Nの祝祭日

映画、読書などのメモ

レボリューション6

2022-04-27 | chinema(欧米系映画)

 

若者たちに共通するのは、
《モラトリアム的思考》。
かって、ぼくもそうでした。
以後、何となく今も続いているような。
何十年間も、、、。

 

★レボリューション6
原題:WAS TUN, WEEN'S BRENNT?
監督:グレゴー・シュニッツラー
音楽:ステファン・ツァッハリアス
撮影:アンドレアス・ベルガー
キャスト:ティル・シュヴァイガー、マーティン・ファイフェル 他
2002/ドイツーアメリカ映画

手製爆弾作っておきなながら、
《遊びだった》はないだろうけど、
時代の雰囲気はよく伝わる。
ドイツを東西に分ける時代、
まだまだイデオロギーが世界を支配していた80年代。
彼ら6人(グループ36)はりっぱなアナキストだった。
爆弾は作るし、
治安部隊に対して、
上階から、ションベン引っ掛けるし。
やりたい放題の活動である。
果たして思想的背景があったのかそれは怪しい?
と思わせるほどコミックな映像であり、
パンクっぽいスタイルだった。
なんとなく《いちご白書》を思い出した。

いつの時代でも若者たちに共通するのは、
《モラトリアム的思考》である。

 

そして、
彼らが作った手製爆弾が15年後、
突然爆発する。
物語はそこから動き出すが、
それぞれの人生を歩んでおれば、当然、考え方が変わる。
久しぶりに再会した彼らが、
ぶつかり合いながらもしだいに青春時代の感覚を取り戻し、
どんどんアバンギャルドになっていく。
そしてついに、証拠隠滅のため、再び手製爆弾を作ることに。
火薬の入れ物が消火器である。
雪のような泡は消火器から吹き飛んだ泡。
時々、映画の中で使われるファンタスティックな小道具。
なるほど昔は除草剤を使ったんだ。

 

 

最後のピンチは、
運動家を苦しめた放水車で、
警察の包囲網を抜け出すのはいかにもシニカル。
反体制活動とは遠く離れた内容ではあったけど、
ラストの小気味良さはすがすがしく。

流れるドイツパンクは軽やかなリズムと繊細な響き。
理屈抜きに愉しい作品。


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モンパルナスの灯

2022-04-26 | chinema(欧米系映画)

 

モジリアニ−を主人公とした映画。
《モンパルナスの灯》

大阪でモジリアニ−の展覧会をやっている。
では、映画でもう一度みてみよう。

 

★モンパルナスの灯
原題:Montparnasse 19
監督:ジャック・ベッケル
音楽:ポール・ミスラキ
出演:ジェラール・フィリップ、 リノ・ヴァンチュラ、アヌーク・エーメ、他
1958/フランス

 

さすがフランス映画です。
ひたすらモジリアニ−とジャンヌの愛の形を追いかける。
眩しい美男と美女の物語。
クラッシクなメロドラマです。

時代の雰囲気が良く出ていました。
セーヌの暗闇がよく出ていました。

 

モジリアニ−といえば
あの《アーモンドアイの瞳》。
瞳のあるなしによって絵の形が変わる。

モジリアニ−は意識的に使い分けているというか、
描き分けている。
画家はあきらかにその違いを意識して描き分けている。
私の意見です。


彼にもう少し時間があれば、
その先がどうなったのか興味深い。
芸術は長し人生は短し。


ジャンヌ役のアヌーク・エーメがとてつもなく美しかった。
何処かで観たことあるよなと思っていると
あの「男と女」を思い出した。

 


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サンバ

2022-04-22 | chinema(欧米系映画)

シネマです。
プライムビデオです。

かなり難しい社会事情が背景になっているが、
困難な状況を乗り越えようとする人たちの笑顔が美しい。

 

 


★サンバ
監督:エリック・トレダノ 、オリヴィエ・ナカシュ
出演:オマール・シー、シャルロット・ゲンズブール、タハール・ラヒム、他
2014年/フランス

 

