有田芳生の『酔醒漫録』

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「ザ・ワイド」最後の一日に思う

2007-09-29 12:08:49 | 「ザ・ワイド」

 9月28日(金)汐留にある日本テレビの9階。「ザ・ワイド」が放送されるスタジオ横の控室に入ると続々とリポーターの人たちが入ってきた。最終日なので勢ぞろいなのだ。時間になりスタジオへ。その途端に感慨深いものが襲ってきた。14年半前の放送初日とこの最終日に出演したのは、私とデーブ・スペクターだという。初回は統一教会問題でのコーナーゲスト。94年には一度だけVTR取材で出演しただけだったが、95年の地下鉄サリン事件から10年間は月曜日から金曜日まですべて出演してきた。その後は「有田が行く」という企画のため、週3回から2回という時期もあった。日本テレビと読売テレビの共同制作という難しさもあった。入れ替えはあったものの常時100人前後のスタッフで支えてきた一つの番組は、まさに「生き物」だ。一つの小さな歴史とそこに生きるそれぞれの人生の一幕に終止符が打たれた。これからは細胞分裂のように「ザ・ワイド」と「草野仁学校」の精神が散らばり、再生されていく。エンディングではスタジオがスタッフでいっぱいになっていた。いよいよあと数分で終わりというとき、グッとくる思いを押しとどめるのに大変だった。そして終了。スタジオは大きな拍手に包まれた。廊下を歩いているとき32歳のときのある感情が蘇ってきた。出版社を辞めざるをえなくなったときのこと。最後の日だった。初台にあった会社を出たとき「振り返るまい」という気持ちが心に浮かんだ。同じ思いで日本テレビを出る。

070928_20300001  午後5時から新橋の第一ホテル東京でパーティがあった。氏家済一郎さんや草野仁さんの挨拶があり、コメンテーターの一人として私も挨拶。嬉しかったのは若いスタッフが何人も語りかけてくれたことだ。ある23歳の女性は「オウム事件のとき母といつも見ていました」と言った。何と11歳のときのことだ。こうした若いスタッフと次々に記念撮影。「衆議院選挙に出てくださいね」という声も多々あり。脚本家の市川森一さんは「もう作家の世界に戻るから、こんどは街頭でも応援演説をするから頑張ってよ」などと激励される。ふと「残心」という言葉が浮かんできた。武道における心構えで、一つの動作が終わってもなお緊張を解かないことを意味する。まだ「残心」はある。午後8時からはANAインターコンチネンタルホテルで草野仁さんが主催した「『ザ・ワイド』新たな旅立ちを祝う会」に出席。やくみつるさん、二宮清純さん、加藤タキさん、湯川れい子さん、南美希子さん、市川森一さん、デーブ・スペクターなどと四方山話。草野事務所のスタッフからは草野さんに大きなケーキが贈られた。午後10時半に散会。リポーターのみなさんは新橋で続いている三次会に向かった。私はひとりになりたくて地下鉄で銀座へ。そろそろ気持ちの重心をさらに低くして、しっかりと固定しよう。