有田芳生の『酔醒漫録』

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「ザ・ワイド」に幕が下りる

2007-09-24 09:03:28 | 「ザ・ワイド」

 9月23日(日)成増の街を歩いて驚いた。美味しい蕎麦屋が借金のため閉店。そこから5分ほどの中華料理屋が夜逃げ。古書店もすでに閉店して久しい。光が丘団地でも夜逃げが増えているそうだ。もより駅のマンション1階にあったパン屋も店仕舞い。好きだったウインナーロールももはや買えない。福田康夫総裁の誕生で新政権が生まれる。福田さんもまた「構造改革」の継承を語るが、不良債権処理などの成果はあるものの、行き過ぎた市場原理主義は、地方のシャッター通りを作っただけではなく、都会をも破壊しつつある。小泉ー安倍と続いた政治の枠組みを変えなくてはならない。地元の書店でフランシス・ウィーンの『マルクスの「資本論」』(ポプラ社)を買う。「名著誕生」シリーズの1冊だ。著者はイギリスのジャーナリストで伝記作家でもある。その立場は、『資本論』には誤謬もあったが、資本主義という「野獣のようなシステム」について「透徹した正確な描写」をしていることで「世界に焦点を合わせる力」があるというものだ。これまでマルクスの解説書は難解な言葉で綴られるものが多かった。しかし、ウィーンのものは、一般的読者にも分かりやすいジャーナリステックな言葉で表現されている。「起訴休職外務事務官・作家」という肩書きの佐藤優は、「新自由主義政策がこのまま続けられると、格差社会などという生温かい状態でなく、貧困社会が到来すると危惧している」と解説で書いた。生活者=納税者の日常では大変な事態が進行している。

 「ザ・ワイド」14年半の歴史に幕が降りる。そのため24日の月曜日から28日の金曜日まで出演する。12年間出演し、そのうちの10年間はすべての曜日に出ていたから、コメンテーターのなかでも通算出演回数はいちばん多いだろう。もう少し正確にいえば、番組がはじまったときは統一教会問題が話題となっていたときだ。当時はコーナーゲストだったけれど、そこを加算すれば12年4か月ぐらいお世話になってきた。すっかり忘れてしまっているが、何と番組の初日に出演していたのだという。スタッフが冗談めかしていうところでは「奇妙なカメラ目線で笑っていた」という。何だか気持ち悪いが、きっと不慣れな場にいることで、たまたまカメラの方を見たということなのだろう。予定では木曜日の放送分でそのシーンが出るかもしれない。「ザ・ワイド」の草野学校ではさまざまなことを身に付けてきた。「コメント力」という課題ではNHK生活者新書を書いた。テレビや少年事件の背景などについては、いま新しい新書を書いている。多くのスタッフと仕事をして、楽しいことも悲しいことも、そして腹の立つこともあった。それも自分史の1ページ、いや数ページだ。日常的にスタッフの入れ替わりはあったものの、一つの大きな集団が消えていく淋しさがある。こんなことを書くときにはヨゼフ・スークが奏でるバッハの音楽が相応しい。