フランスの移民問題の実情の一部?がよくわかる。
パリのモザイク状態の文化、人種の一面がよく出ている。
映画はかなりシリアスな内容ではあるが、
物語は結構楽天的に展開する。


映画タイトル「サンバ」は
アフリカ系移民の男の名前ですが、
ラストになって、
作品のテーマとも繋がり、
ある種の切ない哀しみの感情があふれ、
移民問題の複雑さについて考えさせられました。
ビザなし、金なし、住所なし、持っているのは「最強」の笑顔だけ。
オマール・シーは好演でした。

 

久しぶりにシャルロット・ゲンズブールを観ました。
他の作品でも観ているのでしょうが、
鮮明に記憶が残るのは「なまいきシャルロット」

今回の彼女の役どころは、バーンアウトした一流ビジネスマン。
休職中で、移民協力ボランティア。
サンバと出会ってから、しだいに回復し、そして再び強力に職場に復帰。
彼女も好演、魅力的でした。


普通なら出会うことがない
結びつくことがない
二人の出会いだからこそ物語が生きる。

 

なかなかシリアスで、
ラストはこの選択かーーーと、ほんのり切ない作品ではあるが、
生き抜くことへの意欲を感じさてくれて、
いい作品です。 


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雨の朝巴里に死す

2022-04-20 | chinema(欧米系映画)

 

★雨の朝巴里に死す
原作者:F・スコット・フィッツジェラルド
原題:The Last Time I saw Paris
監督:リチャード・ブルックス
出演:エリザベス・テイラー、ヴァン・ジョンソン、ドナ・リード、ウォルター・ピジョン、ロジャー・ムーア、他
1954/アメリカ

 

原作はF・スコット・フィッツジェラルド(1896~1940)
パリを舞台とした物語。


22歳のエリザベス。
眩しいくらい美しく可憐な時代のエリザベス。
この作品の一番のみどころ。


この作品の頃は、とても可憐で魅力的な姿です。
強い眼力が印象的です。


ある意味拍子抜けする物語展開です。
が、邦題の素晴らしさに救われる作品。

 


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アスファルト

2022-04-16 | chinema(欧米系映画)

 

パリ郊外の荒れた団地を舞台に、
可笑しく切なく儚く、
慈しみに満ちたオムニバス。

 

★アスファルト
原題:Asphalte
監督:サミュエル・ベンシェトリ
キャスト:イザベル・ユペール、ギュスタブ・ケルバン、バレリア・ブルーニ・テデスキ、ジュール・ベンシェトリ、他
製作国:フランス(2015)


それぞれの物語に繋がりはないが、
不器用で、見栄っ張りで、そして精神不安定な寂しがり屋さんたちが登場する。

落ちぶれた女優と鍵っ子の高校生
自称カメラマンと夜勤の看護師
移民の女性とフランスに不時着してしまったNASAの宇宙飛行士どれも可笑しいが、NASAの宇宙飛行士はほとんどシュール。
英語とフランス語のやりとりがユーモアたっぷりに展開。
クスクス料理には興味津々。
《そうか、これはメルヘンなんだな》。

趣味的なメッセージがあちこち散りばめてある。
eaglesのTシャツ、
マルセイユのユニホーム。
なんなのこれ?ッて感じです。

変な可笑しな話しが続くが、
違和感なく、
つい引き込まれた。

自称写真家と看護師のロマンスがじんわり。
出会いは荒涼とした雰囲気だったが、
ラストの二人は見事に綺麗だった。

 


人物描写が細やか。
それぞれのお話が進むにしたがって、
それぞれの人が、純になっていく。
人はこんなにも純になるのか。

 

 


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コーヒーをめぐる冒険

2022-04-15 | chinema(欧米系映画)

 

★コーヒーをめぐる冒険(Oh Boy)
原題:Oh Boy
監督:ヤン・オーレ・ゲルスター
キャスト:トム・シリング、マルク・ホーゼマン、他
2012/ドイツ

若者の一日。
朝のコーヒーを飲めなかったということから始まり、
ほんとについてないことの連続。
お気の毒ですが、
テンポよく、
軽快に続きます。


これはモノクロ映画です。
ベルリンの街が白黒で美しく描かれています。
実は、その映像が観たかったんです。
モノクロなんですが、もの凄く色彩を感じさせる映像でした。

