有田芳生の『酔醒漫録』

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足利市・太田市未解決事件家族会の結成へ

2011-06-27 16:46:23 | 参議院

 6月27日(月)3月8日に予算委員会で「北関東連続幼女誘拐・殺人事件」について質問した。それをきっかけに被害者家族がはじめて一同に会したのは、4月16日。さらに相談を重ね、この29日に参議院議員会館で「家族会」が結成される。今朝の朝日新聞と下野新聞が報じたのでここに紹介する。この情報を察知したからだろう。先週末に栃木県警、群馬県警が被害者家族のもとを訪問。さらに「家族会」の記者会見当日に群馬県警が会見を開くという。横山ゆかりちゃん(1996年当時4歳)行方不明事件の懸賞金を300万円から600万円に引き上げるようだ。当日の会見には風間直樹、三原じゅん子参議院議員も同席する。

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『お笑い芸人「ハト」 』ーー世間の眼にはこう見える

2011-06-24 09:03:45 | 参議院

 6月24日(金)。参議院選挙公示から1年。昨年のいまごろは「第一声」のために大山の事務所に向かっている時間だ。暑い夏だった。「不安定研究会」にお誘いいただいている岡田充さんが政局についてエッセイを書かれた。そこに不信任案をめぐる私のブログを引用してくれたのでここに紹介する。

お笑い芸人「ハト」 
      岡田充(共同通信客員論説委員)
 
「うそつき!」と言ったり、言われたりした経験は誰にもあろう。親が約束を破って遊園地行きをドタキャンした時など、半分すねながら口をついて出る。大人になるにつれ感情を抑える術が身につき、冗談半分ならともかく、本気で「うそつき!」と非難すれば人間関係が壊れる。「You liar!」という英語の台詞は「宣戦布告」と同じ重みがある。

大人だとなかなか使いにくいこの台詞を、前首相が現首相に投げつけた。「退陣を約束したから不信任案を否決してやったのに居座りかよ!」。ハトはよほど腹に据えかねたのだろう。「うそつき!」だけじゃなく「ペテン師まがい」とまでののしった。今年の「流行語大賞」の1位、2位をかっさらう勢い。この役者の「口撃」を、観客はどう受け止めたか。「やっぱ菅はうそつきだ」とうなずくか。それとも「早期退陣なんて言っていない」ととるかで大違いだ。菅を悪役に貶めることができるか、自分が「ボケのコメディアン」になるかの瀬戸際である。

 そのポイントは、不信任案の上程直前に開かれた民主党代議士会での菅発言である。目をしょぼつかせながら登壇した彼は「(復興などに)一定のメドがついた段階で若い人に責任を引き継ぐ」と述べた。その直後、NHKが「首相が退陣表明」とテロップを流した。相前後して共同通信も退陣を速報、「朝日」「読売」などは号外を配った。主要メディアが、発言を「早期退陣」と受け取ったことを示している。

TVの生中継を見ていたが、退陣時期に触れず「メドがついたら」と言っただけである。「どこがニュースなの?」というのが正直な感想だった。ジャーナリストで民主党参院議員の有田芳生がブログでこの内幕を明かす。有田によれば、北澤俊美防衛相がこのミスリードの演出家だったという。北澤は代議士会の前に主要メディア記者に「退陣の腹を固めた」とリークした。有田は「菅首相が『次世代にバトンタッチしたい』と語ったと同時にNHKが速報を流す。これで『退陣』イメージが決定的にできあがった。『退陣』時期は曖昧なのに、『ただちに退陣』と国会議員にも受けとめられた」と書く。

メディアを利用した巧みな演出。有田説を信じれば、騙されたハトは「ボケのコメディアン」ということになる。ただ「うそつき!」についてはハトも偉そうに言えない。普天間基地問題で最後まで「腹案がある」「最低でも県外」と言い張っていたのが誰か忘れるところだった。ところで石原慎太郎による「究極の後出しジャンケン」で、都知事の夢を潰された松沢成文・前神奈川県知事が吉本興業入りした。石原にコケにされた松沢、菅に騙されたハトもこの際、吉本デビューしたらどうだろう。松沢とコンビを組んでボケまくれば売れることは間違いない。
          (マレーシアの邦人向け月刊誌『Senyum』8月号)


