簡単に見える絵...と書きましたけれど
〈美しき街〉の夜の工場の風景とか夜の団地の明るい窓から見える主人公夫婦の姿は静かでなんともいえず〈病気になったトモコさん〉の電車の走る遠くのネオン街とかは切ない雰囲気で、良いシーンだな~と感じる箇所も多々ありました(夜が多いな)。
〈バスで四時に〉では、主人公がふと目にしたものから考えを広げてゆくところ(前に座る人のレンガ柄のシャツからブタさんのレンガ修復を想像したり)が面白かったですね。
で、読み返して何気に怖くなったのが〈私の知ってるあの子のこと〉。
優等生で恵まれて見える女の子と、きかんぼうで嫌われている女の子のおの話しなのですが、どちらが幸せでしょう?と問いかけが入っています。一見優等生の女の子の方がそう見えるのですけど、この子は母親の気持ちに応えるためにかなり自分を押し殺しているようで、その描かれ方の中に ‘ちぎれた服のボタンの、根もとに巻きついている糸を見て「ああ、ここはお母さんの力はとどかない」’ というのがあって、うわ~と思ってしまいました。母親に対する抑圧の深さが伝わってくる描写だなと。他にも、夜中にこっそりお菓子を食べたり脱ぎ散らかしてみたり、挙げ句 ‘あたし、悪いことっていったらいくつでも考えつけるわ’ なんて考えていたりして、もう全然幸せじゃないですし優しく可愛く見える女の子のブラックな部分が浮き彫りになってゾクッとしました(だけどこういう部分って自分の中にもあるような気がするよ...)。でも最後にこの子が、実は羨ましく思っていた嫌われている女の子につっかかったことで互いの素が見え、今度は母親を思い出さなかったとか、サラリと救いもあり、なかなかに深いお話しでした(一回目に読んだ時は全くそこまで考え及ばなかったのだけれども)。
そんな中で特に良いなと思ったのが〈東京コロボックル〉と〈奥村さんのお茄子〉。
コロボックルは読みやすいな~と思ったら参考にしている作品があったようで(設定だけかもですが)、人間と共存する妖精のお話しはジブリの“借り暮らしのアリエッティ”を思い起こさせましたね。人間のカップルのもとで暮らすコロボックルカップル。彼女は都会派なのに彼氏が狩猟民で逞しいとか、住んでる場所がテレビの中とか(電力豊富らしい...)使っていない壁のダクトとか、どちらも整えられていて居心地が良さそうで、ここいら辺りは読んでいて単純に楽しかったです(湖に見える浴槽でのデートも面白かった)。でも一番笑えたのは引っ越し先の先住民の方がネズミを育てて猫に卸す...というのを聞いて腰を抜かしそうになる彼氏さんの姿でした。
さて、次はこの本の中で一番の謎だった〈奥村さんのお茄子〉についてです。。
〈美しき街〉の夜の工場の風景とか夜の団地の明るい窓から見える主人公夫婦の姿は静かでなんともいえず〈病気になったトモコさん〉の電車の走る遠くのネオン街とかは切ない雰囲気で、良いシーンだな~と感じる箇所も多々ありました(夜が多いな)。
〈バスで四時に〉では、主人公がふと目にしたものから考えを広げてゆくところ(前に座る人のレンガ柄のシャツからブタさんのレンガ修復を想像したり)が面白かったですね。
で、読み返して何気に怖くなったのが〈私の知ってるあの子のこと〉。
優等生で恵まれて見える女の子と、きかんぼうで嫌われている女の子のおの話しなのですが、どちらが幸せでしょう?と問いかけが入っています。一見優等生の女の子の方がそう見えるのですけど、この子は母親の気持ちに応えるためにかなり自分を押し殺しているようで、その描かれ方の中に ‘ちぎれた服のボタンの、根もとに巻きついている糸を見て「ああ、ここはお母さんの力はとどかない」’ というのがあって、うわ~と思ってしまいました。母親に対する抑圧の深さが伝わってくる描写だなと。他にも、夜中にこっそりお菓子を食べたり脱ぎ散らかしてみたり、挙げ句 ‘あたし、悪いことっていったらいくつでも考えつけるわ’ なんて考えていたりして、もう全然幸せじゃないですし優しく可愛く見える女の子のブラックな部分が浮き彫りになってゾクッとしました(だけどこういう部分って自分の中にもあるような気がするよ...)。でも最後にこの子が、実は羨ましく思っていた嫌われている女の子につっかかったことで互いの素が見え、今度は母親を思い出さなかったとか、サラリと救いもあり、なかなかに深いお話しでした(一回目に読んだ時は全くそこまで考え及ばなかったのだけれども)。
そんな中で特に良いなと思ったのが〈東京コロボックル〉と〈奥村さんのお茄子〉。
コロボックルは読みやすいな~と思ったら参考にしている作品があったようで(設定だけかもですが)、人間と共存する妖精のお話しはジブリの“借り暮らしのアリエッティ”を思い起こさせましたね。人間のカップルのもとで暮らすコロボックルカップル。彼女は都会派なのに彼氏が狩猟民で逞しいとか、住んでる場所がテレビの中とか(電力豊富らしい...)使っていない壁のダクトとか、どちらも整えられていて居心地が良さそうで、ここいら辺りは読んでいて単純に楽しかったです(湖に見える浴槽でのデートも面白かった)。でも一番笑えたのは引っ越し先の先住民の方がネズミを育てて猫に卸す...というのを聞いて腰を抜かしそうになる彼氏さんの姿でした。
さて、次はこの本の中で一番の謎だった〈奥村さんのお茄子〉についてです。。