らなかったのですから。
《まほろ駅前多田便利軒》で第135回直木賞受賞(2006年上半期)。
自分の視界はこんなにも狭いのか。

女性らしい細やかな描写での辞書作りの物語は
《なるほど、なるほど》と興味深いことばかり。
紙質にまで拘るウンチク話はとても新鮮でした。

《西行》についての項目は、痺れました。
《なるほど、なるほど》

DVDをレンタルしてきましょう。

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ミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士

2018-02-14 | chinema(欧米系映画)

映画を観た。

★ミレニアム3 眠れる女と狂卓の騎士
英題: Millenium 3: The Girl Who Kicked the Hornet's Nest
原作:スティーグ・ラーソン
監督:ダニエル・アルフレッドソン
脚本: ヨナス・フリュクベリ
音楽: ヤコブ・グロート
キャスト:ミカエル・ニクヴィスト、ノオミ・ラパス、レナ・エンドレ、アニカ・ハリン
2009/スウェーデン

リスベットの復讐は完全に遂行され、
彼女の人権は回復されたが、
心の傷は癒されない。
リスベットはやはりこのパンク姿がいい。

《ミレニアム3》について
監督が変わって、さてどのように決着をつけてくれるかとても気になった《最終章》だが、よくぞやってくれたと拍手喝采である。大きなテーマのひとつである「リスベットの権利の回復と復讐」は、娯楽映画として充分に面白く展開されていた。寸分の無駄がないスピードとスリルとサスペンスで溢れていた。闇社会の組織が明らかになるにつれ、息苦しさを感じさせる緊張の連続ではあるが「リスベットの復讐執念の正義」には最後までピタッと焦点が合っており、内容にブレはなかった。《ミレニアム2》では、少し散漫な展開のように感じたが、《最終章》に向けての準備段階と思えば納得が行く。

この物語は、ミステリーといっても始めから《悪人》は分かっている。
リスベットとミカエルの立ち向かう敵の組織の大きさが明らかになるにつれ、個人の力ではどうすることも出来ない、あるいは自らの命そのものが危なくなる危機となっても、彼ら二人は、それぞれに対抗する特別な力を持っている。リスベットには《天才ハッカー》という武器、ミカエルには《ミレニアムという雑誌》である。ハッカーという個人の能力で情報を獲得し、雑誌というマスコミを使って情報公開戦略する。そして法定の場で正義を問う。今回、大きな役割を演じる二人が新たに登場する。大怪我のリスベットを手術した医師と裁判でリスベットの弁護士を務めるミカエルの妹。正義と悪の図式がはっきりした時点での登場だが、ブレない仕事ぶりが頼もしい。


映画はかなり娯楽に徹した部分があるので、原作のテーマをどこまで表現しているのかよくわからない。急死したと言われる原作者スティーグ・ラーソンの追いかけたものをかなりとらえているのではないか。

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ミレニアム2火と戯れる女

2018-02-13 | chinema(欧米系映画)

映画を観た。

★ミレニアム2火と戯れる女
英題:THE GIRL WHO PLAYED WITH FIRE
原作:スティーグ・ラーソン
監督:ダニエル・アルフレッドソン
キャスト:ノオミ・ラパス、ミカエル・ニクヴィスト、レナ・エンドレ
音楽:ヤコブ・グロート
2009/スウェーデン

世界中でベストセラーとなったスウェーデンの小説「ミレニアム」3部作を映画化したシリーズ第2弾。
前作の事件から1年後を舞台に、少女売春組織の調査をきっかけとして巨大な陰謀に巻き込まれてしまうヒロインの苦闘と、彼女の支援に奔走するジャーナリストの姿を描く。リスベットとミカエルのコンビには、前作に続きノオミ・ラパスとミカエル・ニクヴィストが続投。事件の全ぼうが明らかになるにつれ、リスベットの衝撃の過去が浮かび上がってくるスリリングな展開に引きこまれる。(簡潔明朗な説明文なのでシネマトゥデイより拝借)

