Nの祝祭日

映画、読書などのメモ

恋のロンドン狂騒曲

2020-05-31 | chinema(欧米系映画)

 

★恋のロンドン狂騒曲
原題:You Will Meet a Tall Dark Stranger
監督:ウディ・アレン
出演:アンソニー・ホプキンス、ジェマ・ジョーンズ、ナオミ・ワッツ、ジョシュ・ブローリン、アントニオ・バンデラス、他
2010/アメリカ=スペイン


シリアスというべきかそれともユーモアというべきか、
ウディ・アレン独特の人生観に満ちあふれている。
冒頭にシェクスピアの言葉が紹介され、
そして2組の夫婦の、
つまりが4人それぞれの身勝手で喧騒なラブコメディが始まる。


サリー役にはナオミ・ワッツ、
夫ロイ役にジョシュ・ブローリン。
若いコールガールに恋するハッスルじいさんにアンソニー・ホプキンス。
妻のヘレナ役にはジェマ・ジョーンズ。
4人それぞれが誠実に弾けているところが可笑しいというか、
哀しいというか。
ウディ・アレン独特の人間表現でした。
彼は女の人のきらりとした一瞬を捉えるのがうまいなぁと溜息。
アンソニー・ホプキンス、
可愛い爺さんぶりで和ませてくれます。

 

ドタバタ劇のどうでもいいお話が止めどもなく続き、
因果の区別もつかない、
いうなれば達観した世界観があるようです。
まさにこれがウディ・アレンの真骨頂。
世間体をまったく気にしない
(いや彼なりには充分してるでしょうが)
彼はいよいよ老境に入り込み、
自分の内なる迷宮世界を自由に闊歩しているようでした。

 


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タロットカード殺人事件

2020-05-30 | chinema(欧米系映画)

ウディ・アレン、ロンドンを舞台に第二作目

 


★タロットカード殺人事件
原題:Scoop
監督:ウディ・アレン
キャスト:ウディ・アレン、ヒュー・ジャックマン、スカーレット・ヨハンソン
2006/イギリス、アメリカ

ウディ・アレンによるアレンのための映画といってもいい。
アガサ・クリスティのようなウイット溢れる物語展開であり、
ヒッチコック風ミステリーに仕上げている。
ロンドンの明るい空気を描きながらも、
どこかノスタルジーな香りを持たせている。

スカーレット・ヨハンソンの水着姿がひときわ艶やか。
それほどアレンの趣味性の濃い映画である。
ノリのいい快活な会話主体の映画であり、
しかも英会話は非常に聞き取りやすい。
僕のような英会話苦手者でもかなり聞き取れる。
映画内容よりも会話に意識が集中してしまった。
軽妙な作品。

 


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マッチポイント

2020-05-29 | chinema(欧米系映画)

 

★マッチポイント
原題:Match Point
監督:ウディ・アレン
キャスト:ジョナサン・リース=マイヤーズ、スカーレット・ヨハンソン 、マシュー・グッド、エミリー・モーティマー、他
2005/イギリス=アメリカ

よくありそうな不倫話で、
既婚の男が女に《子どもができた》と結婚を迫られ、
何とか乗り切ろうとあがく。
が、結局、男は自分の生活を守る為に殺人を犯してしまう。
しかし、そこに、《いくつかの偶然が重なり》、
捕まることを逃れるという《強運な男》の話でもあり、
《人生を賭けて迫った悪運の女》の話でもある。
さも、《世の中は多くの偶然で成り立っている》と言わんばかり。
《子どもの誕生さえも偶然のこと》のよう。


ウディ・アレンはニューヨークを離れ気分一新。
脚本はしっかり練られ、
映像はビジュアル的。
ギャラリーに展示されている《絵画》、
豪華な室内に何気なく飾られている《絵画》、
たぶん《イギリス現代絵画》だろうが、
じっくり観たいくらいの充実感があった。
作家は誰だろうか?
一番気になったところです。

 


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ビフォア・サンセット

2020-05-27 | chinema(欧米系映画)

 

★ビフォア・サンセット
原題:Before Sunset
監督:リチャード・リンクレイター
出演:イーサン・ホーク、ジュリー・デルピー
主題歌:ニーナ・シモン「Just In Time」
2004/アメリカ

 

