馬糞風リターンズ

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「倒木更新」・・・・幸田文の随筆を読んで

2010年12月17日 | 雑学
昼間、する事も無く点けっ放しのTVを何気なく見ていると「倒木更新」と云うことをテーマにしたドラマを放映していました。
「新・京都迷宮案内」と云う番組です。テレビ朝日の人気シリーズだそうで「京都迷宮案内」から100作以上放映されているそうです。橋爪功が演じる主人公京都日報の記者杉浦恭介がやたらと京都の街を走り回るドラマです。

 ドラマは別として「倒木更新」は幸田文の随筆集「木」に書かれているとのことです。
興味のまま図書館で新潮社版「木」幸田文を借りてきて読みました。14篇の随筆の冒頭に「えぞ松の更新」のタイトルで掲載されていました。

 幸田文が「倒木更新」を見たいということで、富良野にある東京大学演習林を見学した様子をもとに「倒木更新」を感慨を込めて綴っています。

「倒木更新」とは「樹木が密生した森林の地面上では、新芽は太陽光を浴びられず、うまく生育ができないことが多い。 しかし、倒木の上に芽を出すと下草などによる日照不足も少なくなり、また倒木自身が養分の供給元となり、その表面に生えたコケが湿度を保つ。そのため養水分の供給といった面でも有利に働き、結果、倒木上に一直線に次世代の木が並んで成長する」そして「エゾマツやトドマツ、スギなどの針葉樹林に多くみられる」現象を言うようです。

 幸田文は「えぞ松は一列一直線一文字に、祖先の倒木のうえに育つ。・・・・・日本の北海道の富良野の林中には、えぞ松の倒木更新があって、・・・・・」と締めくくっています。

 僕は恥ずかしながら「倒木更新」を知りませんでした。幸田文の「えぞ松の更新」を読んで概要を知りました。しかしまた、文学とは別の「素朴な疑問」が湧き出てきました。
「緑の砂漠」という事が言われています。里山などを放置しておくと、地面に日光が届かなくなり、下草さえも生育しなくなる事を言います。北摂では竹林が勢力を拡大し「緑の砂漠化」が進行しているといわれています。

 10年ほど前にカナディアンロッキに行った時、たまたま森林ガイドが茨木市出身の日本人女性で、ロッキの高度別の森林層形成や森林限界などの説明を聞いたときに、針葉樹の直列は「何か」別の要因がある様な説明の記憶があります。

 何だったか思い出せずに「もやもや」してストレスが募ります。分からない時は「専門家」に聞くのが一番と以前北海道の土地購入の話で知合った「営林局職員」にメールで問合せました。
勿論、幸田文に云う「倒木更新」も大きな要素ですが、「暗色雪腐病菌」の存在が「倒木更新」の重要な要因になっているそうです。

程東昇・五十嵐恒夫:日林誌70 : 3-351,1988
「暗色蜜腐病菌Racodium therryanumによるエゾマツとアカ エゾマツ種子の腐敗に関する病態解剖学的研究」ほか数編の論文を送ってきてくれました。
研究論文ですから詳しく書いても面白くもなんともありませんので、結論部分「本菌を接種した土壌上に静置した種子 の活力は静置後45日自に,エゾマツの場合は66%の低下が現れ,アカエゾマツの場合は完全に喪失した。」

数編の「暗色蜜腐病菌」の論文を読んで「倒木更新」が単純に「日光不足」でないことが分かりました。

「倒木更新」久しぶりに筆を執りました。

 

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