物語のスケールと迫力が格段にアップ。
事件の全容がしだいに明らかになってくる。

《ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女》での最大の魅力は、
天才的ハッカー、リスベットの予想もつかない、
神出鬼没ともいった行動と、怨念ともといえる彼女の異様な表情だった。
視覚的に訴える激しさを持っていた。
ポスターを観ただけで「えっ?」と思わせる衝撃度である。
彼女のキャラクターの異様さが、彼女の生い立ち、追いかける少女失踪事件の裏に潜む真実の忌まわしさを象徴する。
そのリスベットは前作以上の激しい憎しみをもった復讐鬼となって、男たちを追い詰める。
そして、自分に繋がる過去を追いかけ、そして思いがけない真実に辿りつく。
話の途中で、だいたい筋は読めてくるんだけど、
物語に巻き込めれて見ているから、スリリングな展開にハラハラドキドキしっぱなし。
心拍数もかなり上がったが、冷静にあちこち眺めてみると、ちょっと技とい作りモノも気になってくる。
復讐するに、このお化粧は無用なのでは。
サービス過剰でフィクション性が出てきて、そしてエンタメ映画に早変わり。

やはり以前のように鼻にリンクのパンク姿が一番リアルである。
最後までこれでやってくれないと、この作品は生きないぞ。

フランケンシュタインのようなモンスターお兄さんが出てきて、作品の持つ性格がすこしづつづれてくる。
しかしそれはそれで面白い。

リスベットを信じるミカエル。「ミレミアム」の記者である。彼はプリウスに乗っている。映画作品は全体的にドロドロしているが、この映像の中で見るプリウスのデザインムーブメントは、スマートであり、希望や未来を感じさせる。旧型のプリウスはやはり先進的デザインだったんだなと妙に感心した。また、リスベットが追撃に使ったVWゴルフは小粒ながら力強いデザインであることにも、妙に感心する。特に丸いリアランプの存在感にはっとさせられる。物語とは関係の無いアイテムに興味がいってしまった。スバルもボルボもいたぞ。わざわざロゴマークを大きく見せるんだから、スポンサーの思惑に引っかかったのかもしれない。情報過多でエンタメ性が多くなった分、作品が持つべき本来のテーマ性が薄くなったような気がする。リスベットが命を賭けて告発する、そして復讐するものは何か。

いろいろ書きながら、はっと気づいたこと。
監督が変わってるんだ。脚本も。
これは、前作とは、別もんである。
リスベットの荒んだ狂気が画かれていなかった。

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ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女

2018-02-12 | chinema(欧米系映画)

映画を観た。

★ミレニアム ドラゴン・タトゥーの女
原題…THE GIRL WITH THE DRAGON TATTOO
監督…ニールス・アルデン・オプレヴ
原作…スティーグ・ラーソン
音楽…ヤコブ・グロート
キャスト:ミカエル・ブルムクヴィスト、リスベット・サランデル、ヘンリック・ヴァンゲル、エリカ・ベルジェ、他
ハンス=エリック・ヴェンネルストレムス…テファン・サウク
2009/スウェーデン=デンマーク=ドイツ

原作が凄い!
出てくる人物は皆、強烈に濃い。
物語の展開力にぐんぐん引き込まされた。


ノオミ・ラパスのパンクっぽいスタイルと表情が、この作品の魅力の一つ。
背中にはドラゴンのタトゥー。
何故にこのような女になったのかとても興味深い謎。
過去に癒しがたい傷を持つことは、映画の中の回顧シーンでわかったが。

素顔のノオミ・ラパスは爽やかな表情をしている。
体格の大きい北欧社会で、
150センチちょっとの身長は珍しいと思うけど、
体当たり演技は迫力たっぷり。
やられたらやり返す。

ハードな精神力を持ちながら、
コンピューターを駆使する天才ハッカー。

 

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ナイトミュージアム2

2018-02-11 | chinema(欧米系映画)