1995年の『恋人までの距離』(Before Sunrise)の続編。
ウイーンでの出会いから9年後。

いろんな人生経験を積み重ねた、
時間の経過が、二人の表情によく現れている。

ジェシーの飛行機が出るまでの間、
二人は秋のパリを歩き回る。
石畳の狭い小路を歩き、カフェへ。
セーヌ川の川沿い歩道、そして遊覧船。
ノートルダム大聖堂が映しだされる。
セリーヌのアパートへ。
猫ちゃんも出演。
いい雰囲気の建物、そしてお洒落な部屋。

 


二人は絶え間なく会話を続ける。
相手の真の気持ちを探るように
ウソかマコトかわからない会話。
過去と現在を語り続ける。


止めどもなく限りない、
時間の継続と永遠を感じさせる作品。

オープニングで流れる「An Ocean Apart」、
セリーヌの部屋で歌われる「A Waltz For A Night」
エンドロールで流れる「Je T'aime Tant」
そして、
部屋でかけるCDはニーナ・シモンの「Just In Time」。

 

 


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ミツバチのささやき

2020-05-22 | chinema(欧米系映画)

 

★ミツバチのささやき
監督・脚本:ビクトル・エリセ
出演:アナ・トレント、イザベル・テリェリア、フェルナンド・フェルナン・ゴメス
1973年/スペイン

ビクトル・エリセの記念すべき長編第1作
1973年のフランコ政権下という社会情勢とは裏腹に、
映像と音は繊細な感性と純粋極まりない簡潔さ。
ラストは映画館でしか味わえぬ神秘の光が溢れる作品。


ため息がでるほど美しい映像。
無駄な音や不必要な動きが一切なく、
ひたすら静寂が映画の中に漂う。
闇と月明かり、
炎の揺れが、
見ている者の心を溶かす。
静かで豊かな映像。


この映画は子どもが主人公である。
でもただ子どもの成長を描いているだけではない。
「子どもの眼から見た世界に徹底的にこだわっている」
つまり「幼年期の混沌」を幻想的にシュールに、
ノスタルジーがこみ上げてくるくらいに、
美しい光り輝く魂の塊として捉えている。

 

アナが森の中で、精霊と出会う。
「フランケンシュタインの姿」をした精霊と出会う。
月明かりがたまらなくシュール。


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ゲーテの恋 ~君に捧ぐ「若きウェルテルの悩み」~

2020-05-19 | chinema(欧米系映画)

ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(Johann Wolfgang von Goethe 1749〜1832)

 

 

★ゲーテの恋 ~君に捧ぐ「若きウェルテルの悩み」~
原題:Goethe!
監督:フィリップ・シュテルツェル
音楽:インゴ・L・フレンツェル
キャスト:アレクサンダー・フェーリング、ミリアム・シュタイン、モーリッツ・ブライブトロイ、フォルカー・ブルフ、ブルクハルト・クラウスナー、ヘンリー・ヒュプヒェン、他
2010/ドイツ

 

《あのゲーテです》よ。
あの《ゲーテ》の映画化です。
一夜にして《有名な作家》になったという《ゲーテ物語》。

この映画というか、
この物語、何処かで観たな。
記憶の断片が幾重にもなり、懐かしさが込み上げてきた。

 


今回のお話は、
ゲーテの《若きウェルテルの悩み》に関わるもの。
事実と小説の内容とを巧妙に織り交ぜ、
《新しいゲーテ物語》を作っている。
何処の部分が小説と重なり、
何処の部分が史実で、
そして何処の部分がこの映画のフィクションなのか。
感涙物語。

 


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Mr.ホームズ 名探偵最後の事件

2020-05-18 | chinema(欧米系映画)

 

★Mr.ホームズ 名探偵最後の事件
原題:Mr. Holmes
監督:ビル・コンドン
出演者:イアン・マッケラン、ローラ・リニー、真田広之、他
製作国:イギリス=アメリカ(2015)

93歳、最期の姿を追いかけながら、
過去にやり残した事件の解決に向けた記憶を辿る。
さすがのホームズも加齢による衰え、そして進行する認知症に悩みながらも
過去の事件の記憶を呼び覚まし、
自らの残り少ない時間に向き合うという、
ホームズ物らしからぬ、最期のホームズ探偵物。

