N の 祝祭日

映画、読書などのメモ

共犯

2020-08-13 | chinema(アジア系映画)

台湾映画には
興味深い学園モノが多い。

 

 

★共犯
原題:共犯 Partners in Crime
監督:チャン・ロンジー
台湾:2014年

《台湾青春映画の新たな一ページとなる作品》
という触れ込みに惹かれて観ました。
台湾青春映画は時代の世相や風俗をタイムリーに反映させ、
しかもナチュラルな表現で僕は好きなんです。
今回の作品は、SNSと孤独がテーマ。

 

 

孤独って難しいテーマだなぁと思いつつ、
つい前のめりで観てしまいました。
日本のマンガ原作のような甘い思春ものではありません。
結構ビターな社会性ある仕上がりになっていましたが、
何処かツボを外しているようにも感じました。
透明感ある映像に任せて、
説明描写がちょっと不足しているのかも、、、

 

 

青春の儚さ、痛さ、脆さが詰まった作品ということで、
《触れ込み》通り、でした。
イチオシ台湾青春物語。

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ミックマック

2020-08-08 | chinema(欧米系映画)

 

★ミックマック
英題:MICMACSA TIRE-LARIGOT
監督:ジャン=ピエール・ジュネ
撮影:テツオ・ナガタ
2009フランス

棲み分けがはっきりしているので、分かりやすい人物群だけど、
いかにもフランスらしいシニカルな感覚が小憎い。
誰の対場に立つか、はっきりしている。
そういう意味では、誰にでも分かりやすいい寓話的、童話的絵本世界である。
しかも徹底的に可笑しくシンプルに
そして時に強烈なブラックをユーモアたっぷりと描く。
思わず笑う声を出して笑うシーンがいくつもあり、
フランスはジョークで生きているのかと想う。
リアルとフィクションが混濁し、
《ジャン=ピエール・ジュネワールド》を堪能する。

 


劇場をでたとき、外を歩く人間たちは奇妙な両生類に生みえた。
しばらくこの感覚は抜けなかった。
撮影がテツオ・ナガタ。
初めて聞く日本名である。
調べてみると、フランスでキャリアを持つカメラマン。
この作品は広角レンズを使って下から移すシーンが多い。
ネコやイヌから観た視線である。
彼らからみると、人間はこのような不思議な生き物に見えるのだろうか。

 

 

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エル・スール

2020-08-07 | chinema(欧米系映画)

 

★エル・スール
監督・脚本:ビクトル・エリセ
出演:オメロ・アントヌッティ/ソンソレス・アラングーレン/イシアル・ボリャン
1983年/スペイン=フランス


静寂な中、必要な音だけを愛情込めて捉えています。
美しくも不思議な映画でした。


スペインの監督さんらしく、
光りと影には細心の心遣いをしている映像。
影というより「闇」といったほうが良いかもしれません。
「闇」の奥行きが美しく、
その世界はとても神秘的で豊かです。

 

 

「ミツバチのささやき」は幼年期の子どもの心の揺れ、
そして自立への葛藤が描かれていました。
この「エル・スール」は少女の心の揺れ、
そして自立への葛藤、
大人への旅立ちまで描かれています。
2作とも、人間の顔に焦点を合わせ、
瞳の表情で、感情の動きを捉えていました。
台詞は極力抑えられているのに、
豊かな感情で満ち溢れています。


この「エル・スール」は「南へ」という意味らしく、
故郷スペインへの強い望郷の思いが描かれているとか。
現代スペイン史辺りに詳しいと、
この感覚はより理解し易いでしょうが、
僕には難しい作業です。
この映画の中で漂うモノは、
想像以上に複雑なような気がしました。


かなり以前の作品ですので、
非常なノスタルジーを感じます。
かもめの風見鶏が印象的です。

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「ニキフォル」知られざる天才画家の肖像

2020-08-06 | chinema(欧米系映画)

 

★「ニキフォル」知られざる天才画家の肖像
原題:Moj Nikifor
監督:クシシュトフ・クラウゼ
音楽:バートロメイ・グリニャク
キャスト:クリスティーナ・フェルドマン、ロマン・ガナルチック、ルチアナ・マレク、他
2004/ポーランド