映画を観た。

★ナイトミュージアム2
監督:ショーン・レヴィ
キャスト:ベン・スティラー、ロビン・ウィリアムズ、エイミー・アダムス、オーウェン・ウィルソン、他
2009・アメリカ

ちょっと子ども騙しみたいな映画だなとは思っていたんですが、
かっては子どもだった訳で、
幼少の頃に戻った気分でみれば、
結構ワクワクどきどき気分。
博物館の夜、展示物が動き出すという発想そのものは古めかしいけど、
これだけ人物がそろうと結構ドタバタ劇ができるものです。
初めて知った事。
ここにもロダンの「考える人」がいるということでした。

彼はいったい何を考えているのでしょうか。
「考えているポーズ」というイメージを刷り込まれていますが、実際はどうなんでしょうか。
実は「何も考えていない」のではないかということです。
一応、地獄の番人ということですので、「覗き込んでいるポーズ」でしょう。
何もこんな不自然な姿で覗き込まなくてもいいのにと思います。
でもそこがロダンのロダンたるところで、彼は体を極端にひねるポーズが好きなんですね。
これぞバロックです。

ちなみに「考える人」は日本の京都、東京、静岡にもいます。
世界にはどれだけいるのでしょうか。

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凡人として生きるということ

2018-02-10 | book

本を読んだ

★凡人として生きるということ
著者: 押井 守
出版社: 幻冬舎

「凡人として生きるということ」ー押井 守さんー幻冬社新書

押井さんという人は「とてもナイーブ」というイメージを持っていた。インタビューなどのメッセージを読んでいてもそんな印象を与えてくれる。ところが、この本を読むと、「なんだぁ、なかなか大変な老獪オジンだぁ」とイメージ変化が起きてしまった。嘘でもいいからもう少し繊細でくすぐるような内容の文章を期待していたのに。

「自由自在なオヤジたちの生き方」の文章の中で、宮崎駿さんとの違いについて面白いことを述べている。

オヤジは大人なので、本音と建前に準じて生きていこうとする人もいる。それはそれで本人の自由である。問題は、建前に準じた生き方をしていたとしても、自分のやっていることの正体がわかっているか、ということだ。 、、、、、。

これは映画製作者としての、宮崎駿監督と僕の違いでもある。宮さんは青春を賛歌する作品を作り、僕は青春の苦味を描こうとしている.宮さんの映画に出てくる少年少女はどれも健全で、まっすぐで、若者にこうあってほしいという彼の思想があらわれている。僕の映画には、彼の作品に出てくるような若者は登場しない。
 宮さんと僕の間に違いがあるとすれば、若者の姿に限って言えば、宮さんは建前に準じた映画を作り、僕は本質に準じて映画を作ろうとしているという、映画監督の姿勢の差異だけだ。宮さんだって、事の本質はみえているはずで、あえて本質を語っていないだけだ。オヤジというものはそういう生き方もできるのである。

「これって、やっぱり老獪オジンの論法だな」
どちらもオヤジだろう?
この本には映画の話はよく出てくる。
いろんなことが書かれているので、なるほどそういうことかと思う事はあるが、
問題は読後の爽快感を感じなかったことである。
むしろ微妙な屈折感にも似たものを感じてしまった。

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スカイ・クロラThe Sky Crawlers

2018-02-09 | chinema(日本アニメ映画)

映画を観た。

★スカイ・クロラ
The Sky Crawlers
監督:押井 守
音楽:川井 憲次
声の出演:加藤浩次、テリー伊藤、菊地凛子、加瀬亮、谷原章介、他
2008/日本


原作「スカイ・クロラ」シリーズは、
地上の人間臭さやしがらみを嫌い、空を舞い、ただただ戦う瞬間に生を燃やす「キルドレ」たちの刹那感や焦燥感、そして爽快感が語られ、「生きる意味」を繰り返し繰り返し、謎のように問いかけている。地上での物語の説明はできるだけ簡潔にして、空での飛行戦に多くの文章を費やしている。