孤独と戦うホームズの姿が描かれる。
誰にもある《孤独の深さ》

ホームズがクライアントの要請で日本にやってきた。
初めて知った事実。
しかも、原爆投下後の広島へ。
不思議なエキゾチックな日本の描写には驚いたが。

ラスト、墓石として、小石を並べるところが興味深かった。
小さなストーンサークル。
広島で観た光景と重ねている。


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地中海殺人事件

2020-05-15 | chinema(欧米系映画)

 

★地中海殺人事件
原作:アガサ・クリスティの『エルキュール・ポアロ』シリーズの一作『白昼の悪魔』
監督:ガイ・ハミルトン
制作:イギリス(1882年)


デジタル技術で蘇った《地中海殺人事件》を観た。
何度か観ていると思うが、
詳細はすぐ忘れる。
地中海の青い海と、
ポアロの可笑しい卵の手品と、
事件解決のもとになるホテルの記帳文字は、
かすかに思い出す。

 

優雅さ、
ゆっくり流れる時間、
アガサクリスティ映画独特の雰囲気は好きだ。
頭のなかをリセットするにはちょうどいい。

 

キャッチコピーに時代を感じさせる。

《結末は紺碧の海だけが知っているー。》


この時の地中海は平和だったのかな?
ピーター・ユスティノフのポアロはいいなぁ。

 


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さらば友よ

2020-05-11 | chinema(欧米系映画)

 

 

★さらば友よ
監督:ジャン・エルマン
出演:アラン・ドロン、チャールズ・ブロンソン、他
1968/フランス

 


男の物語といえば、《さらば友よ》。
久しぶりに、ドロンとブロンソンを見る。
何度と観た名場面の数々。
中でもダンディズム香るシーンといえば、ここ。
映画はもちろんカラーだが、モノクロ画像も見つけたので拝借。
一層、ダンディズムが際立つ。


煙草の煙が、迫力出ますね。
そういえば、コップのコイン落としもずいぶんと流行った。
スナックで真似事をよくやりました。

 

 

それにしてもこの二人、格好良すぎる。
俳優の魅力に圧倒される作品。
イエー!

 


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ローマの休日

2020-05-10 | chinema(欧米系映画)

オードリー・ヘプバーンは永遠なり。

 

 

★ローマの休日
Roman Holiday
監督 ウィリアム・ワイラー
出演者:グレゴリー・ペック、オードリー・ヘプバーン、エディ・アルバート、他
音楽:ジョルジュ・オーリック
1953/アメリカ


アマゾンプライムビデオで観ました。
60年以上も前の名作。
何回観たでしょうか?

 


何が凄いかって、
ヘップバーンの笑顔と腰の細いくびれ。
グレゴリー・ペックのおおらかさ。
アン王女のローマでの体験そのものが、
私たちの夢そのもの。
映画の愉しさが全て詰まっている。


映画にはまるきっかけになった作品のひとつ。
時々、今でも懐かしく観る。
そして、新たな発見と感激を味わう。


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ビフォー・サンライズ 恋人までの距離

2020-05-09 | chinema(欧米系映画)

 

★ビフォー・サンライズ 恋人までの距離
原題:Before Sunrise
監督:リチャード・リンクレイター
キャスト:イーサン・ホーク、ジュリー・デルピー、他
製作国:アメリカ(1995)

リチャード・リンクレイター の初期の頃の作品。
《Before Sunrise》
これが《ラブロマンスの快作》との評価が高い。
邦題がちょっとベタな感覚を受けるが、なかなかいい作品。


20世紀の良きヨーロッパの時代。
ウイーンの夜の街が舞台。
観覧車も出てくるよ。
詩人、手相観、レコードジェケット、
今から観れば、ノスタルジックのオンパレード。

 


初めから終わりまで、
アメリカ人の男とフランス人の女の二人の会話。
その会話が面白い。
やっぱりフランス人の女の方が哲学的であり、
アメリカ人の男の方が大雑把。
しかしアメリカ人の方が包容力が大きく朗らか。
まぁ、映画の中での人物像ですが。

 

 

ボッティチェリの絵に出てくるようなセリーヌが美しい。
最後はどうするんでしょうね?
と思いつつ見ていると。以外やあっさり、じゃまたね。
携帯やメールのない時代ですから、
そこがこのラブロマンスの魅力でしょうか。


その後の男と女の物語続編として
2004年に《ビフォア・サンセット》
2013年に《ビフォア・ミッドナイト》
が公開。

 


