新・本と映像の森 270 中脇初枝『神の島のこどもたち』講談社、2019年
1月16日、183ページ、定価本体1400円。
「新・本と映像の森 265 中脇初枝『神に守られた島』講談社、2018年」の続編。
戦争は終わり、1952年。沖永良部島はアメリカ軍の占領下にある。カミやユキたちは高校生になり、島は奄美本土復帰の運動のさなかにある。
少女カミは神戸に行ったまま戻らない幼馴染みマチジョーを想いながら青春をおくる。
いちばん印象的なのはおとなたちの「しかたないね」ということばと、それに抗うカミやマチジョーらのいちずな心。
集落の復帰集会でカミの「じゃーじゃ(おじいさん)」が言う。
「「あなたがたは沖縄式を排除排除とおっしゃるが」・・・「沖縄は、わたしたちにとって、親島じゃないのかね」
・・・・・・
「自分かわいさに、子が親を捨てるような、親の恩をありがたいとも想わないような、そんな考えでいいのかねー」
「しかたないよー」
・・・・・・
しかたない。
わたしはこの言葉を聞いたことがあった。
戦争中、わたしたちはそう言いあいながら、戦争を続けた。
・・・・・・
数えきれないほどの犠牲の末に戦争が終わったというのに、まだわたしたちは、同じ言葉をくりかえしてあきらめようとしている。」
(p108~109)
ボクはもっと未来、結婚して子どもがいるカミやマチジョーらの姿を見たい。いまカミやマチジョーが長生きできたら、84才ぐらいになる・・・。