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超人日記・俳句

俳句を中心に、短歌や随筆も登場します。

#俳句・川柳ブログ 

<span itemprop="headline">ジョン・レノン、Yes is the answer</span>

2008-10-16 16:25:53 | 無題

オノ・ヨーコの「グレープフルーツ」という前衛詩集は、ジョン・レノンを引きつけたと同時に、悩ませた。
雲がぽたぽた落ちてくるのを想像しなさい、とか妻が髪をといているのを録音して、彼女が死ぬ時に一緒に埋めなさい、とか様々な人を喰った謎かけ問答が収められている。その語り口や発想が、名曲「イマジン」の呼び水となった。「~を想像しなさい」自体がオノ・ヨーコ的話法なのである。オノ・ヨーコはいつもジョン・レノンの常識を揺さぶって、ジョンを裸にする。
名アルバム「ジョンの魂」は裸の叫びである。アーサー・ヤノフ博士のプライマル・スクリーム療法というのをジョンとヨーコは受けた。幼年時代に帰って、心の声を大声で叫ぶことで、わだかまりやトラウマが消えてポジティヴになるという療法である。これはアルバム「ジョンの魂」に大きな影響を与えた。裸になって地声で本音を叫んでいる。すごいアルバムである。ワンフレーズに対して一つのコードを弾きっぱなしにする「マザー」の曲作りもシンプルで見事である。ジョン・レノンの曲と歌詞がどんどんシンプルになって行ったのは、ヨーコの影響が大きい。
オノ・ヨーコがピアノでベートヴェンの「月光」を弾いたとき、ジョンがそのコード進行を逆に弾くことで、名曲「ビコーズ」が生まれた。
ヨーコの個展にジョンが行くと、脚立に乗って虫眼鏡で何かを読むというアートがあって、そこに小さく「イエス」と書いてあった。その字を見たとき、ビートルズとしてたくさんのものを背負い、スターとしての自負もあったジョンの自我が空ぜられて、裸の自分があふれ出てきた。禅の公案に「犬に仏性はあるか」「無」というのがあるが、この「無」の一語が座禅を通じて自我の殻を破るように、虫眼鏡で見た「イエス」という小さな文字がジョン・レノンを目覚めさせたのである。ジョン・レノンとオノ・ヨーコの関わりは、「臨済録」の禅僧の掛け合いのようだ。



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