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鑑定士と顔のない依頼人

2020-05-08 | chinema(欧米系映画)

《詐欺集団が詐欺師をたぶらかした》というお話。

 

★鑑定士と顔のない依頼人
原題:La migliore offerta
監督:ジュゼッペ・トルナトーレ
音楽:エンニオ・モリコーネ
出演:ジェフリー・ラッシュ、ジム・スタージェス、シルビア・ホークス、他
2013/イタリア

丁寧な作品作りは眼の保養となり、
含蓄ある台詞まわしは心に滋養を与え。
イタリアの凄さをたっぷり堪能させていただきました。

 

「偽物の中にも真実が隠されている」
終局場面で何度もこういう意味合いの台詞が出てくる。
《ははん〜。詐欺だな》と途中から思えてくるが、
結末の姿が見えてはこなかった。
詐欺集団の狙いは何なのか?
何が偽物で何が真実なのか?

 

主人公は初老の敏腕鑑定士ヴァ―ジル・オールドマン。
彼は有能なオークショニアでもある。
自分が欲しい女の肖像画は裏工作して手に入れる詐欺師の一面も持つが、
人々から喝采をうける、
尊敬をうける紳士である。
プライド高く有能ではあるが、
こと社会性となると疑問符がつくし、
まして女に関しては全くの初。
その彼の弱点をつき、
《老いらくの恋》をしたてての詐欺話。
映画ほど悠雅ではないとしても、
現実にもありそうな事件である。
脚本はほぼ完璧。
イタリアならではのロマン話。

 


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ペルセポリス

2020-05-05 | chinema(欧米系映画)

★ペルセポリス
原題:Persepolis
監督:マルジャン・サトラピ
2007/フランスアニメ映画

 

物語の台詞はユーモアとシリアスな言葉で満ち溢れ、
知的なセンスに脳が心地よく。
声の出演者たちの顔ぶれがまたすごい。
これは一体何が起こったんだと唸る。
マルジにキアラ・マストロヤンニ、
その母親にカトリーヌ・ドヌーブ。
実際の親子でアニメの声を担当。
むちゃくちゃ、息があっていた。


美しいモノクロデッサンである。
今まで知らなかった事が恥ずかしいくらいであり、
出会えたことがうれしくてたまらない。


影絵のようであり、
時に銅板画のようであり、
時には紙版画のようであり、
アニメの表情は限りなく豊か。
その自由さにあきれてしまった。

 


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月に囚われた男

2020-05-04 | chinema(欧米系映画)

 

★月に囚われた男
英題:MOON
監督:ダンカン・ジョーンズ
キャスト:サム・ロックウェル、ドミニク・マケリゴット
2009/イギリス

お月さんの映画。

 

「3年間は長いよ」
「家に帰りたい」
これは究極の単身赴任である。


静寂な月での生活は不気味なくらい孤独で寂しいものだ。
自分とそっくりなクローン人間の登場で、
一層不気味感が高まる。
反発し合う二人だが、
交流が深まるにつれしだいに互いに力を合わせ月からの脱出を考え始める。
ラストはちょっぴり皮肉を込めたヒューマンドラマになり、
めでたしめでたし。


イギリスらしい風刺性と
コミック性に富んだ小粋な作品である。
こういう映画は好きです。
プラモのような月面車には感激でした。

 


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恋におちたシェイクスピア

2020-05-03 | chinema(欧米系映画)

 

★恋におちたシェイクスピア
原題:Shakespeare in Love
監督:ジョン・マッデン
キャスト:ジョセフ・ファインズ、グウィネス・パルトロウ、スティーヴン・ベアード、ジェフリー・ラッシュ、コリン・ファース、ベン・アフレック、ジュディ・デンチ、他
1998/アメリカ=イギリス

想像するシェイクスピアとは違ったが、
《ロミオとジュリエット》の物語を土台に面白い展開だった。
なんといっても衣装が凄い。
エリザベス時代の服装と、シェイクスピア《ロミオとジュリエット》時代の服装が分けて演出され、これはこれはと眼が驚く。
登場人物の衣装を観るだけで充分な価値がある。

 


そうそうたる俳優が顔を見せているのにもびっくり。
みんなそれぞれに輝いている。
傑作ではないが面白く愉しい映画。

 

印象に残ったエリザベスの言葉
《男の仕事をする女もいる》
かなり効いています。

 


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