小沢一郎氏がなぞらえる鄧小平の人生

2011-06-23 14:10:57 | 参議院

 6月23日(木)過日。小沢一郎さんと話をする機会があった。「この時代に政治家でいることはやりがいがあるよ」。その発言の流れのなかで「読むべき本はありますか」と私は訊ねた。「歴史物を読む」という小沢さんが薦めてくれたのは、鄧小平の三女・毛毛が書いた伝記だった。『わが父 鄧小平 「文革」歳月』(中央公論新社)である。実は小沢さんは昨年12月6日に建設関連会社の忘年会で鄧小平の伝記を読んでいると挨拶、こう語っている。「鄧小平は私と同じ68歳のとき、文化大革命で地方に飛ばされていた。それに比べれば今の自分はまだましだ。その後、鄧小平がどうなったかご存知ですよね」。先夜は「3回失脚しても毛沢東は鄧小平を殺さなかった。それだけの評価があったんだろう」とも語っていた。「ポスト菅」にはさまざまな政治家の名前が取りざたされている。裁判の帰趨と世論の流れによっては、「小沢待望論」はありうる。延長国会の果てに菅首相が狙っている「脱原発」宣言は「反核」を謳ったオバマのプラハ演説に匹敵するものだといわれている。解散・総選挙の実現性とともに暑い夏がやってくる。


 観光立国時代の通訳ガイドーその光と影?

2011-06-21 15:51:01 | 参議院

 6月21日(火)内閣委員会で総合特区における通訳案内士の権利を守るための質問を行いました。以下に質問メモと附帯決議を紹介する。

      観光立国時代の通訳ガイドーその光と影?
              2011/6/21  有田芳生

▼    一般的にはガイド 無資格ガイドと業者の悪徳商法 官僚との癒着
「総合特区」における通訳ガイドの課題
 皇居外苑の「楠木正成像」?東京観光コースの定番

1)通訳案内士とは何か
 →国家資格 歴史 試験内容(とくに歴史と地理)
 10か国語 約1万2000人が登録

2)「地域限定通訳案内士」とは

3)「総合特区案内士」について
→ 昨年8月に具体的にどんな募集があったのか
 研修内容(カリキュラム、時間など)
→研修のガイドライン、ガイド認定の条件は明らかか
→「骨格」は示されているか
→研修後に到達度などの判定をすべきではないか

4)通訳案内士の立場と名称について(36条、37条)
→研修のみで通訳案内士の名称を与えるべきではない
→3つの「通訳」の名称を区別すべき   

(通訳案内士でない者の業務の制限)
第三十六条  通訳案内士でない者は、報酬を得て、通訳案内を業として行つてはならない。
(名称の使用制限)
第三十七条  通訳案内士でない者は、通訳案内士又はこれに類似する名称を用いてはならない。

5)新成長戦略と特区 現実的対応の必要性
→医療ツーリズムなどの摸索と実現をなすべきだが、あくまでも通訳案内士の権利尊重を基本にすべき
                        (以上)

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サイバーテロ時代の新しい課題?いわゆるサイバー刑法について

2011-06-16 12:41:33 | 参議院

 6月16日(木)法務委員会で「いわゆるサイバー刑法」(情報処理の高度化等に対処するための刑法等の一部を改正する法律案)に対する質問を行いました。その質問メモと附帯決議を紹介します。法案および附帯決議には民主党、自民党、公明党、みんなの党、無所属が賛成、共産党は反対の立場を表明、賛成多数で可決されました。附帯決議にあるように「必要に応じて見直しをすること」「保全要請の件数等を、当分の間一年ごとに当委員会に対し報告すること」との事項は重要です。

     

