新・本と映像の森 148 萩尾望都『ポーの一族 1』フラワーコミックス、小学館
萩尾望都『ポーの一族 1』フラワーコミックス、小学館
1974年、2016年復刻版、190ページ、定価本体429円。
萩尾望都さんの傑作「ポーの一族」5巻本の第1巻。
実際の発表順でいうと、次のようになる。
すきとおった銀の髪 1815 1972/3 ① p175~181(16p)
ポーの村 1865 1972/7 ① p127~150(24p)
グレンスミスの日記 1899~1959 1972/8 ① p151~174(24p)
ポーの一族 1880 1972/9~12 ① p5~125(120p)
すきとおった銀の髪 1815 1972/3 ① p175~181(16p)
ポーの村 1865 1972/7 ① p127~150(24p)
ポーの一族 1880 1972/9~12 ① p5~125(120p)
グレンスミスの日記 1899~1959 1972/8 ① p151~174(24p)
ところが、発売された単行本では「ポーの一族」が先頭に来て「ポーの村」「グレンスミスの日記」「すきとおった銀の髪」の順になっている。
以下、ネタばれするので、先入観なしに作品を読みたい人は読むべからず。
ポーの一族 1880 1972/9~12 ① p5~125(120p)
ポーツネル男爵・シーラ・エドガー・メリーベル、岬の家(赤い家)に移住
ポーツネル男爵家、医者のクリフォード先生・カスター先生と会う
エドガーと貿易商会の子息アラン・トワイライト、馬場で会う
エドガー、セント・ウィンザー校に転入
エドガー、ケガをしてリグビー通りのクリフォード先生に治療を受ける
クリフォード、週1回水曜にトワイライト夫人を訪問
アランの叔父さんの娘マーゴット
アラン、メリーベルと会う
カスター家をポーツネル夫妻、訪問
カスター家でクリフォード、「鏡に映らない」に気づく
エドガー、アランの首にキスして疑惑をかきたてる
アランとクリフォードの会話
クリフォード、シーラと密会し「脈がない」のに気づく
クリフォード、シーラを大怪我させる
クリフォード、メリーベルを「殺す」
エドガー、クリフォードを殺す
ポーツネル夫妻、消滅
アラン、エドガーと出発
ドイツの学校でグロフ先生(1959年)
ポーの村 1865 1972/7 ① p127~150(24p)
鹿撃ちで迷い込んだ森で誤って少女を撃ってしまう
グレンスミス・ロングバード男爵、村に抑留される
エドガー、グレンスミス青年のエネルギーを吸い、秘密の一部をしゃべる
グレンスミス青年、無事帰り,日記に書く
グレンスミスの日記 1899~1959 1972/8 ① p151~174(24p)
ルイスが学校で「エドガー」と会う
1899年のクリスマス、グレンスミス死去
末っ子のエリザベス、「日記」を受け継ぐ
エリザベス、プロシア人と結婚し、ドイツへ渡る
娘のアンナ、ピエール・ヘッセンと結婚
4女マルグリット・ヘッセンが「日記」を受け継ぐ
3女の息子ルイスが学校で「エドガー」と会う
すきとおった銀の髪 1815 1972/3 ① p175~181(16p)
14才のチャールズ、メリーベルとエドガーに会う
30年後のチャールズ、メリーベルとエドガーに会う
☆
「ポーの一族」では一族から種族員徴兵のため、一時、ポーの村を離れた男爵一家、男爵と妻シーラ、その養子であるエドガーとメリーベルの4人が街へ出る。
だがある医者、クリフォードに疑惑を抱かれ、危機に瀕する。クリフォードはシーラに大怪我を負わせ、メリーベルを銀の弾丸で消してしまう。
エドガーは復讐のためクリフォードを射殺し、男爵夫妻は馬車で逃げる途中の事故で2人とも消滅する。
エドガーは仲閒に新たに加えたアランとともに長い旅に出る。
いのち(生命)よ……
その波のあいだの
いのち(生命)よ……
水より生まれ
ときをへて死なば
水に帰り
さらに生まれ
さらに永遠に
わが一族
死なば
風にとぶ
ちりと消え
消え……
そのゆく果てもなし…… (p76、たぶん萩尾望都さん自作の詩)
エドガーについて語りたいことは、たくさんあるが、後にとっておくことにする。
ただメリーベルの消滅という「喪失」から物語が始まることだけ言っておきたい。
そして「グレンスミスの日記」が物語の未来で大きな役割を果たすことは書いておきます。
以下は、以前に書いたものの再録。
「新・本と映像の森 79(マンガ12・SF19) 萩尾望都『ポーの一族 春の夢』小学館、2017年 2017年08月07日 14時52分38秒」は最近のものなので割愛。
「本と映像の森 214 萩尾望都さん、連作「ポーの一族」を読み返したい
2012年07月06日 06時38分08秒 | 本と映像の森
いったい、どこで初めて読んだのか、定かではありません。
名古屋時代なのか、浜松時代なのか…。
萩尾望都さんの、傑作コミック・吸血鬼一族「ポーの一族」の連作は1972年から1975年に描かれています。
ぼくがそのころ、少女雑誌の連載のリアルタイムで立ち読みしたのか、1976年に名古屋から浜松に帰ってきてから初めて萩尾さんを読むようになったのか定かではありません。
作家「江戸川乱歩」さんが、アメリカの推理小説作家「エドガー・アラン・ポー」さんをオマージュして自分の名前を付けたのは有名ですが、萩尾さんも、ポーさんのファンなんでしょうね。
なんせ、主人公が男の子の「エドガー」と「アラン」ですから。
連作のほとんどは、読みました。
でも、やはり、最高傑作は「小鳥の巣」でしょうね。
今でも気になります。
キリアンはどうなったんだろう?もしかしたら、エドガーやアランと東ドイツで再会できたのだろうか?
萩尾さんが続編を描いてくれないので…」