このメビウスの輪のような物語を、
監督押井さんは、1作目の「スカイ・クロラ」の物語をある程度忠実に追いかけながらも、かなり解り易く人間くさいドラマに仕上げた。誰でもが感情移入しやすい地上のドラマの部分を再編することによって、ちょっとメロドラマ風にしてしまった。脚本チームは行定勲さんチームである。

映画の物語展開はかなり原作を追いかけているが、ドラマの再編にあたっての方向は「人間臭さ」という情緒面の強化である。そのためのいくつかの作戦が実施された。

1・整備士の笹倉を女性にしたこと。これは意味がある。キルドレを見守る母性愛を演出し、情緒の強化。
2・主題の「愛と生と死」というコピーを全面に押し出し、メロドラマ仕立てにしてしまった。その結果、地上の物語の鬱具合が増した。原作とは逆の方向に向った。
3・カンナミ:加瀬亮、クサナギ:菊地凛子、トキノ:谷原章介はこの映画の物語にはドンピシャ。特に、クサナギの声に菊池凛子さんの声の表情がばっちり合い、人間臭くて情緒の濃いそしてどこか子供っぽいクサナギが生れた。
4・舞台をヨーロッパ北西部の海岸地帯に限定したことで、物語に潤いを与えた。ケルトの文様の石碑などが描かれていたので、アイルランドなどの湿気の多い海岸地帯だろうか?
5・戦闘の3Dと地上の物語の線画を上手く使い分け、世界観の均衡を保っている。3Dの部分はほんとに美しい映像であるが、線画の部分はもう一工夫あっても良かったのではという物足りなさを感じた。

などなどかな。

テーマを絞り、非常に解りやすい(感情移入しやすい)映画だった。
不特定多数の観客に訴えるようにした戦略は成功である。
劇場でも男女を問わず年代を問わず、いろんな層の人たちがいた。
外国人も数グループいた。
原作のシリーズを読んでいるので、物語の展開の先は読めている。
アニメをどのように仕上げたかというところに関心いくのは仕方がない。
観てから読むのか、読んでから観るのか。
映画を先に観るほうが、新鮮な驚き、感動が高くて愉しめそうな気がする。

一番美しい所は、白い線が微妙に揺れながら、飛行場に着陸する場面。
白い線と黄緑の原野の対比が美しく、緩やかな間が心地よかった。
穏やかな間。
生と死の穏やかな間。

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クレィドゥ・ザ・スカイ

2018-02-08 | book

本を読んだ。

★クレィドゥ・ザ・スカイ
著者:森 博嗣
出版社: 中央公論新社

一人称の「僕」で語られる物語だが、
この「クレィドゥ・ザ・スカイ」では
、誰が語り部なのか、はっきりしない。
「フラッタ・リンツ・ライフ」の結末からすれば、「クリタ」のようだが、
登場人物の関係からすれば「クサナギ」とも思える。
最後の部分で新聞記者に「カンナミ」と呼ばせる事により、
この物語の不思議な連続性を暗示し、
想いは1冊目の「スカイ・クロラ」に戻る。
降りる事の出来ない心地よい回転木馬。

ここまで読み続けて、ようやくスッキリ感が出てきた。
抽象的な言葉で端的にいうと、
「日本的叙情感溢れる詩的な物語」である。
「無常をテーマに生と死を描いた物語」である。

空にいるような浮遊感と澄み切った空気に浸ろう。
哀しいくらい美しい物語のリズムに酔いしれよう。
ただそれだけ。

 

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フラッタ・リンツ・ライフ

2018-02-08 | book

本を読んだ。

★フラッタ・リンツ・ライフ
著者:森 博嗣
出版社: 中央公論新社

「スカイ・クロラ」シリーズ4冊目。
一人称で語られる「僕の視点」は、「スカイ・クロラ」ではカンナミ。
「ナ・バ・テア」、「ダウン・ツ・ヘヴン」はクサナギ。
そして、この「フラッタ・リンツ・ライフ」ではクリタ。