  サイバーテロ時代の新しい課題
      ?いわゆるサイバー刑法についてー
           2011/6/16    有田芳生

1)情報通信の発展と言論・表現の自由の課題
 オバマ演説「サイバー司令部」の設置へ(2009年5月29日)
 「PSN」利用者情報7700万人(過去最高) スペイン、トルコで逮捕者 米下院公聴会での社長発言
 RSAセキュリティ(11年6月6日) 「使い捨てパスワード」日本の金融機関や企業でも使用
 →ネット犯罪の現状と認識について(警察庁、大臣)

2)サイバー刑法は大震災の「どさくさ紛れ」の悪法か
 閣議決定は3月11日午前の閣議
 →サイバー犯罪条約の批准や自民党政権時代からの議論について(大臣)

3)意図して「ウイルス」作成した場合、使われていなくとも処罰するのか
 →サイーバーパトロールの方法について 組織体制(警察庁)

4)「裁判所の令状なしに本人にも知らせず通信履歴の60日間保全」
 →「ネット検閲社会」なのか(大臣)

5)「1枚の令状で端末もサーバ情報も押収し放題」か
 →憲法35条の令状主義は崩壊するとの指摘について(大臣)
※第35条〔捜索・押収の制限〕1 何人も、その住居、書類及び所持品について、侵入、捜索及び押収を受けることのない権利は、第33条の場合を除いては、正当な理由に基づいて発せられ、且つ捜索する場所及び押収する物を明示する令状がなければ、侵されない。
2 捜索又は押収は、権限を有する司法官憲が発する各別の令状により、これを行ふ。

6)法執行機関への不信感を払拭する課題


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原発事故からの避難民ーー痛切な嘆きの声

2011-06-08 14:23:08 | 参議院

 

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6月8日(水)菅首相の退陣時期、会期延長問題などをめぐって国会では水面下の動きが激しい。いま政治の原点に置くべきは被災地と被災者の復興だ。福島県の浪江町、双葉町、飯舘村から避難した住民に話を聞いて、その思いを強くした。現場には切り取られたテレビ映像などからは見えてこない現実がある。原発被害から逃れた住民に話を聞いたのは中ノ沢温泉で明治19年から開業している扇屋旅館だ。竹村文近さんとお弟子さんたちが60人以上の被災者に鍼灸ボランティアを施している間に話を伺った。中ノ沢温泉には約230人、リステル猪苗代には約780人が避難している。東電からは5月24日ごろに仮払金(生活費)が支払われた。1人は75万円、2人以上の家族は100万円。たとえ5人家族でも一律に100万円だ。しかもいつまでの仮払金かもわからない。被災地では仮設住宅や借り上げ住宅に入れば、食料や物資の支援は打ち切られる。水道料金も電気料金も自分たちで払っていかなければならない。生活の不安があるから、仮設住宅が当たっても多くが入居しないのは、そんな理由がある。「仮払金があったって、借金を返したり、地震で壊れたので中古車を買ったりして、先の見通しがないんだ」と嘆く男性がいた。ある男性の母親は特養ホームから避難して、新しいホームで亡くなった。「うちに帰りたいって言っていてなあ。集団生活している場所に位牌を置くのも気が引けて、せめて自宅の仏壇に持っていきたい。でも許可が出ないんですよ」とある男性は困惑を示した。一時帰宅の申請を出しても1か月以上かかると役場に言われたそうだ。時間がかかるのは線量計が足りないからだという。大震災が起こって家の中は混乱したまま原発事故で避難を求められた住民が多い。一時帰宅したとき瓦屋根や壁が壊れたために、雨漏りがしていることを発見した住民も多い。「その補償はどうなるのか。保険会社に聞いたら、写真を持ってこいって。屋根に上って撮れっていうんだけど、一時帰宅の2時間じゃあ無理だよ」。放射線量の問題もあり、住民が自宅に戻れる日はわからない。「3年ぐらいかかると覚悟しているよ」「でも仕事もない。ハローワークに行ったら、39歳以下の求人ばかりで」。男性たちは口々に厳しい現状を語った。原発被害で避難した住民の家屋は全壊並で補償をすべきだ。政府と東電は放射能被害の見通しを明らかにして、住民に先行きの見通しを示すべきだ。「3か月で3か所めなのよ」と女性が嘆けば、横にいた高齢女性は「あら、私は5か所めの避難所」と語った。「これからのことを思うと眠れないんです」と涙ながらに語った女性の言葉が、避難民の気持ちを象徴している。着の身着のままで家を追われた避難民にとって、いまいちばん必要なものは、金銭的補償や住宅の提供の前提として将来展望なのだ。