 


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赤い風車

2022-04-14 | chinema(欧米系映画)

 

★赤い風車
Moulin Rouge
監督:ジョン・ヒューストン
原作:ピエール・ラミュール(英語版)
『ムーラン・ルージュ』
出演者 ホセ・ファーラー、ザ・ザ・ガボール、他
音楽:ジョルジュ・オーリック
主題歌:「ムーラン・ルージュの歌」
1953/イギリス

 

19世紀末のパリ。
画家ロートレックの生涯を描いている。


キャバレー「ムーラン・ルージュ」の
踊り子たちをモデルとしたデッサンが
次々と流れるデッサンの映像が美しい。
パステルの粉が紙からさらりと流れ落ちる映像。
それはそれは美しい。

 


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彼女はパートタイムトラベラー

2022-04-13 | chinema(欧米系映画)

 

★彼女はパートタイムトラベラー
原題:Safety Not Guaranteed
監督:コリン・トレボロウ
出演:オーブリー・プラザ、マーク・デュプラス、ジェイク・ジョンソン、他
2012/アメリカ

《これぞインディーズ》という作品である。
サンダンス映画祭で絶賛、脚本賞受賞作品。
タイムトラベルを題材に、
《いいお話》ドラマとして体裁はしっかりまとまり、
娯楽性とコメディ性も入り、
これは一押し作品。
登場人物たちも面白可笑しく個性的。
何で日本では劇場公開まで辿り着けなかったんだろうか?

ラストのシーンで名作の仲間入り?
《それ、いけーー》と思わず激を飛ばしたくなる。
《バック・トゥ・ザ・フューチャー》のあの瞬間と同じ感覚。

 


監督コリン・トレボロウと脚本デレク・コノリーのコンビは
そのまま「ジュラシック・パーク」第四弾に大抜擢されたという。
愉快な作品だった。

 


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白夜(1971)(ニュープリント版)

2022-04-11 | chinema(欧米系映画)

 

★白夜(1971)(ニュープリント版)
原題:Quatre nuits d’un reveur
原作:ドストエフスキー
監督・脚本:ロベール・ブレッソン
出演:イザベル・ヴェンガルテン、ギヨーム・デ・フォレ、ジャン=モーリス・モノワイエ、他
1971/フランス・イタリア共同製作

 

伝説の名品と言っていい
ロベール・ブレッソン《白夜》が35mmニュープリントでよみがえる。
《フィルムは美しいな!》
からだの隅々まで洗濯された想いです。

 

映画の中では、
やはり《マルト、マルト、、、、》、
懐かしい響き。
改めて観ると、
男の想いは、
今日的にはちょっとコミックです。
そして女の想いもやはりコミックに感じました。
男のロマンも女のロマンも
こんなに可笑しく感じるとは意外でした。
一組の男女を演じた俳優さんが全くの新人だということもあり、
息づかいがとても新鮮で瑞々しさを与え
作品全体が素直で抒情的な雰囲気。
最後のどんでん返しはやっぱり笑いを誘います。


50年ほど前のパリの夜の灯りがとても美しく捉えられていました。
《闇の美しさと灯りの儚さ》
70年代初めの空気を味わわせてくれます。

 


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海辺のポーリーヌ

2022-04-02 | chinema(欧米系映画)

 

★海辺のポーリーヌ
監督:エリック・ロメール
1983/フランス

エリック・ロメール監督による「喜劇と格言劇」シリーズの第3作。


喜劇なのか、悲劇なのかよくわからない。
これだけ互いに辛辣な言葉を言い合うと
普通はもはやこれまで、断交というとになるのでしょうが
ここに登場する男女6人はなかなかシブトイ。
何事もないかのように
さも愉しむかのように会話場面が展開する。

映画とはいえ厄介な面倒くさい連中である。

 


さて、ポーリーヌ。
15歳の一夏の背伸びした経験ということでしょうか?
危ないロリコンパワー全開でした。


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