この物語の主人公たちは、薬害によって生じた、十代の子どものまま成長することがない「キルドレ」である。老いることなく時間を過ごすことになる彼らの視点は、余計なものが刻々とそぎ落とされ、澄んだ青空のごとくよりピュアーな世界に注がれる。生きることにとても誠実であり、時に詩的で、時に祈りにも似た視点である。

我々が「それこそ人生」というべき「この世のしがらみ」は、彼らにとっては未来への展望をまったく開くことのできないくだらない世界。より高く、より遠く、そしてより長く空を飛びながら、敵と戦うことによってのみ刹那的な生のビートを刻む。そして空を飛ぶ度により軽くより純度を増してゆく。個体として死に近づいていくようだ。

作者である森さんは、生きることを描きたいのか、それとも死を描きたいのか。

 

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ダウン・ツ・ヘヴン

2018-02-06 | book

本を読んだ。

★ダウン・ツ・ヘヴン
著者:森博嗣
出版社: 中央公論新社

子どもはみんな、空を飛ぶ夢を見るのだ。

コクピットでは、思考が影を潜め、感性と肉体的反射により瞬間的に動作が繰り返される。
性の官能の程近いような状態となる。
パイロットと飛行機はまさに、一体化していく。
命を掲げて自由を堪能する、究極の世界がそこにはある。
(解説:エアーショーパイロット室谷義秀)

この浮遊感がたまらなく魅力である。
より軽く軽やかに飛ぶ。
たばこの煙のように。
(僕はタバコは吸わないが)

 

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ナ・バ・テア

2018-02-05 | book

本を読んだ

★ナ・バ・テア
著者:森 博嗣
出版社: 中央公論新社

前作のイメージを引きずりながら本を読み始める。
「スカイ・クロラ」はバージン作らしいぎこちない固さが物語のテーマ「生きること」と絶妙なバランスを保ち、「抽象的な崇高性」を表現していた。そういう意味ではすばらしい作品だと思う。想像も出来なかったキャラクターを登場させ、読んだこともないようなストーリィで、とても魅力的だった。

2作目にあたる「ナ・バ・テア」は主人公をそのまま登場させ、「生き続けること」へのさらなる問いかけをしている。作家は状況説明をすることに集中し、さらに物語性を強めた。そしてストレートにメッセージを伝えるようにした。が、あのすばらしい詩的な抽象性が薄れたようにも感じる。

草薙水素は「女」だったのだ。物語は意外な方向に進んだ。作者である森さんは初めから物語が出来ていたのだろうか。それが不思議。ありえない未来SFなのに、ひとつひとつの具体物は現実的、というより、むしろノスタルジーさえ感じる。その絶妙なアンバランスがいい。

本を読みながら、「あっ、これは騙されている」と感じるが、読み続けなければ辿り着けない何かがあるとも思わせる。興味が尽きない。そこでWikipediaで調べてみると、この連作は時系列が発行順とは違うらしい。やれやれ。手の込んだ仕掛けである。騙され上手に読んでいこう。

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スカイ・クロラ

2018-02-04 | book

本を読んだ。

★スカイ・クロラ
著者:森 博嗣
出版社:中央公論新社

森 博嗣さんの「スカイ・クロラ」を読む。

僕は戦闘機のパイロット。
飛行機に乗るのが日常、人を殺すのが仕事。
二人の人間を殺した手でボウリングもすれば、ハンバーガも食べる。
戦争がショーとして成立する世界に生み出された
大人にならない子供—戦争を仕事に永遠を生きる子供たちの寓話。
(「Book」データベースより)

一気に読んだ。
一人称で語られ、彼の視点で物語が展開するので、最後まで読まないと、状況設定が解らない。
最後になってはじめて「キルドレ」が語られ、自分自身の正体を明かす。
たばこの煙、青い澄んだ空、白い雲、墜落する煙。
激しい戦闘シーンなのにとても静か。
死と隣り合わせの生。

文章の隅々まで神経が行き届き、
散文詩を呼んでいるような感覚だった。

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