【完成版】「内部」から見た内閣不信任案否決の真相ーー「政治における嘘」について

2011-06-07 09:52:43 | 参議院

 6月7日(火)原発被災地の福島県浪江町の住民から切実な話を聞いた。詳細は近く紹介したい。菅首相の退陣時期をめぐって政治的駆け引きが高まっている。菅内閣に対する強い批判を起動力とする「大連立」構想に違和感を感じている。政策的一致が困難なもとで流れが出来つつある連立はおかしい。そこに大義はあるのか。昨年の夏。参議院選挙で当選したときに日本テレビの番組に出演した。そのとき自民党の石破茂議員と短い会話を交わした。石破さんは、「選挙で当選した議員が、一致する政策で政党を作るってできないですかねえ」と語った。政党政治にあって、政策の一致は基本だが、実体はそうなってはいない。政界再編も政治権力の「パワーゲーム」ではなく、「この国」を変えるための政策を基礎としなければならない。そうした視点から復興基本法だけでなく、第二次補正予算などに限定した大連立は可能か。この問題に判断を下す前提として「内部」から見た内閣不信任決議案否決の真相を記録しておく。
(1)ハンナ・アレントに「政治における嘘」という論文がある。「国防総省秘密報告書についての省察」とサブタイトルにあるように、ベトナム戦争遂行におけるアメリカ政府の欺瞞に関わる分析である。「欺く人は、自己を欺くことから始めるものだ」とアレントは人間的精神の一面を掴み出す。ちなみにカルト教祖は「自分が教祖の能力があると思い込むことから」教祖となっていく。その道具がイメージ作りを通じての「人々の心をとらえる戦い」である。菅直人内閣に対する不信任決議案の去就は「政治における嘘」の現代版である。「退陣」というイメージ作りは成功した。しかしその瞬間から成果はもろくも崩れていった。
(2)菅首相の相談役は内閣発足から持続してただ一人閣僚を務めている北沢俊美防衛大臣である。当初は可決無理と見られていた不信任案だ。6月1日夕刻には菅グループの集まりも行われたが、そこに緊迫感はなかった。衆議院の国対レベルでも不信任案が可決されるというような雰囲気はない。誰もが否決を信じ、何人が賛成するか、その人数にだけ関心が集まっていた。ところが小沢グループの巻き返しで、菅首相は深刻な情況に追い込まれる。可決に可能な「隠し球」が用意されていたからである。打開のためには「首相辞任」を仄めかすことしかない。しかし小沢一郎元代表と交渉する道はない。そこで鳩山由紀夫前首相がターゲットとなる。「鳩山なら乗ってくるだろう」!
(3)不信任案が提出される前夜。平野博文元官房長官は民主党の衆参国会議員から署名を集めはじめた。衆院本会議がはじまる前に両院議員総会を開催し、首相退陣を求める内容である。退陣しなければ党の代表を変更することも目的としていた。鳩山前首相を切り崩すには平野元官房長官に働きかけるしかない。鳩山前首相も不信任案に賛成することを公言していたが、内心は不安が高まっていた。岡田克也幹事長が不信任案に賛成した議員は除籍(除名)すると語っていたからだ。自分が作ったと自負する民主党から除名されるのは困る。菅首相には退陣を求める。しかし除名は避けたい。それが鳩山前首相の本音だった。
(4)内閣不信任決議案が審議される6月2日午後1時から予定された衆議院本会議。その前に菅?鳩山会談が設定された。署名も退陣時期にも触れない奇妙な確認書が示された。そして代議士会が開かれ、菅首相の挨拶が行われる。そのころ共同通信や民放テレビはいっせいに「菅首相退陣へ」の速報を流し出す。いったい誰が「退陣」とリークしたのか。北沢俊美防衛大臣である。菅首相が大震災対応に一定の目処がたったとき「次世代にバトンタッチしたい」と語ったと同時にNHKが速報を流す。これで「退陣」イメージが決定的にできあがった。「退陣」時期は曖昧なのに、「ただちに退陣」と国会議員にも受けとめられた。
(5)さらに「表面の顔」として鳩山前首相が「首相退陣」のラウドスピーカー(拡声器)の役割を果すことになる。代議士会での発言をきっかけにテレビ、新聞の取材に積極的に応じて「退陣」を語り続ける。菅?鳩山会談さえなければ不信任決議が可決されていたと判断する小沢グループからは「また鳩山さんかよ」と怨嗟の声が出たほどだ。もはや不信任案否決の流れができた。不信任案可決を信じていた小沢グループでも動揺が広がり、バラバラな対応に解けていく。そこで小沢元代表が「自主判断」を打ち出し、「人々の心をとらえる戦い」(アレント)はここに収束していく。かくして内閣不信任決議案は否決された。
(6)退陣時期を菅首相は夏ごろを想定していた。ところが参議院予算委員会で硬直的な答弁を繰り返したために、野党どころか与党からも強い反発を招くことになる。福島第一原発が「冷温状態」になることを目指す来年1月まで延命を図るように見られたことも傷を深めた。6月末に野党から問責決議案が出されれば可決される。そうなれば西岡武夫議長は本会議開催のベルを鳴らさないから審議はすべてストップし、菅内閣は大往生し瓦解するしかない。自民党の長老幹部は大連立を提唱しながら、民主党の「マニフェスト」を骨抜きにしていくことを狙っている。さらには期間を限定しての大連立ののちに早ければ10月にも解散・総選挙を求める狙いがある。いま総選挙を実施すれば第一党になると判断しているからだ。もはや菅首相の脳裏にあるのは、第二次補正予算の成立まで政権を維持することだ。「あとは野となれ山となれ」。しかし国会情勢は6月末退陣の流れが加速している。もはや菅首相退陣は避けられない情況に入った。