カメラがポーランド南部の町クリニツァの雪景色を美しく華麗にとらえている。
雪の舞う映像は哀しいくらい美しい。
哀切漂うメロディとともに絵画的な映像美を堪能。

 

ニキフォルの名前を初めて知った。
彼の作品は生の芸術アール・ブリュット(Art Brut)というカテゴリーに入るのだそうだ。
人が描く絵画そのものを分類することはおかしい。
絵画表現は思考すること、
対話すること、
そして生きることであり、
人間の尊厳に関わることだからだ。
そういう意味では画家は皆同じ地平に立っている。

 

 

 


私はかつて自閉症といわれる子供たちをサポートする仕事してたことがある。
彼らの描く線とニキフォルの描く線には共通性がある。
色彩の扱いにも共通性が見られるように思う。
意志を伝える線は力強く、
色彩は鮮やかであり、
表現は明快である。
そして不思議と皆温かな世界が描かれている。
私にはそれは言語表現のもどかしさと、
自らが受けた社会の理不尽さへの抵抗のようにも感じられる。


ニキフォルの言葉がおもしろい。

「色彩のことは色に聞け」 

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恋人たちの食卓

2020-08-03 | chinema(アジア系映画)

 

★恋人たちの食卓
原題:飲食男女
英題:Eat Drink Man Woman
監督:アン・リー
出演者:ロン・ション、ウー・チェンリェン 他
1994/台湾

台北の圓山大飯店の元コック長である男と三人の娘たち。
単純に三姉妹物語かと思っていたら、
最後にとんでもないオチがあった。


お父さん役のロン・ション、誰かによく似てるなぁとおもいつつ。
そう、藤竜也にびっくりするくらいそっくり、似てるなぁ。

それぞれの物語は、うん、まぁそれとして。
今回はその料理。
さすが、美味そう。

(goo映画より)
現代の台湾を舞台に、美しい三姉妹それぞれの恋愛模様が繰り広げられる1編。100種類以上にも及ぶ豪華な中華料理の数々が物語を彩る。監督・脚本・製作協力は前作「ウェディング・バンケット」のアン・リー。脚本はリーとワン・フィリン。共同脚本と製作協力は、「イン・ザ・スープ」のジェイムス・シェイマス。製作はシュー・リーコン、撮影はリン・ジョング。音楽は「ウェディング・バンケット」「イン・ザ・スープ」のマッダー、美術はリー・フーシンが担当。出演は「愛情萬歳」のヤン・クイメイ、「ゴッド・ギャンブラー 完結編」のン・シンリン、「青春神話」のワン・ユーウェン、「ウェディング・バンケット」のラン・シャンとウィンストン・チャオほか。

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夏至

2020-08-01 | chinema(アジア系映画)

 

★夏至
原題:A LA VERTICALE DE L'ETE
監督:トラン・アン・ユン
撮影:リー・ピンビン
2000/ベトナム=フランス

「夏至」をみながら、色彩の艶っぽさに改めて驚いた。
透明な「グリーンの世界観」に、
ちっぽけな自我が溶かされてしまいそう。
三姉妹のそれぞれの物語ですが、
大写しで蒸せるような人間の表情がすばらしく。
そしてさらに、、緑と青を基調とした、
フィルムの透明感が美しく。
雨の表情もゆったりとし、
時間が静かに過ぎゆく。


演劇の世界を目指す兄とまだ学生の妹。
一緒に暮らしているが、
何故かカップルのように写している。
朝起きると流れる曲が、ルー・リード。

曲が流れたときは、
「えっ、あれっ?」耳を疑ってしまった。
二人のストレッチとルー・リードの音楽リズムがぴったり。
これには驚きです。

兄妹なのに、何故か、朝だけふたりでストレッチ。
この部屋だけ特別にセッテイングされているようなスタイリッシュ空間。
そして、ルー・リードの音楽。
それが、この兄妹の一日の始まり。
何かのCMフィルムのように流れるような映像。

 


この作品は、2000年のカンヌ国際映画祭で公開。
監督はトラン・アン・ユン
そして撮影カメラは李屏賓(リー・ピンビン)

 

まったく《癒しの映画》です。

 

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