N の 祝祭日

映画、読書などのメモ

キツツキと雨

2017-11-11 | chinema(日本映画)

映画を観た。

★キツツキと雨
監督:沖田修一
音楽:omu-tone
キャスト:役所広司、小栗旬、高良健吾、臼田あさ美、古舘寛治、黒田大輔、嶋田久作、森下能幸、高橋努、平田満、伊武雅刀、山崎努、他
2011/日本

タイトル《キツツキと雨》、よくわからんタイトルです。
《こんな意味深なタイトルをつける監督の感覚はどんなん?》

内容は、良い人ばっかりが集まって、
《のらりくらり》、
所々《ホロリ》、
雨振って地固まる式のラストに
《それぞれが生きる道》を見つけるというよくあるパターンでした。
でも予想通りちょっぴり《非凡なもの》を感じました。

役所さんと小栗さんのツーショットです。
《絵》としてはとても面白く、
二人の人物の距離感というか《人と人との間》を上手く表現していると思います。
この映画監督沖田修一さんの見せ所なんでしょう。
《日本人らしい感覚》だなぁと気持ちよく観ていました。
でも何処かわざとらしくありません?
普通、人はこんなわざとらしく《間》をとりませんよ。
そう思ってしまうとこの映画そのものが見れなくなります。
そう思わせないためにギリギリのところで勝負しようとする、
そして一層《簡略化して様式美》を追いかけて行く。
その結果、《絵》はとても美しいものになりますが、
一方少し狙いが透けて見えるようなわざとらしい《絵》になります。
この映画では、そんな《絵》が幾つも出てきます。
ですからこの手の作品は《いいなぁ》と思う反面
あざといなぁとも感じます。
難しいなぁ。(製作者はたいへんです)

小栗さん演じる監督の撮っていた映画は《ゾンビもの》でした。
子どもの学芸会みたいな《ゾンビもの》で面白くも何ともないんですが、
いつの間にか、
映画と映画の中の映画が混濁しはじめたところからこの物語は急に深化しはじめ、
引きこまれます。
《制作の苦労話》を織り込み、
《山村の素朴感》が漂い、
いわゆる《映画の味わい》が出てくる。
スピルバーグの《スーパー8》を思い出しました。

《キツツキと雨》、
結局このタイトルの意味するところはわかりませんでした。


ビル・カニンガム&ニューヨーク

2017-11-11 | chinema(欧米系映画)

映画を観た。

★ビル・カニンガム&ニューヨーク
原題:Bill Cunningham, New York
監督:リチャード・プレス
2010/アメリカ

ニューヨーク・タイムズ紙でファッションコラムと社交コラムを担当する名物フォトグファー、ビル・カニンガムを追ったドキュメンタリー。
親しくする人でも、ことプライベートに関しては詳しくは知らないという。ストリートファッション・スナップの元祖的存在と言われる彼の仕事ぶりと謎の私生活をカメラが追う。

彼の仕事(写真を撮る)に対する姿勢は、
ストイックであり(もちろんだが)
意外なほど生活感覚は質素だった。
彼が住むカーネギーホールの上のスタジオアパートの部屋は、
今まで撮影した全ネガフィルムが入ったキャビネットのほかは、簡易ベッドのみ。
コーヒーは安いほどおいしいと言い切る。
青い上っ張りは、清掃作業員が着る青い上着がヒント。
仕事以外は、全くと言っていいくらい無頓着だった。
自転車でニューヨークの街を走る仕事が好きでたまらないというフォトグファー。

客観性を保つためにパーティーでは水すら口にしないというほど、
そこまでするかという徹底、頑固さには、驚く。

面白語録。
☆最高のファッションショーは常にストリートにある
☆着る女性がいない服には興味がない
☆無料で着飾った有名人に興味はない
☆ファッションは鎧なんだ。日々を生き抜くための。

極めつけは
☆私のしていることは仕事ではなく喜び

なかなか興味深い言葉がさりげなく語られていた。

初めて使ったカメラは
オリンパスペン、ペンで書くように写真を撮る、ハーフカメラで大助かり。
現在は、
ニコンのフイルムカメラ。

あちこちカメラを向けていると、
NYの若者の怒りの罵声。
《カメラを向けるな、そのカメラぶちこわすぞ》
彼はめげずに、ストリートファッションを追いかける。