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労働経済白書骨子案

2008-05-04 18:42:30 | ニュース

今朝の日経新聞で、厚生労働省の2008年版「労働経済の分析(労働経済白書)」の骨子案が明らかになった、という記事を目にした。
記事によると、概ね次のようなことである。

①仕事に対する満足度が長期的に低下
②その理由はパートや派遣スタッフ等の非正規雇用が増加していること
③長期的視点に立った採用・育成が必要

わが国の労働法制は、その根底が「弱者である労働者を、悪徳経営者から守る」というものである。
その結果、雇用してしまえば、その労働者がよほど悪いことでもしない限り、定年まで賃金保障させられてしまうのが現実である。
つまり、長期的視点で雇用することが、事業所にとって『莫大なリスク』となってしまっているのである。
近年は労働紛争が激増したため、多くの事業者が『雇用リスク』を強く認識するようになった。
その結果として非正規雇用に流れたことは、当然の帰結である。

労働経済白書の骨子案の記事から推測すると、おそらく白書は最終的に「正規雇用の必要性」を説き、「企業の社会的責任」のような締め方をするものと考える。

しかし、企業側から言わせれば、優秀な人材は欲しいが、そうでない人材を抱える余裕は無いのである。
できることなら、多くの人材を雇用することで機会を与え、労使双方が納得した者が長期雇用として継続したいと願っているのが本音だろう。
現状は、体力のある企業だけが、例え悪質な労働者であっても、定年まで抱え込んでも利益を出せるのである。

白書骨子案の③への対策は、企業が採用しやすい法制度の整備をすすめることである。
現行法のように、事実上解雇できない法制度では、最初から長期雇用することはあまりにも企業だけに大きなリスクを負わせている。
労働者が事実上いつでも勝手に退職できることに対し、企業への解雇規制はあまりにも厳しすぎるのが実態であり、均衡を失する。
解雇規制を弱めれば、企業は採用しやすくなる。
当然、『正規雇用』が増加し、長期的視点で育成可能なケースが増加するのである。

また、中途転職者の能力も十分に活用するために、長期的視点だけに偏らない法制度であることが望ましい。