美しい日本の風景を襲う「見えない恐怖」

2011-06-06 16:57:14 | 参議院

 

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 6月6日(月)議員会館。暑い。上野を歩いていたら藤原新也さんから電話があった。「福島ですか」と聞かれたので、「いえ、昨深夜に戻ってきました」と答える。藤原さんはいまから飯舘村に入るという。私が一昨日から滞在したのは福島県の中ノ沢温泉。明治19年に開業した扇屋には原発被害で避難を余儀なくされた浪江町、飯舘村からの避難者が滞在していた。苦情内容はさまざまだが、「先が見えない不安」で一致している。金銭問題(仕事と補償)もさることながら、暮らしていた土地に戻ることができるのかどうかがいちばんの問題だ。「3年だと思うよ」と語る男性もいれば、「もう戻れないんじゃないか」と悲観する男性もいる。女性のお年寄りなどは「この3か月で5か所目の避難場所よ」と諦めたようにつぶやいた。ひとりの女性からは「これからのことを考えると眠れないんです」と涙を流しながら訴えられた。何が課題でどう解決すべきなのか。問題はすべて具体的だ。政府と行政の対応の遅れは想像以上のものがある。避難勧告を受けた双葉町の住民約780人が滞在するリステル猪苗代に向かう道すがら、小川のせせらぎの清らかな音、カエルの鳴き声などが聞こえてきた。車をとめてもらい風景を眺める。この田園風景こそ日本の美しさだ。そこに透明ビニール以上に目に見えない危機が被っている。猪苗代町が公表している放射線量では山菜などに問題は出ていない。しかし秋元湖ではヤマメから暫定規制値以上の放射性セシウムが検出された。ところがイワナ、ギンブナ、コイ、ワカサギは問題となっていないのだ。「見えない恐怖」との闘いほど困難なものはない。


