アートの周辺 around the art

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引っかかるアートにまつわるもろもろを記してまいります。

「名画で読み解く ブルボン王朝12の物語」中野京子

2010-10-04 | 
「名画で読み解く ハプスブルク家12の物語」に引き続き、中野京子さんのヨーロッパの名家の物語を絵画で読み解く第2弾を読了。(光文社新書)
冒頭には、ブルボン家の家系図が載っておりますが、ハプスブルク家とは密接に関わっており、スペインでは、両家が入り乱れております。
また、両家は長きに渡って争っていましたが、マリー・アントワネットによって結びついた一時もありました。そんな両家の歴史を見ていると、マリー・アントワネットという女性は、なんと運命に翻弄されたのだろう…と感じ入ってしまいます。

さて、ハプスブルク家12の物語が肖像画中心に語られていたのにくらべ、本著では、リゴー『ルイ十四世』といったバリバリの肖像画もあるのですが、ヴァトーの『ジェルサンの看板』やユベール・ロベールの『廃墟となったルーヴルのグランド・ギャラリー想像図』などの風俗画的なものや、ルーベンス『マリーのマルセイユ上陸』やダヴィッド『ナポレオンの戴冠式』など、重要な人物を題材に壮大な物語を描いた作品などが取り上げられており、ハプスブルク家の物語が、個々人のドラマティックな人生が垣間見れるのに対し、12枚の絵画を通してフランスの歴史が眺められるようになっており、それもまた興味深いことです。

以前フランスを旅行し、ヴェルサイユ宮殿を訪ねた時、あまりの壮麗さに目がクラクラし、マリー・アントワネットがプチ・トリアノンで農村を模したのも無理はない、少しはホッとしたかったのでは…などと思ったものでした。その宮殿を建てたのはルイ14世、太陽王であります。彼の時代に、フランスの文化的優位性を築いたのは、今に至る功績なのですね。(反目していたオーストリアのマリア・テレジアでさえ、フランス語で手紙を書いていたそうです。)

その太陽王の肖像画、もっとも私の目を惹いたのは、儀式用というマントです。ものすご重そうで、表地はブルボン家の紋章刺繍入りのブルーのビロード、肩のところをわざわざ大きく折り返すのは、高価な裏地(白テンの毛皮)を見せつけるためだそう。後ろの方で出てくるルイ15世や、18世やシャルル10世の肖像画も、みんなこのマントをはおって同じように肩を折り返してるんです!思わず同じもんかな?と目を凝らしてしまいましたが、サイズや柄が少し違うようでした。
あと気になったのは、ムッシュかまやつばりの頭が盛り上がった鬘?とそのマントからすらりと伸びたタイツをはいた足とかわいらしいヒールのついた靴ですね。よくよく見るとホント変わったファッションです。

そんなことはどーでもいい、とおっしゃる方は、ぜひ本著をお読みくださいませ~。
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