有田芳生の『酔醒漫録』

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北朝鮮による拉致事件ー実行犯逮捕の現場を歩く

2015-08-10 14:49:39 | 日記
のと里山空港から宇出津までタクシーで移動しました。東京よりも気温は低く30度。北朝鮮による拉致事件で実行犯が逮捕された現場を歩くことが目的です。時代は1977年9月19日。ふたりの男が海辺に近い旅館に泊まりました。その挙動がおかしいというので、女将は警察に連絡します。70年代は能登半島でしばしば不審船が確認されていたので、旅館には警察から注意が行われていたのです。二人の男は午後10時すぎに外出しました。街灯もありません。目的地は15分ほど歩いたところにある「船隠し」です。午後11時半をすぎて旅館に戻ってきたのはただひとりでした。金沢県警から捜査員が駆けつけ、男に外国人登録証の提示を求めましたが、拒否、現行犯逮捕となります。行方を消したのが三鷹市役所でガードマンをしていた久米裕(ゆたか)さんでした。逮捕された「李」の供述は酷くもあり、哀しいものでした。帰国事業で北朝鮮に戻った病身の妹を人質にして工作員に仕立てられていったのです。この「宇出津事件」についてもっとも詳しく記録したのは、捜査資料を根拠にしたであろうと思われる石高健次さんの『金正日の拉致指令』(朝日文庫)です。結局事件は不起訴で男は釈放されました。地元紙では報じられましたが、全国紙に出ることはありませんでした。「船隠し」からゴムボートで沖に向った久米さんの消息はそこで途切れました。2002年9月17日に北朝鮮が発表した安否情報では「未入境」、つまり北朝鮮に入っていないというものでした。この事件が大きく報じられていれば、その2か月後(1977年11月15日)に新潟で起きた横田めぐみさん拉致事件はなかったのではないか。それがぼくの問題関心です。警察庁の判断の問題です。いずれ国会で質問する予定です。翌日は金沢駅にある「黒百合」に寄りました。昭和28年に開店した名居酒屋です。カウンターのお隣で焼酎を飲んでいた男性から「昨日テレビに出ていましたね」と声をかけられました。「人種差別撤廃施策推進法」の審議で質問しているニュースをご覧になったようです。この法案の行方も今国会での重要な問題です。(2015/8/9)