「内部」から見た内閣不信任案否決の真相ーー「政治における嘘」について

2011-06-06 10:24:08 | 参議院

 6月6日(月)原発被災地の福島県浪江町の住民から切実な話を聞いた。詳細は近く紹介したい。菅首相の退陣時期をめぐって政治的駆け引きが高まっている。菅内閣に対する強い批判を機動力とする「大連立」構想に違和感を感じている。大義はあるのか。この問題に判断を下す前提として「内部」から見た内閣不信任決議案否決の真相を記録しておく。
(1)ハンナ・アレントに「政治における嘘」という論文がある。「国防総省秘密報告書についての省察」とサブタイトルにあるように、ベトナム戦争遂行におけるアメリカ政府の欺瞞に関わる分析である。「欺く人は、自己を欺くことから始めるものだ」とアレントは人間的精神の一面を掴み出す。ちなみにカルト教祖は「自分が教祖の能力があると思い込むことから」教祖となっていく。その道具がイメージ作りを通じての「人々の心をとらえる戦い」である。菅直人内閣に対する不信任決議案の去就は「政治における嘘」の現代版である。
(2)菅首相の相談役は内閣発足から持続してただ一人閣僚を務めている北沢俊美防衛大臣である。当初は可決無理と見られていた不信任案だが、小沢グループの前夜からの巻き返しで、菅首相は深刻な情況に追い込まれる。可決に可能な「隠し球」が用意されていたからである。打開のためには「首相辞任」を仄めかすことしかない。しかし小沢一郎元代表と交渉する道はない。そこで鳩山由紀夫前首相がターゲットとなる。「鳩山なら乗ってくるだろう」!
(3)不信任案が提出される前夜。平野博文元官房長官は民主党の衆参国会議員から署名を集めはじめた。衆院本会議がはじまる前に両院議員総会を開催し、首相退陣を求めるのが目的であった。鳩山前首相を切り崩すには平野元官房長官に働きかけるしかない。鳩山前首相も不信任案に賛成することを公言していたが、内心は不安が高まっていた。岡田克也幹事長が不信任案に賛成した議員は除籍(除名)すると語っていたからだ。自分が作った民主党から除名されるのは困る。菅首相には退陣を求める。しかし除名は避けたい。それが鳩山前首相の本音だった。
(4)内閣不信任決議案が審議される6月2日午後1時から予定された衆議院本会議。その前に菅?鳩山会談が設定された。署名も退陣時期にも触れない奇妙な確認書が示された。そして代議士会が開かれ、菅首相の挨拶が行われる。そのころ共同通信や民放テレビはいっせいに「菅首相退陣」の速報を流し出す。いったい誰が「退陣」とリークしたのか。北沢俊美防衛大臣である。菅首相が大震災対応に一定の目処がたったとき「次世代にバトンタッチしたい」と語ったと同時にNHKが速報を流す。これで「退陣」イメージができあがった。
(5)さらに「表面の顔」として鳩山前首相が「首相退陣」のラウドスピーカー(拡声器)の役割を果すことになる。菅?鳩山会談さえなければ不信任決議が可決されていたと判断する小沢グループからは「また鳩山さんかよ」と怨嗟の声が出たほどだ。小沢元代表が「自主判断」を打ち出し、「人々の心をとらえる戦い」(アレント)はここに収束していく。かくして内閣不信任決議案は否決された。
(6)退陣時期を菅首相は夏ごろを想定していた。ところが参議院予算委員会で硬直的な答弁を繰り返したために、野党どころか与党からも強い反発を招くことになる。福島第一原発が「冷温状態」になることを目指す来年1月まで延命を図るように見られたことも傷を深めた。6月末に野党から問責決議案が出されれば可決される。そうなれば西岡武夫議長は本会議開催のベルを鳴らさないから審議はすべてストップし、菅内閣は瓦解する。そうした事態を避けるために菅首相退陣の時期は早まるだろう。