以前、「津波の被害地・名取市閖上」を書いた事があります。
「名取」は和名抄にも「名取郡」として搭載せれている古代からある地名です。
名を取る、とは何の名をとるのだろうか?と思うのですが、人は同じ事を考えるものです。
「枕草子」(二二二段)「川は、・・」に「名取川もいかなる名を取りたるにかと聞かまほし」と清少納言さんも同じことを思われていたようです。
「名取」の地名解で一番ポピラーなものは「丹取」が「名取」に変化した、というものです。
「奥羽古史考証」によると、丹土取(にととり)が丹取(にとり)、さらに「名取」となったとしている。
それでは「丹取」の地名解は①丹取は瓦製造の赤土(粘土)の「土取り場」、または②丹(朱砂)を取る所の意、とされます。
ただ「丹取」は「名取」の誤記とする説もあります。
これは「丹取」が、和銅6年(713)「丹取郡設置」(続日本紀)に記載があるだけで、その後一切の情報が途絶えているため生じた憶測と思われます。
しかし、最近の研究、特に考古学の成果から「丹取郡」は当時の陸奥国最北の郡として設置され後「玉造郡」に継承されたとされるようになりました。
また重要なことは、8世紀初めに多賀城が対蝦夷の最前線の城とされていましたが、考古学検証から多賀城より早くそれより北に郡が置かれていた可能性が出てきたことです。
「名取」の地名解では他に「ナ(接頭語)・トリ(取り)で、取られた地の崩壊・浸食地」と云うものがあります。
地名学では「トリ」を「崩壊地形」とする考え方があります。
多少こじ付けになるかもしれませんが、「取られた地の崩壊・浸食地」を拡大解釈すれば「津波で取られた地の崩壊・浸食地」と解釈できなくもありません。
僕は「ナ」を「接頭語」ではなく「土地・地盤」の意で、ナトリとは「津波で土地・地盤が削り取られた地」ではないかと思っています。
例えば「名主」の「ナ」だどもそれに近い語源があるような気がします。
今は「思考実験中」でまだぼんやりとしたものですが、もう少し史・資料や同類の地名を集めて検討すれば解明されるのではと思っています。
分からない地名の時は「朝鮮語」「アイヌ語」説が必ず登場します。
「名取」についても、流石に位置から「朝鮮語説」は無いようですが「アイヌ語説」は根強くあります。
因みにアイヌ語では「ニタツ・トリも、ヌタトリで、湿地や溜水のある所の意」など諸説 があるようです。
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