雨宮智彦のブログ 2 宇宙・人間・古代・日記 

浜松市の1市民として、宇宙・古代・哲学から人間までを調べ考えるブログです。2020年10月より第Ⅱ期を始めました。

戦争と平和の本 2 こうの史代さん著『この世界の片隅に 上』

2014年08月03日 11時52分43秒 | 戦争と平和

戦争と平和の本 2 こうの史代さん著『この世界の片隅に 上』<アクション・コミックス>、双葉社、2008年2月12日第1刷~2009年8月10日第8刷、定価648円+消費税


 戦争中の広島、海苔をつくる家で育った、絵の好きな主人公・浦野すずさんの少女時代からの物語マンガです。
 昭和9年1月の設定の「冬の記憶」に始まり「大潮の頃」「波のうさぎ」と少女時代を描きます。
 
 昭和18年12月から「この世界の片隅で」が始まり、すずさんは、広島から30キロの呉市の北条周作さんに嫁ぎます。
 戦時下ではあるけれど、上巻では、夫と両親、義姉と娘の幸せなくらしが続きます。
 
 戦時下の非常食用の草花をすずさんはスケッチして書き付けます。
 「たねつけばな 辛い」「たんぽぽ にがい」「かたばみ 酸い」「はこべ 甘い」
 「楠公飯」というのも、しんどいというか、切ないですね。
 
 こうの史代さんの、優しい描線、ほのぼのとした感じが好きです。
 けなげな主人公のすずさんは、こうのさんの性格の投影でしょうか。

 少女編の「波のうさぎ」も切なくて好きですね。
 すずさんの同級生の水原さん(男性)の兄が海で水死します。

 美術の時間、校外で絵を描けというテーマに、海岸で座り込んでいる水原さん。

 水原「うさぎが跳ねよる。正月の転覆事故の日もこんな海じゃったわ」
 すず「いまのんはどういう意味?」
 水原「えっあ 言わんか?ほれ白い波が立っとろう。白うさぎが跳ねよるみたいなが」

 すずさんは、水原さんの代わりに海の絵を描いて、その絵に、たくさんの波ウサギを描き込みます。
 その結末が最高にいいですね。
 
 こうのさんの『夕凪の街 桜の国』は、映画化もされましたが、ぼくは原作マンガの方が好きです。

 (ミール)
 

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